受けた影響は「国内での売上減少」「イベント等の開催延期・中止」が最多

「多少なりとも影響がある」とする企業の「影響の進捗度」について、再調査では「既に大きな影響が出ている」が20%、「影響が出始めている」が63%で、これらを合計した「影響が出ている」が83%と8割を超えており、初回調査(65%)より18ポイント増加しています[図表2]。前述のとおり、「多少なりとも影響がある」と懸念する企業が急増している中、それら企業のうち、既に8割の企業で不安が現実のものとなっているようです。企業規模別で見てみると、「影響が出ている」とする割合は大企業と中小企業がいずれも9割、中堅企業では7割となっており、企業規模によって影響の進捗度が異なっているようです。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
「多少なりとも影響がある」とする企業について「影響の種類」を見ると、初回調査での上位は、「海外出張を伴う業務の遅延・停止」(40%)、「物流の遅延・停止」「製品製造・サービス提供の遅延・停止」(ともに37%)となっており、海外との人や物資の往来に関する業務への影響が懸念されていました[図表3]。しかし、再調査では、「国内での売上減少」「イベント等の開催延期・中止」がともに54%で最も多く、特に「イベント等の開催延期・中止」は36ポイントも増加しており、国内での企業活動に関する影響が上位二つを占める結果になっています。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
このような激変の背景には、再調査直前に出されたイベント延期・中止や不要不急の外出自粛に関する政府からの緊急要請の影響が大きく関わっていると推測されます。これを受けて、イベント事業を持つ企業は緊急的にイベント中止・延期の判断を迫られ、会合参加を自粛する企業や外出を自粛する消費者が増加する等、国内の企業活動と消費活動が急速に縮小していることが読み取れます。

企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「イベント等の開催延期・中止」がそれぞれ54%、73%で最も多く、中小企業では「国内での売上減少」が58%で最多となっています[図表4]。中小企業では「国内での売上減少」により、既に経営破綻に追い込まれる企業まで出てきており、こうした状況が続けば、中小企業が全体の9割以上を占める日本企業への影響は、より深刻な事態となることは必至といえます。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか

「社内イベントの開催延期・中止」「スライド出社・フレックス実施の推奨」が7割

このように先の見えない深刻な状況が続く中、企業はどのような対策を行っているのでしょうか。「企業活動への影響を考慮した対策の有無」については、再調査では「対策を取っている」が56%で最も多く、次いで「対策を検討中」が27%でした。これらを合計した「対策中・検討中」(「対策を取っている」と「対策を検討中」の合計、以下同じ)は84%となり、初回調査時(61%)より23ポイントも増加しています[図表5]。企業規模別に見ると、「対策中・検討中」の割合は、大企業では97%、中堅企業で90%、中小企業で72%となっており、大企業ではほとんどが、中小企業でも7割以上が対策に向けて動いているようです。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
「対策中・検討中」である企業の「企業活動への影響を考慮した対策の種類」(複数回答)を見ると、再調査では「予防徹底に関する従業員への呼びかけ」が88%で最多であり、次いで「オフィス内での衛生管理対策の強化」が75%となりました。これらは感染拡大の予防への最低限の対策として初回調査と同様に1位・2位となり、割合もそれぞれ10ポイント以上増加しています[図表6]。その後に「社内イベントの開催延期・中止」が69%(初回調査13%)、「スライド出社・フレックス実施の推奨」が68%(初回調査8%)などとなっており、政府からの要請等を受けて、社員への感染拡大を防ぐため、さらに踏み込んだ対策を取る企業が大幅に増加していることが分かります。
第108回 新型コロナウィルス感染症の拡大で、企業活動・採用活動にどんな影響が出ているのか
回答があった対策の具体的内容から一例を挙げておきます。

・時差出勤を既に実施。基本的にはセミナーイベント等への参加禁止。各所に消毒薬を配備し、使用するように促している。5月までの入社式や研修等イベントはすべて中止(1,001名以上、商社・流通)
・当社の事業サービスで取り扱っている商品で、空間除菌できる除菌・消臭剤を社員向けに配布。時間差出勤(1,001名以上、サービス)
・社内表彰式の延期、入社式・集合研修の可否検討(301~1,000名、メーカー)
・集合型研修の延期(301~1,000名、メーカー)
・東京本社はテレワーク。全社会議の中止。対外イベントの中止等(301~1,000名、商社・流通)
・在宅勤務と時差出勤の一時的導入(301~1,000名、金融)
・全社員が毎月一回集まる朝礼などを中止、勤務時間中はマスク着用義務など(1~300名、情報・通信)
・対外イベント中止、社内研修延期、時差出勤の推奨、ドアノブに抗菌シート貼付、37℃以上の発熱時に休んでもらう(1~300名、金融)
・2週間のテレワーク(1~300名、サービス)
・リモート研修の企画(1~300名、サービス)

対策の継続は「3月まで」を見込む企業が4割

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