第93回 今期の話の前に、前期の話(フィードバックの重要性)

強いチームをつくる『上司力』

多くの企業で、期の初めに上司と部下で「目標設定面談」のような機会が設けられています。その期の目標について話し合い、「チャレンジシート」「目標管理シート」等と名付けられたシートに、目標を書き入れて「今年も、目標に向けてがんばって行こう!」という終わり方をするものです。一般的に目標管理制度と呼ばれています。
皆様の企業にもこのような制度があるかもしれませんが、一つ質問させていただきます。その制度は、うまく機能していますか?
もちろんうまく機能している企業もあると思いますが、私の知る限りでは、かなりの企業でこの制度は形骸化しています。「1年に1回の儀式」のような形になっているだけで、何のためにやっているか、上司も部下も良くわかっていないという状況も少なくありません。

そもそも、このような目標設定面談は、「目標を決める」ことそのものが目的ではありません。大きな目的は「人材育成」です。
現在の自分のレベルや課題に応じて目標を設定し、目標達成に向けて仕事をすることで「成長する」ことが目的なのです。また、自分で掲げた目標を達成することで「達成感」を味わうことができ、自信がつきモチベーションも上げることができます。

本来はこのように人材育成を狙い、うまく運用すれば非常に効果が高いと思われる目標管理制度ですが、なぜ単なる「儀式」に終わってしまうのでしょうか?
様々な原因は考えられますが、大きな原因の一つに「前期のフィードバックをしていないから」というものが挙げられます。
フィードバックというのは、前期の人事評価の結果を上司が部下に伝え、「どの点がうまくいって、どの点がうまくいかなかったか。今後どのような課題に取り組む必要があるか」を一緒に考えることです。
 
「人事評価者研修」等を受けたことがある方は、研修の中でフィードバックのやり方をロールプレイングで練習したかもしれません。しかし、練習したにも関わらず「実は、フィードバックをしていません…」という方がかなり多い実態があります。
フィードバックをしましょう!フィードバックをすれば、期の初めに行う目標設定面談が非常に意味のあるものになります。

では、なぜフィードバックをすると、目標設定面談が意味のあるものになるのか?
それは、年間の自分の行動を振り返り、「現在の上司からのリアルな評価」を目の当たりにすることで、「もっと評価を上げるために、色々やらないといけない」と強く思うからです。その気持ちの中で、「今期どうすればもっと成長できるか?」つまり、「より良く評価されるか?」を話し合えば、真剣に今期の課題を考え、チャレンジングな目標を設定しようという気持ちになるでしょう。
逆に、フィードバックが行われず、前期の評価も課題もあやふやなまま、今期の目標だけを考えようとすると、「あまり無理な目標は立てたくない…」「達成できる無難な目標を設定したい」という気持ちが起こる人が少なくないはずです。

皆さんの部下は、目標設定面談の際に「弱気」な目標を立てようとしていませんか?
もし、そのような傾向が見られるのであれば、それはフィードバックがしっかり行われていないからかもしれません。
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著者プロフィール

株式会社ジェック CPM経営変革推進統括 取締役 松井 達則

1972年生まれ。立教大学卒業。アメリカン・エキスプレスを経て、2001年株式会社ジェックに入社。通信業界・住宅業界・不動産業界・食品メーカーをはじめ、多くの業界に対してリーダーシップ教育及び現場変革コンサルティングの経験がある。特に、営業部隊の変革には定評があり、これまで多くのプロジェクトリーダーとして顧客成果を創出している。近年は「自律型人材育成」をテーマに、創造的な職場づくりへの取り組みに力を入れている。
【著書】 『メモテク』(かんき出版)、『営業のプロが教えるすごい仕事術』(日本実業出版社:共著)
【執筆】 『ザッツ営業』(日本実業出版社)、『企業実務』(日本実業出版社)、『近代中小企業』(データエージェント)

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