新卒採用の最前線から提案する、採用成果を最大化する「A&R採用」

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

人材獲得競争が激化し、企業の採用活動の難易度は年々高くなっている。新卒採用も例外ではなく、いわゆる売り手市場による学生の大手志向の高まり、スケジュールの早期化・短期化への対応、働き方改革による一層の業務効率化、AIの活用など、採用担当者が取り組む課題は多岐にわたる。そのような中、「求める人材にいかに効果的に働きかけ、志望度をあげ、入社に結び付けるか」という採用成果に欠かせない点についても、多くの企業が課題を抱えている。
今回は、創業以来30年間にわたり企業の新卒採用を支援している株式会社ヒューマネージで、採用担当者支援サイト「HUMANAGE DESIGN LAB」の運営責任者を務める山田英起氏に、最新の新卒採用市場動向と2020年卒の新卒採用を成功させるためにおさえておくべき点についてお話を伺った。

新卒採用市場は早期化が進む。母集団形成はさらに難しく

――現在、人材獲得競争が激化しており、採用活動も年々早期化・短縮化する傾向にありますが、市場では今、どのような動きが見られるのでしょうか?

最近のトレンドでは、企業が採用広報開始より前の段階で、インターンシップを通じて学生との接点を持つ動きが顕著になっています。実際に学生さんに話を聞くと、就職活動の始まりとして、1dayインターンを含む夏のインターンシップを挙げる方が多くいます。また、当社が提供する業界シェア第1位の採用管理システム『i-web』のデータを見ると、学生のプレエントリー(企業への個人情報登録)は採用広報開始からたった10日間(3月10日)でほぼ終わっており、また、約9割の企業が3月1日時点で本エントリー(選考応募)の受付を開始しています。3月1日より前に採用広報施策が行われ、学生は3月1日から10日間でプレエントリーを済ませ、すぐに個別企業への本エントリーへ軸足を移している状況です。


――売り手市場が続く中で、企業は具体的にどのような悩みを抱えていると感じていらっしゃいますか?

現場の採用ご担当者様からは、母集団の形成が難しいという声を多く聞きます。応募人数を増やすためにいろいろな施策を講じるものの、なかなか効果が出ないと苦戦されている企業様も多いです。少子化になり、採用活動が早期化・短縮化する状況下では、母集団が小さくなるのは当然の流れといえます。多額の費用を投入すれば、ある程度まで母集団を大きくすることは可能かもしれませんが、人数が増えても、自社に興味の薄い応募者ばかりでは意味がありません。「何人集まった」ということより、自社に少しでも興味を持った応募者を、いかに次のステップにつなげるか、さらに内定までつなげるかが、現在の採用活動では大事なポイントとなります。
もちろん、母集団形成のための施策が不要というわけではありません。大切なのはバランスです。


――人材要件を明確化し、ターゲットを絞ることに苦戦しているという採用担当者の声もよく聞くのですが、そのような企業にはどのようなアドバイスをされていますか?

ひとつは、適性検査の活用です。科学的なデータをもとに人材要件を明らかにすることをお勧めしています。入社後の活躍をトラッキングし、人材要件の精度を年々高めることも併せて提案しています。
もうひとつは、インターンシップの活用です。インターンシップは学生自身がその業界や企業にあっているかの見極めができるだけでなく、企業側もどのような学生が自社にマッチするのか、人材要件の妥当性をリアルな場で検証することができます。また、インターンシップの選考で適性検査を実施し、そのデータから自社の応募者の傾向を分析し、本選考の施策にいかすこともできます。

採用フェーズに応じた目的の明確化と施策実行が成果向上の鍵

――新卒採用におけるチャネルや取り組みが多様化する中、いつ何を行えば効果的なのかがわからない採用担当者も多いようですが、どのような考え方が必要になるのでしょうか?

当社では、採用活動で企業が行う施策を、「就活生の注目を集めるための『アトラクション施策』」と、「プレエントリー者の興味・関心・志望度を高めるための『リテンション施策』」の2種類に分けています。採用活動の効果を最大化するために必要なのは、資金や人材といった限りあるリソースを「アトラクション施策」と「リテンション施策」の両方に最適に分配すること、また、採用活動の各フェーズで、そのタイミングに最も適した施策を打つことです。
まず、採用活動の本格的な開始前に実施される、インターンシップや就活イベント、就職情報サイトへの広告出稿、合同説明会への出展など、就活生に注目してもらうフェーズで認知を促進するための活動が「アトラクション施策」になります。BtoB企業など、一般的には学生への知名度が高くない場合、効果的なアトラクション施策を打たなければ会社の存在自体を知ってもらえません。認知は後になって広めるのが難しいので、就職活動の初期に行うことが重要です。
認知の後は、学生の興味関心を高める→選考に参加したいと思ってもらう→そして実際に選考に参加してもらう、という各フェーズへと順に進んでいきます。その各段階で応募者へ行う働きかけが「リテンション施策」です。採用ホームページやマイページを通じた情報提供、会社説明会や面接の場における応募者とのコミュニケーションなどが該当しますが、応募者の理解度合い・志望度合いに合わせて効果的な打ち手を設計する必要があります。
アトラクション施策もリテンション施策も、施策の内容は多岐にわたりますが、「あれもこれもやらなくてはならない。でも何から手をつけてよいのかわからない」とならないために、それぞれのフェーズにおける目的と成果イメージを明確にすることが大切です。

この後、「アトラクション施策」「リテンション施策」の最適化や、採用管理システムを利用した情報発信のポイントなどを、より具体的に伺います。続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。


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著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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