五輪期間中の大企業の「従業員の就業環境対策」は「在宅でのテレワーク」が最多

次に、オリンピック期間中に実施予定の「従業員の就業環境対策」について見てみましょう[図表3]。東京周辺の大企業では、「在宅でのテレワーク」が最多で52%、次いで「有給休暇取得の推奨」が40%、「サテライトオフィスでのテレワーク」が33%となっており、交通事情の混乱を想定した対策が目立ちます。
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東京都では、オリ・パラ期間中の交通混雑緩和を目指して、これまで「時差Biz」「スムーズビズ」と称した、時差出勤やテレワークなどの働き方を推進するキャンペーンを展開してきましたが、東京オリンピック本番を迎えるに当たり、東京周辺企業における自由度の高い就業環境の整備は一気に進むことが期待されます。ただし、中堅・中小企業では、「有給休暇取得の推奨」や「時差出勤」については大企業と同様の傾向が見られるものの、「在宅でのテレワーク」や「サテライトオフィスでのテレワーク」については、大企業との間に20ポイントあるいはそれ以上の開きがあり、テレワークの推進には企業規模による明らかな差異があります。

また「対策は取らない」とする企業の割合は、大企業では8%にとどまるものの、中堅企業で24%、中小企業に至っては36%に達しており、前述のとおり中小企業では従業員の就業環境に対する不安感が低く、対策の必要性を感じていないことがうかがえます。また、テレワーク環境の整備やサテライトオフィス利用のためのコスト負担やリソース不足のため、対応困難な状況も考えられます。東京オリンピックは、柔軟な働き方を推進するための絶好の機会であるといえるものの、大企業と中堅・中小企業では随分と意識や環境に差がありそうです。

一方、東京周辺以外の企業においては、「対策は取らない」が55%と半数を超え、これに次ぐのが「出張の削減」(17%)となっています。主に東京方面への出張を指しているものと推測されます。

パラリンピック期間における、東京周辺の大企業の対策はオリンピック期間と同様であり、交通事情の混乱を考慮した対策が上位に見られます[図表4]。一方、この期間中には「対策は取らない」と回答した企業が、大企業と中堅企業で2割以上、中小企業に至っては4割を超えています。パラリンピック期間は、オリンピック期間より交通の混乱が緩和されると想定している企業が多いことがうかがえます。
第107回 東京オリンピック・パラリンピック開催時の採用活動や研修はどうなるのか

五輪期間中に「インターンシップ」を開催予定の企業は1割以下

次に、オリンピック期間中の「インターンシップの開催予定」を見ると、「開催する予定である」とする企業の割合は、東京周辺の大企業で10%、中堅企業で13%、中小企業では5%にとどまります[図表5]。「未定」とする企業がまだ多いものの、現時点で「開催する予定はない」と決めている企業がいずれの規模でも半数を超えています。中でも中小企業は7割を超える企業が「開催する予定はない」としています。

一方、東京周辺以外の企業では、「開催する予定はない」とする企業は4割にとどまり、約半数の企業が「未定」としています。
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また、パラリンピック期間中の「インターンシップの開催予定」では、東京周辺企業で「開催する予定である」とする企業の割合は、オリンピック期間と同様に1割未満ですが、「開催する予定はない」とする企業はオリンピック期間よりやや減少し、逆に「未定」とする企業の割合が増加しています[図表6]。パラリンピック期間のほうが、例年のサマーインターンシップの開催期間との重なりが大きいこと、また、交通事情もオリンピック期間と比較すれば緩和することが予想されることから、インターンシップの開催の是非について判断に迷うところなのでしょう。
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大企業と中堅企業の半数以上が五輪はインターンシップへ...

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