ベネッセの社内有志活動「One Benesse」が目指す社内改革に迫る。“ナナメ”の関係づくりは会社にどんなプラスをもたらすのか

HRプロ編集部スペシャルインタビュー

離職防止や新規事業創出など会社にも貢献

──活動を通じて得られたことや発見できたこと、会社に貢献できたこと、また「One Benesse」 がきっかけとなった新規事業などがあれば教えてください。

須藤
 メンター企画でいえば、会社や社員を愛している人が大勢いることを実感しました。先ほどもお話しましたが、きっかけさえあれば、新人のために一肌脱ぎたいと思っている人がたくさんいます。

新入社員は各部署に1〜2人しかいないところがほとんどなので、とても孤独です。特に最近の若い人は叱られ慣れていないので、上司との関係が悪くなるとしばらく立ち直れないこともあります。実際、それで辞めそうになった社員をギリギリで救えた、と思った瞬間が何回もありました。そういう意味では離職防止などにも貢献できていると思いますし、おかげで人財部の担当者をはじめ、まわりの見方も変わってきているのかなと思うこともあります。

並木 「Benesse University」では、第一期生が提案した企画が事業化された事例もあります。内容としては、「中学生が一人で勉強をするとモチベーションが保てないので、オンラインで友達同士が勉強している状況を共有し合う」という、オンライン自習室をコンセプトにしたサービスです。「Benesse University」で戦略商品開発推進室の永田祐太郎という社員が取締役にプレゼンをして好評を得、そのまま事業化へと繋がりました。

「Benesse University」は、「自分の組織の中でのありたい姿を考え、今すべきこと(お客様が求めていること)を自分で提案し自分でアクションにつなげる」ことを目指す内容です。永田の事例は、「組織の中で自らの枠をはずし、何をすべきか」を考えた末、必然的に生まれた「新しいチャレンジ」だと思います。「One Benesse」の提案がそのチャレンジが生まれた一つのきっかけだとすれば、大変うれしく思います。

勇気を持って、一歩踏み出してみよう

──「One Benesse」は2020年11月に解散されるそうですが、それは何故でしょうか。また、最後の1年間、集大成としてどのような活動を予定されているのでしょうか?

佐藤
 One Benesseを始めたときに5年のロードマップを描き、2020年に発展的解散をすることを明記しました。私たちが実施していることが、ベネッセの文化風土になることを目指しているからです。本来、有志活動と同様なことが当たり前に起こる会社であれば、有志活動は無くてもよいはず。まだまだ理想とは程遠いかもしれませんが、今までやってきたことを一旦の区切りをもって振り返ることが必要。ですので、当初予定通り、解散しようと思っています。その時にいるメンバーで、その後をまた考えればいいと。

今年中には第2回ベネッセ社内のアルムナイ交流会や、実践につながることを意識した参加型の人材開発プログラムの提案、さらに働き方勉強会、メンター企画、商品開発アイディアソン、プロトタイピングなどを予定しています。

そして最後は、お客様を巻き込んだコミュニティを形成するというのが、4年前に引いたロードマップの構想です。具体的には「Edcamp」というテーマを当日参加した方が決めるアンカンファレンスと呼ばれるワークショップ活動の実施を予定しており、公式に弊社の社員と、教員をはじめとする教育関係の方々がセクターを超えた関係性を築き、ワークショップや地域に根差した活動を行っていきます。

須藤 メンター企画に関しては、社員の誰もが「メンターやります」「メンティーやります」と気軽に言い合えるような文化を作れたらなと考えています。一人ひとりが自分の人生やキャリアをしっかり振り返る習慣を根づかせたいです。

──では最後に、こうした社内有志活動に興味を持っている方々に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

並木
 全員が変革を起こすリーダーになる必要はありません。私自身もそういうタイプではありませんが、できることはたくさんあって、一緒に活動させてもらっています。大事なのは、やってみようという気持ちです。変革を起こすぞ、というモチベーションはなくても、少しでも興味・関心があれば、半歩だけでもいいので、ぜひ踏み出してみてください。

須藤 大事なのは、勇気を出して課題に思っていることややりたいことを自己開示することだと思います。そのための場があれば参加すればいいし、もしないのであれば、話を聞いてくれそうな人に話してみるのもいいでしょう。そしてもし、課題ややりたいことも見つからないということであれば、自分が何者であるか、何をやりたいのか、まずは自己認識するところから始めることだけでも一歩前に進んだということだと思います。そのときに大事なのが、自己の振り返りだと思います。

佐藤 こうした活動は、気づいた人から踏み出さないと始まりません。とりあえず小さなことでいいので、一歩踏み出すことに挑戦してみることが大事です。

ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキーが提唱している「発達の最近接領域」という考えがあります。本来私たちは子どもの頃から、自分より先に何かをできている人との共同のなかで、足場の上でチャレンジを繰り返していくうちに自分のものにする。そうして、少しずつ成長のプロセスを踏んできたと思います。

だから最初は、気づいた人がちょっとだけやってみようと踏み出すことが必要なんです。そのとき、自分だけではできないことの方が多いからこそ、ぜひ仲間や協力者を探して頼ってみてください。何かきっかけさえ作れれば、必ず人は協力してくれると思います。少なくとも私はそんな方を応援します。
【ゲスト】
株式会社ベネッセコーポレーション
ベネッセ教育総合研究所 教育研究企画室 研究員 佐藤徳紀氏
デジタル事業開発本部 デジタル事業推進部 高大接続WEB企画課 須藤淳彦氏
株式会社プランディット 知財事業部 並木瑛子氏

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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