視点3:キャリア意識・ライフイベントの多様性を前提とした女性社員のキャリア支援を

ダイバーシティ経営・働き方改革で重要なのに見落とされがちな10の視点
 女性だけでなく男性にも関わる点ですが、キャリア意識やライフイベントの多様性を踏まえた取り組みが必要です。女性活躍支援に関する法が施行されてから、多くの企業が女性管理職を増やすために、管理職一歩手前の女性を育成し登用してきました。その結果、どういうことが起きているのかというと、「次がいない」ということです。課長一歩手前の主任層で課長になれそうな人はすべて課長に昇格させてしまい、その次の層がまだ育ってないのです。本来は、採用や初期キャリアの段階から継続的に「パイプライン」(段階的なプロセスを踏んだ人材管理)を作っておくことが大事なのです。
 その際、男性と違って、女性はキャリア意識が多様であることを考慮することです。多様性に合わせて育成していくことが大事です。スタートダッシュなどキャリアの先取りも行われていますが、女性に関してこれまでは男性をモデルにしたキャリア管理が行われてきました。例えば、商社であれば30代前半になったら一度海外へ出す、といったキャリアを男性に適用できても、すべての女性はそれができないのです。実は男性のキャリア意識も多様になってきているのですが。
 そこで多様なライフイベントを踏まえたキャリア管理をどうするかが、企業の人事として大事になってきています。実は、男性に関しても従来の男性モデルのキャリア管理を見直さなければいけない時期でもあります。

視点4:多様な人材の活躍に対応できる転勤施策を

 大企業では、異動の一部で転勤が必要になります。例えばある食品メーカーの場合、東京で5年間、営業を担当し一人前になっても、「東京と大阪はマーケットが違う」からさらに大阪での実務経験が不可欠として転勤を行っています。このような育成のためのキャリア管理があります。しかしこうした転勤が本当に必要なのか、議論すべきなのです。つまり、「本当に東京と大阪のマーケットが違うのか」に関して検討した上で、これまで異動を続けるかを検討することが必要です。
 転勤対策として企業が導入しているのは、勤務地限定制度です。しかし、「現状の異動・転勤管理をそのままにして、転勤ができない人が出てきたから、そういう人のための制度として勤務地限定制度を導入する」ことは最悪の取り組みです。しかし、多くの企業はこうした理由で勤務地限定制度を導入しています。
 そうではなく、大事なことは「今の異動・転勤が本当に必要なのか」をまず見直すことです。先ほどの話で言えば、東京で一人前になった営業担当者を大阪に転勤させることが本当に必要なのかを考えることが検討の出発点です。
 ただ、銀行であればコンプライアンス上の理由を含めて、3年ごとなどで店舗間異動を行う必要もあるでしょう。しかし、不正防止のためであれば、転勤でなく、一定期間休ませてもいいのです。ところが銀行の多くは、不正防止のために転勤という方法を選択しています。転勤の代替として、休ませることで不正防止ができないのか、そういうことを考えた上で、「この異動は減らせるな」「この転勤は減らせる」と見直すことが必要なのです。
 全国に事業を転換している企業では、異動の在り方を見直しても、ある程度の転勤は必要だと思います。そうした企業では、必要な転勤管理に関して2つのことを変えなければいけません。1つ目は転勤のルールです。例えば3年に一度転勤させていたものを5年にできないか。2つ目は転勤の運用です。企業の多くは転勤に関してその期間を事前に明示していませんが、そうした企業でも海外勤務では、おおよそ3年とか5年と明示しています。例えば「3年」と明示されれば、生活設計がしやすくなります。こうした転勤のルールや運用の見直しをすれば、勤務地限定制度を選ばなければいけない社員はぐっと減るかもしれません。そうした転勤管理の見直しをしても転勤が難しい人がいる場合に、勤務地限定制度を導入することになります。

視点5:多様な部下をマネジメントできる管理職(WLB...

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