落選学生へケアのないケースが5割以上

参加した企業からのフォローについて前述しましたが、ここでは事前選考に残念ながら落選してしまった企業からどんなフォローがあったかを聞いてみた結果を取り上げてみます[図表7]。驚くべきことに「特にない」とする学生が文系で52%、理系で47%に達します。複数の企業の事前選考で落選した場合、すべての企業から「(フォローが)特にない」とする学生だけでこの割合です。1社でも「特にない」企業があったかを聞いたとしたら、この数字はさらに跳ね上がることは間違いありません。
第90回 インターンシップで志望度が下がる例も?どうなる2020年卒
フォローのトップは文系・理系ともに「エントリー受付の開始案内」で、それぞれ32%と33%でほとんど同じです。ただし、この割合も参加学生の場合には5割前後だったことを考えれば、はるかに少ないと言えます。参加学生の約半数には、「早期選考会・面接の案内」がされていましたが、落選した学生にはわずか3%です。インターンシップがセミナーや会社説明会の役割を果たしていることの証しでもあります。この落選学生へのフォローのなさが次の項で見るような結果を招くことになります。

事前選考に落選した学生の4割以上は本エントリーせず

最後に、インターンシップの事前選考で落選した企業に、採用広報解禁後に正式応募(本エントリー)したかどうかを聞いてみたところ、恐るべき結果が得られました。文系44%、理系も43%の学生が応募しなかったと回答しているのです[図表8]。学生からしてみれば、「インターンシップの選考ですら落ちてしまうのに、本選考ではなおさら受かるわけがない」との思いに駆られてしまうのです。前述したように、事前選考にエントリーした後の企業の対応に幻滅した学生もいるでしょう。
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インターンシップの事前選考に落選したら、本選考で合格する可能性がゼロになる企業は、インターンシップ参加者だけを対象に採用活動を展開する外資系コンサルなど、ごく一部の企業にとどまります。つまり、インターンシップの事前選考で落選した学生の中にも、多くの企業ではターゲット学生、あるいは内定者候補になるような学生も含まれているわけです。
参加した学生のフォローばかりに意識がいきがちですが、それよりも大事なのは落選させてしまった学生のケアです。落選後のフォローもそうですが、別の角度から考えれば落選する学生を減らすことも考えるべきでしょう。一つは受け入れられる定員を増やせるプログラムにすること、もう一つはインターンシップの告知を最初から絞り込むことです。特定の大学(キャリアセンター、ゼミ・研究室)を通じての募集活動や、近年伸びているダイレクトソーシング(逆求人型サイトやリファラル採用)の活用です。つまり、やみくもに応募学生数を追い求めるのではなく、ピンポイントで学生を集める工夫をすることです。
従来の母集団形成型の採用活動が見直されてきているのと同様に、インターンシップの募集についても見直すべきです。インターンシップのプログラム内容だけでなく、募集~当日運営~開催後のフォロー(事前選考落選者含む)~選考活動をトータルにデザインすることが求められる時期に来ていると言えます。

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