大企業の3分1はインターンシップ予算を拡大

[図表2]では、2019年新卒採用での予算上位の項目を選択してもらいましたが、今度は2020年新卒採用で予算が増えそうな項目を選択してもらいました。企業規模を問わず、ほぼ同じ傾向となったのは「予算が増えるものはない」とする企業で、いずれも3分の1以上の企業が回答しています。
第97回 就活ルールは2020年卒から実質廃止状態? ── HR総研「2019年&2020年新卒採用動向調査」
いずれかの項目を選択した残り3分の2の企業を見ると、企業規模による若干の差異はありながらも、最も多かったのは「インターンシップ」で、大企業では35%の企業が挙げています。もともと予算を投下している企業が多い大企業ですが、さらに予算を増やしている企業が多いということになります。これまでは3月1日から解禁される就職ナビや合同企業セミナーに割いていた予算を、それでは遅いとばかりに前半戦の中心施策である「インターンシップ」に大きくシフトしていると推測されます。

その他、大企業で予算が増えそうだとしているのは「アウトソーシング・その他」(22%)です。応募者のデータ管理やメール配信、セミナー・面接の予約受付業務など、採用業務を外部にアウトソーシングしている大企業は少なくなく、もちろんアウトソーシングの内容によるコストの増減はありますが、それよりも委託期間の変動によるコストへのインパクトのほうが大きいものです。インターンシップの実施により、委託期間が長期化する企業が増えているものと推測されます。

一方、これまで力を入れていた(予算をかけていた)「広報物」については、予算が増えるとする企業は8%と少なく、逆に中堅企業(20%)や中小企業(19%)のほうが多くなっています。中小企業では「母集団形成(ナビ、合説等)」を挙げる企業が22%と、「インターンシップ」についで多くなっています。企業理解の前に、企業を認知してもらうことから始める必要があるということなのでしょう。

4月までに半数の企業がエントリーシート受け付けを締め切る

ここからは、皆さんが気になる「時期」をキーワードにして、調査結果を見ていきたいと思います。まずは「エントリーシートの締切時期」です。
第97回 就活ルールは2020年卒から実質廃止状態? ── HR総研「2019年&2020年新卒採用動向調査」
複数の締切日を設けている場合には、最終締切日を基準に選択してもらったところ、全体で最も多かったのは「2019年4月」の28%で、次いで「2019年7月以降」の26%が続きます。「2019年7月以降」は、当然複数回の締切を設けている企業ということになります。中堅企業では、「2019年3月」とする企業と「2019年4月」とする企業がともに20%で多く、中小企業では「2019年4月」とする企業が37%と突出して多くなっています。

「2019年4月」までに締め切る企業で見てみると、比較的「2019年6月」や「2019年7月以降」が多い大企業では44%ですが、全体ではほぼ半数となります。
続いて、「自社セミナー・説明会の開催時期」を見てみましょう。自社セミナー・説明会を「開催しない」とする企業は意外にも大企業で多く、24%にも達しています。ほぼ4社に1社は自社セミナー・説明会を開催していないことになります。就職ナビや自社ホームページ、合同セミナー等で情報を発信し、「エントリーシート(適性検査)から面接」ということなのでしょう。「インターンシップから面接」というパターンもありそうです。
第97回 就活ルールは2020年卒から実質廃止状態? ── HR総研「2019年&2020年新卒採用動向調査」
中小企業では自社セミナー・説明会を開催しない企業がさらに多く、30%にも及びます。学生を一堂に自社セミナー・説明会に集めるのではなく、個別に面談形式で説明している企業も多そうです。一方、中堅企業で自社セミナー・説明会を開催しない企業は10%にとどまり、全企業規模の中で最も少なくなっています。
 自社セミナー・説明会の開催ピークは「2019年3月」で、全体で57%、中堅企業に限れば8割近くにも達します。次いで「2019年4月」「2019年5月」と続きますが、いずれも中堅企業の開催率が他の企業規模を20ポイント近く引き離しています。「2019年7月以降」にも自社セミナー・説明会を予定している企業は、2割ほどしかありません。大企業では16%と最も少なくなっています。

7割近い大企業が3月までに面接を開始

この記事にリアクションをお願いします!