生き方・働き方多様化の時代に適した人事施策と人材マネジメント

HRサミット2019/HRテクノロジーサミット2019講演録

労働人口の減少や人材の流動化が進展する昨今、優秀な人材の採用と引き留めは、企業にとって大きな課題です。現在、多くの企業が「働き方改革」に取り組んでいますが、今後念頭に置いておくべきは、従業員の「働きがい」=エンゲージメントの向上です。では、そのために人事部門はどのような施策を打つ必要があるのでしょうか。KPMGコンサルティングで組織・人事領域に携わる油布顕史氏に解説していただきました。

講師

  • 油布 顕史

    油布 顕史氏

    KPMGコンサルティング株式会社 ディレクター

    ・組織/人材マネジメント領域で20年の経験を有し、企業の人事改革を多数従事。
    ・働き方改革、タレントマネジメント、人事制度改革支援をはじめ、人材開発、サクセッションプラン、組織風土改革などのプロジェクト支援等に従事。
    ・制度構築のみならず、実行支援として、役員層や管理職層の合意形成に向けたコミュニケーション施策および実施にも多数の実績がある。

働き方から“働きがい”へ〜働き方改革の本質〜

まず、働き方改革の本質について解説したいと思います。次に、従業員の“働きがい”を高めるためには企業としてどのような施策が必要なのかを紹介します。そして最後に働き方多様化の時代に適した人事施策と人材マネジメントについてお話しします。

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所が2017年に実施した企業調査によると、働き方改革の成果によって改善された項目は「長時間労働者の減少、総労働時間の減少」が44.7%でした。コンプライアンス面においては比較的効果が出ているようです。しかし「従業員の満足感・働きがいの向上」は16.8%、そして「新事業・新商品開発、イノベーションの進展」と回答したのはわずか3.7%でした。

働き方改革の目的としては、もちろん過重労働や残業の抑制といったコンプライアンス的な側面もあると思います。しかし働き方改革の最終的な到達ゴールは、(1)生産性向上、(2)人材活用、(3)イノベーションです。特に今回のテーマである従業員エンゲージメント、ここでは「働きがい」と言い換えますが、働きがいがなければ(1)と(3)はできません。さらに(2)においては、「部門最適」の人材活用ではなく、「全社最適」という視点での人材活用・育成が必要だと考えています。部門のエース候補人材をある特定の部署に塩漬けにさせるのではなく、全社で様々な職務経験を積ませて全社のエースとして育てる。人事や経営が、それをできるかどうかが重要となります。

日本企業の多くが現状進めている「働き方改革」の問題点は、「働く環境づくり」に施策が偏重していることだと思います。職場環境条件や対人関係、金銭・身分・安定といった「環境要因」の整備にはとても力を入れています。確かに環境要因が整備されてない場合、従業員のモチベーションが著しく低下します。しかし、整備されすぎていたとしても飛躍的なモチベーションの向上にはつながりません。従業員のモチベーション向上を実現していくには、「働きがい」にもっと目を向けていくべきです。つまり、達成やチャレンジ、成長といった「動機付け要因」に関わる施策が必要です。

「働きがい」を創出していくために課題となるのが、マネジメントの進化です。多様な人材の個性を活かし、イノベーションを起こすことが働き方改革の最終ゴールです。自分と価値観の異なる多様な人と対話できる環境が、皆さんの会社にはあるでしょうか? そして、現状課題の共通認識のもと、より良い状態の模索を繰り返すことが重要です。また、個人の働き方のニーズが多様化している今、従業員個々の働くニーズを満たす「個別最適マネジメント」が必要です。一人ひとりのキャリアを指南していくには、画一的なマネジメントスタイルからの脱却という意識変革をしなければなりません。さらには社員も、人を使って成果を上げるマネージャーになるか、個人のスキルで成果を上げるプロになるのか、キャリアの選択を迫られています。

働きがいを維持・向上させるステップとポイント

次に、これから人事部に必要なミッションについてお話をしていきます。今、労働市場の流動化と、働く人の価値観の多様化により、会社と従業員の関係に大きな変化が起こっています。従来は、会社が「主」で従業員が「従」という主従関係にありました。しかしこれからは、その関係が逆転していきます。労働力が減少している現代では、当然の流れです。そうなると、人事部門のテーマとしては「採用」と「引き止め」が重要となります。

そこで重視されるのが「働きがい」、つまり従業員のエンゲージメントです。「働きがい」と言い換えましたが、これは従業員が主体的に働く度合いです。昨今、日本はこの従業員エンゲージメントが低いことが問題視されています。言われた仕事を丁寧にする人は得意ですが、自発的に提案を発言する人は少ないです。主体的に働く従業員を増やし、組織を活性化し、エンゲージメントを高めていく、そのカギを人事部は担っているのです。

では、従業員の働きがいを向上させるには、どんなことが必要なのでしょうか。4つのステップを紹介します。
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HRサミット2019/HRテクノロジーサミット2019 講演録

2019/9/18-9/20開催

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