学生が求めるインターンシップとマッチングの課題

学生と企業の最適なインターンシップ・マッチングをAIで実現する~ 学生が制作、運営に参加する「スカウトシップ」の仕組みとは
寺澤 では、現在のインターンシップの状況についてお尋ねしたいと思います。実に多くの企業がインターンシップを行うようになりました。しかし、少子化の影響で人材採用が難しくなったこともあり、学生の成長を促す場というよりも、採用手法としての意味合いが強くなっています。単にエントリーが早くなっただけではないかという見方もされるようになってきました。そんな状況をどのようにご覧になっていますか。

渡辺 インターンシップは以前よりかなり多様化してきていると思いますが、それらを大きく分けると、採用のために早いうちから学生との接点を持ち母集団を広げていこうというインターンシップと、大学主導で学生の実践力向上につなげていこうというインターンシップの二つがあります。そのどちらが良いとか悪いとかということではなく、目的が違うわけですが、学生にはその違いはなかなか理解できない。そこをきちんと伝えていく必要があると思います。それに、「実践力をつける」ということを教育のコンセプトに掲げる大学が増えているのですが、学びにつながるインターンシップはまだまだ多くはありません。そこを私たちがお手伝いできればと思っています。

寺澤 大学生は本音ではどのようなインターンシップを求めているのでしょうか。

渡辺 インターンシップは学生にとってもポピュラーになりましたので、やろうという意欲も大学入学時から高いようです。1年生の夏休みが終わった段階の学生ですら85%くらいがインターンシップをやろうと思っています。それは2年生になっても変わらず、3年生の夏休みにはピークになります。ところが、実際にインターンシップに参加した学生は半分くらいしかいません。意向はあっても、機会がマッチしないのです。非常にもったいないことですね。なぜかというと、就職活動と同様、学生はインターンシップでも大手志向だからです。学生は社会のなかにどのような仕事があるか、ほとんど知りません。そのため、分かりやすい企業名や会社規模で考えてしまう。それ以外の企業に興味を持てる機会そのものがないんですね。この状況を変えるためには、学生が本人の持つ知識だけで選ぶ、という構図から変える必要があると思います。

寺澤 なるほど。働いたことがない学生には企業のことが分からないのは当たり前ですが、そのため、就職したい企業を軸にインターンシップ先を選んでしまい、仕事を軸にして選ぶことができない。そこをどう調整するかが問題なわけですね。

渡辺 そこで、企業側からインターンシップを通して「こんな体験ができる」「こんな学びにつながる」「こんな力が伸びる」ということを学生に提案してもらい、学生はそれを見て、学びの場を選ぶ──、そんな仕組みが作れないかと考えました。

学生が本当に欲しいプラットフォームを学生たちとともに作る

寺澤 それで、学生視点に立ったインターンシップのマッチングサイト「スカウトシップ」を始められたわけですね。

渡辺 はい。実はこのサイトの制作、運営そのものにも学生が関わっています。弊社は大学や学生とのネットワークがありますので、その中から学生が集まり、現在は10人くらいのプロジェクトメンバーがインターンとして働いています。学生自身が、自分たちの欲しいインターンシップのプラットフォームを目指して作っていく、それがこの「スカウトシップ」の理念の源になっています。

寺澤 それは興味深いですね。具体的にはどのような仕組みのサービスなのでしょうか。

渡辺 登録を希望する学生はまず、サイト内でアセスメントテストを受けます。この診断は、企業へのアピールのためでなく、あくまで学生の自己分析の材料として提供されています。それから、先輩・友人・後輩などによる360度評価の結果も入力します。これをもとにサイト側で学生の志向性分析を自動的に行います。
一方、企業側は自社のインターンシップの内容と求める学生の志向性を登録します。これらをもとにAIが学生とのファーストマッチングを行い、そのリストが企業側に示されます。加えて学生の専門性やスキル、興味度合いで絞り込み検索をすることもできます。
リストは、名前、住所などの個人情報は分からない形になっていますが、前述したアセスメントによる志向性や学生の自己PR、今後伸ばしたい能力などは分かるようになっています。そのため、個々のパーソナリティに着目して検討することができます。このリストをもとに学生にオファーを出し、学生がそれに応じることでインターンシップのマッチングが成立するということになります。

産学連携の人作りを

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