コーチングとは? ティーチングとの意味の違いとメリットを解説

人材育成コラム-プロが教えるコツとポイント-

コーチングのステップ

コーチングのステップ

さて、コーチングの対象となるクライアントが決まったら、次は何をすれば良いのか。ここからはコーチングのステップについてご紹介をします。

(1) コーチングの準備
(2) つまづきポイントの確認
(3) コーチングのルール・計画立案
(4) コーチングの実施
(5) フィードバックの実施

(1) コーチングの準備
コーチングは「思い立ったが吉日」で、いきなり始められることではありません。コーチングの目的は、クライアントの成長を支援することです。コーチングの実施に向け、入念な準備を行いましょう。そもそも、コーチはコーチングの手法と、目的を明確に理解していますか?コーチングを終えたとき、クライアントにどのような状態になって欲しいか、明確なゴール設定はできていますか?具体的なコーチングの計画を立案するうえでは、対象(クライアント)の選定と同様に、明確な目的理解とゴール設定が欠かせません。また、クライアントが現在、どのようなスキルや知識を有していて、どのような課題を有しているのかを事前に把握しておく必要があります。コーチとクライアントが別部門である場合は、コーチはクライアントの上司との打ち合わせを行って下さい。

さらに、コーチングにおいては、コーチとクライアント双方がリラックスした状態で、対等にコミュニケーションを重ねられる「環境」の準備も重要です。例えば、冷暖房がなく、狭くて暗く、外部に声が漏れてしまいそうな部屋では気持ちまでネガティブになってしまいますし、安心して思っていることを打ち明けることが出来ません。双方が安心を感じ、快適に時間を過ごすことのできる空間の確保に努めましょう。飲み物や軽食が準備されているなどの工夫も効果的です。

(2) つまづきポイントの確認
コーチングの準備が整ったら、さっそく計画立案へ進みたいところですが、その前にコーチングがうまくいかなくなってしまう原因、「つまづきポイント」について押さえておきましょう。事前にこの「つまづきポイント」を押さえることで、コーチングの経験が浅いコーチにも「コーチングをするうえでこんな問題が起こりうる」という理解が進みますから、実際に問題が起きたとしても落ち着いて、それを想定内と捉えることができるようになります。

以下に、つまづきポイントの例を挙げてみましょう。

・ 選定したクライアントが、そもそもコーチングの対象に適していなかった
・ コーチがコーチングスキルを習得しておらず、収拾がつかなくなってしまう
・ コーチとクライアントが上司と部下である場合、一方が苦手意識を抱いている場合がある
 (相性が合わない、そもそも信頼関係が構築されていないなど)
・ コーチのフィードバックでクライアントが自信を喪失し、ネガティブになってしまう
・ クライアントが第三者に知られたくない情報を、コーチが外部に漏らしてしまう
・ 記録を残していなかったがために、言った言わないの水掛け論に発展してしまう
・ コーチングの優先度を低く設定してしまい、時間の確保ができない
・ コーチングのゴール設定に、コーチとクライアントの合意形成が行われていない
・ クライアントに、コーチングに臨む姿勢が備わっていない

これらを見ると、つまづきポイントの多くが、コーチとクライアント双方のコーチングへの理解が不足していることから生じるものなのではないか、ということに気付かれるのではないでしょうか。

コーチングという言葉が市民権を得て、ビジネスのみならず私たちの日常生活の中でも拡がりつつある昨今ですが、「正しいやり方」を理解し実践できなければ、その効果は期待できないものとなってしまいます。コーチングについての正しい理解を携えて、次の計画立案のステップに進みましょう。

(3) コーチングのルール・計画立案
いよいよコーチングの実施に向けた計画作りの段階です。コーチは具体的な計画を作成する前にクライアントとセッションを行い、クライアントを選定した理由や背景、コーチングの概要や目的、実施期間を共有し、予め双方で合意したゴールの設定を行いましょう。コーチングにおいては、コーチとクライアントは対等の立場になくてはいけません。コーチが一方的にゴールを設定した場合、時としてクライアントの納得感が得られないというリスクも生じますので、念頭に置いておきたいポイントです。

ゴールが設定されたら、そこから逆算してどのようなプロセスを経て支援していくのかを、具体的且つ実現可能な状態で計画に落とし込んでいきましょう。あるべき姿や、理想論を落とし込んだところで、それは絵に描いた餅になってしまいますし、クライアントに負荷がかかりすぎないような計画になっているか、という点にも配慮が必要です。

そして、その計画をより効果的なものとするためにも、ルール作りが肝心です。クライアントはどのように振り返りを行うか、報連相はどのタイミングでどのように行うか、セッションの内容をどのように記録に残すか、守秘義務についてどう共有するかなど、計画と同時に、ルールの設定も行いましょう。

(4) コーチングの実施
計画の立案が終わると、いよいよコーチングの実施に移ります。(1) コーチングの準備、(2) つまづきポイントでもお伝えしたように、コーチングに上下関係はありません。コーチとクライアントが対等な立場でコミュニケーションを重ねていきます。そしてコーチングは、コーチが質問や傾聴を通じてクライアントから“答え”を導き出すことで、クライアントの成長支援を行うことが目的です。信頼関係なくしてコーチングは成立しないことを、コーチは肝に銘じて臨みましょう。

※本コラムでは、「コーチングの概要」についてご紹介させていただきます。具体的なコーチングの手法やスキル、テクニックについては次号「コーチングのスキルとトレーニング方法 ー部下の効果的なコーチングのためにー」に掲載予定です。ご期待ください。

(5) フィードバックの実施
コーチングの実施に伴い、実際にどのようなことが起こったか、そこから次へどうつなげていくかというフィードバックを実施します。フィードバックにあたっては、クライアントが事実(ファクトベース)に基づいて「客観的」に自身の振り返りを行うことが重要です。クライアントが自身の振り返りを行い、それを踏まえてコーチからフィードバックを受ける、という順番が一般的です。ここで、コーチは自身のフィードバックがクライアントの成長に繋がるんだという意識を強く持ち、現状と目標とのギャップを明確にし、かつ具体的なフィードバックができるよう臨んで下さい。

まとめ

コーチングとは、コーチが質問や傾聴を通じて、クライアントから“答え”を導き出すことで成長を促す、いわば「クライアントの自律をサポートするコミュニケーション技術」です。本コラムでは、コーチングを実施するうえで、コーチとクライアントの信頼関係構築が必要不可欠であること、コーチとクライアントは対等な立ち位置にあること、コーチはクライアントの成長を支援するためにも、コーチングの正しい知識を理解・実践する必要があることを概要に触れながらご紹介しました。

次回のコラム「コーチングのスキルとトレーニング方法 ー部下の効果的なコーチングのためにー」では、実際にコーチングを行う上でのスキル、フィードバックに必要なスキル、コーチングスキル向上のためのおすすめトレーニング方法をご紹介する予定です。是非ご期待ください。

著者プロフィール

株式会社ラーニングエージェンシー 編集部

研修前後の仕組みを活かして「学び」を最大化。人と組織の発展につながる人材育成を支援するラーニングエージェンシーの人材育成総合支援サービス。
株式会社ラーニングエージェンシー 企業情報

『月刊 人事マネジメント』のご案内

関連リンク