第110回 文系・理系ともに最も重視する企業の魅力は「仕事の魅力」──HR総研「2021年卒学生 就職活動動向調査」

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント

就職活動でアピールしたい能力は「チームで働く力」と「適応力」

「就職活動で企業に対してアピールしたい自分の能力」を聞いたところ、文系では「チームで働く力」が55%で最多となり、次いで「適応力」が46%となっています[図表8]
理系では「適応力」が49%で最も多く、次いで「チームで働く力」が僅差の48%、「論理的思考力」が42%と文系より突出してポイントが高くなっています。その他、「目標達成指向」の43%、「基礎的な学力」の31%、「専門知識」の28%も文系よりも比較的高い傾向があります。インターンシップから採用選考につなげたい学生の心理としては、短時間で終わってしまう面接選考の前に、ある程度の実施期間があるインターンシップに参加し、これらの能力をアピールしたいという意図も感じられます。

働き方改革の取り組み状況が「気になる派」は9割近く

続いて「働き方改革への取り組み状況への意識」について見てみると、文系では「非常に気になる」が35%、「やや気になる」が53%で、これらを合計した「気になる派」は88%と9割近くを占めています[図表9]
理系では「非常に気になる」が48%で文系より13ポイントも高く、「やや気になる」が40%で、これらを合計した「気になる派」は文系と同じく88%とやはり9割近くを占めています。働き方改革に関する法整備が進む中、学生の「働き方改革の取り組み状況への意識」も一層高まっており、企業は、より真剣に働き方改革に取り組んでいく必要があるとともに、働き方改革への取り組みを積極的に学生に発信していくべきだと思います。中には、近年の働き方改革のムーブメント以前から取り組みを進めており、現在進行形ではないという企業もあると思われますが、そうであれば、その事実はよりアピールすべきポイントだと言えます。

これまで働き方改革は、「働く時間」と「働く場所」にスポットが当たりがちでしたが、今後は従業員の「やりがい」や「エンゲージメント」の観点から考えられた施策がより求められてきます。新卒採用だけでなく、キャリア採用からアルバイト・パート採用にいたるまで、あらゆる採用シーンに深く密接した重要課題の一つとして考えるべきでしょう。

社員の働き方への関心も9割以上

働き方改革とは関係なく、「社員の働き方への関心」について聞いてみたところ、文系・理系ともに「非常に関心がある」が圧倒的に多く、文系で66%、理系で67%と7割近くを占め、これと「やや関心がある」とを合計した「関心がある派」の割合は、文系・理系ともに9割以上を占めています[図表10]
消費者として接する機会のある流通業や外食業、サービス業などを除き、学生は社会人の働き方を目の当たりにする機会は少なく、想像するしかない状況において、今後自身が就職した場合、どのような働き方になるのかをイメージするためにも、社員がどのような働き方をしているのかを知っておきたいと考えるのは当然のことでしょう。リアルな会社説明会が実施できない現状では、採用ホームページやオウンドメディアを有効活用して、できるだけ多くの社員の働き方を紹介する記事や動画などのコンテンツを収録するようにするとよいでしょう。

著者プロフィール

ProFuture代表 HR総研所長 寺澤 康介

1986年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、15年にProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。2012年、HR総研所長に就任。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』『経営と人事 対話のすすめ』、編著に『経営を変える、攻めの人事へ』(いずれもProFutureより出版)などがある。

※『採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント』は、WEB労政時報に寄稿した原稿を約2週間遅れで転載しておりますので、内容的に時差が生じる場合があります。ご了承ください。
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