「ブラック企業」=「残業代が支払われない」

次に、何かと話題になる「ブラック企業」についても確認しましたので、その結果を見てみましょう[図表5]。まずは、自分が志望する企業が「ブラック企業」かどうかは気になるのかを聞いたところ、「かなり気になる」63%、「少し気になる」29%となり、合わせると9割以上の学生が「気になる」と回答しています。
第85回 2019年卒学生の残業観、インターンシップ参加率は?
居酒屋「和民」などでなじみのあるワタミや、広告代理店最大手の電通など、ここ数年、学生にも知名度の高い企業でブラック企業体質が騒がれましたので、極めて高い数字となっています。「気にならない」と回答している学生は、超大手企業を志望しているために安心・安全だと考えているのかもしれませんが、企業には、社会・消費者といった外に向けた顔と、社員(内)に向けた顔があることを理解したほうがよいでしょうね。「大手企業 = 社員にとって優良企業」では必ずしもないですし、逆に規模は小さくても社員にとって優しい、誠実な会社もたくさんあります。
次に、何をもって「ブラック企業」だと思うのかを聞いてみました[図表6]。トップは、昨年同様「残業代が支払われない」で、89%とほぼ9割の学生が「ブラック企業」の特徴であると認識しているようです。次点の「パワーハラスメントが多い」(65%)とは、20ポイント以上も差があり、断トツのトップとなっています。
第85回 2019年卒学生の残業観、インターンシップ参加率は?
また今回は、「セクシャルハラスメントが多い」が57%で3位に入っています。ハリウッドの映画プロデューサーによるセクハラ疑惑に端を発し、Twitter上では「私も」を意味する「#MeToo」が一気に拡散し、世界的なセクハラ告発運動が展開されたことも大きいと思われます。その他の特徴として、「離職者が多い」(56%)、「勤務時間管理がされていない」(52%)などが高くなっています。「残業代が支払われない」は9割近かったのに対して、「残業が多い」は42%とその半分にも達しておらず、残業の多さは「ブラック企業」の代名詞にはならないようです。残業時間の程度にもよるのでしょうが…。

残業の許容時間は月間30時間まで

その残業時間について、具体的な許容時間を聞いてみました。まずは、文系と理系での意識の違いを見てみたいと思います[図表7]。文系、理系ともにボリュームゾーンは「月30時間くらいまでの残業ならいい」で、文系の37%、理系の46%が選択しています。通常月であれば、1日平均1時間~1時間半といったところでしょうか。「残業はないほうがいい」「月15時間くらいまでの残業ならいい」までを合わせると、文系では85%、理系でも77%に達します。
第85回 2019年卒学生の残業観、インターンシップ参加率は?
逆に言えば、1日1時間半以上の残業を許容する層は、文系では15%、理系でも23%しかいないということになります。社会に出てしまえば、実際にはそれ以上の残業になる会社のほうがまだまだ多く、好むと好まざるとに関わらず、それ以上の残業をせざるを得ないことになるのでしょうが。企業側は、この学生の意識を認識した上で対応する必要があるでしょう。かつて、「24時間戦えますか!」などというCMが毎日のように流れた時代があったのは、もはや遠い昔なんですね。

大学クラスにより大きく異なる残業観

残業に対して、文系よりも理系のほうがやや許容範囲が広いのは、研究室での実験経験が大きいと思います。実験を一度始めたら、均一の実験環境でのデータを取得する必要性を考えれば、時間で終了するのではなく、ある区切りまでは何時になろうが実験を続けなくてはなりません。研究室での経験は、学問というよりも仕事に近いのだと思います。
今回、残業時間に対する学生の意識について、面白い結果が出ましたのでご紹介します。文系、理系の比較だけでなく、文系の中での大学クラス別の比較をしてみたところ、[図表8]のような結果が得られました。
第85回 2019年卒学生の残業観、インターンシップ参加率は?
旧帝大クラスでは、「月60時間くらいまでの残業ならいい」とする学生が21%、「月80時間を超える残業でも構わない」とする学生が7%で、いずれもすべての大学クラスの中で最多となっており、「月15時間くらいまでの残業ならいい」は14%で最少となっています。早慶クラスも「月60時間くらいまでの残業ならいい」とする学生は19%と、旧帝大クラスに次いで多くなっている一方、「残業はないほうがいい」とする学生は11%で最も少なくなっています。
これに対して、中堅私大クラスを見てみると、「残業はないほうがいい」とする学生は27%にも達し、「月60時間くらいまでの残業ならいい」とする学生はわずか5%にすぎません。「月80時間くらいまでの残業ならいい」「月80時間を超える残業でも構わない」とする学生に至っては皆無です。[図表8]を見ると、見事に右肩下がりのグラフ傾向にあることが分かります。上位校の学生ほど「バリバリ働く派」が多く、そうでない大学の学生ほど「ライフワークバランス派」が多いと言えそうです。残業の多さや許容度で評価するのではなく、あくまでも成果で評価すべきなのは当然ですが、残業をしてでも成果を出そうとする意欲の表れとも受け取れるのではないでしょうか。

文系学生の1割は10社以上のインターンシップに参加

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