ビジョニング共有に必要な「組織」と「個人」の価値観の統合

会社組織の中で上位者に流されていると、自分の「内なる声」が解らなくなってしまうことがあります。実際の研修では、「個人のモチベーショングラフの内省シート」、「ステークホルダーからの期待把握MAP」、「チーム(組織)課題と自己課題」などの事前課題を行うことで内省を促し、研修では「人にコントロールされずに生きる」とはどういうことかを、映像などを使いながらイメージを膨らませます。そしてビジョニングを実際に行い、現場で共感を得られるような仕掛けを作っています。

ミドルマネジャーが、自らの体験を持って中期経営計画を言葉に落とし込み、ビジョニングすることで、組織と個人の価値観をいかに同質化できるかが重要になります。
マネジャーに求められる3つの「ビジョニング力」とは? 企業のビジョンを現場に落とし込み、中期経営計画を実現させよう(後編)
また、ミッション、ビジョン、バリューを語るベストタイミングは、実は企業が上手くいっていない時だと考えます。組織である以上、短期的には目標が未達だったり、トラブルがあったりすることもあります。そのような時こそ、これらを語ることで、何のためにこの会社は存在し、個人は何のために仕事をしているのかを問い直すことができるのです。

ザ・リッツ・カールトンホテル元CEOのホルスト・シュルツィは、「ミッションやビジョンは少なくとも年に500回伝えよ!」と語っています。リ・カレントの社内では、毎週バリューを共有しあう場を設け、それに基づいて貢献した人を月に1回他薦で表彰しています。また、年に1回、全社員が意見を言い合える場を設け、社員発で新しいアイデアをどんどん取り入れて行く仕組み作りを行っています。

こういったビジョニングを、ミドルマネージャーと共有しながら進めているのですが、1回の研修で終わらず2回、3回と続くような場合は、ビジョンミーティングのやり方を共有し、そのアウトプットをキーワーディングしていく、というような研修も行っています。実際の研修でも、メンバーから実際に挙がってきた声を元に作っていくと、良いビジョンが出やすいという傾向があります。

このように、ミドルマネジャーのビジョニング力が付くことで、メンバーが一体となって実現困難なことにも挑戦していく組織を作ることができるのです。中期経営計画を、数字だけではなく、個人と組織のビジョンを描きながら語ることで、浸透させてみてはいかがでしょうか。
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