インタビューを終えて

黒田顧問のお話には緊張感の走るエピソードがたくさんあり、大変なご苦労をなさってこられたことが想像できた。事実、両国をつないだこれらの功績を認められ、天皇陛下やインドネシアの大統領から表彰もされている。これまで相当気を張って仕事をされてきたのだろう。

顧問の話し方は、日本語はもちろんインドネシア語にも“伊予弁”が入っているせいか、誰の耳にも優しく響く。そして日本人にもインドネシア人にも、若い人にも年配の方にも、裏表なく「対等」に接していらっしゃる。ゆえに周りの人はみんなにこやかに“身内”のように、黒田顧問に話しかける。このように実績においても人柄においても、顧問は非常に強い信頼関係を築いておられるのだ。

このような立ち居振る舞いを見ていると、異文化というのは、決して国籍の問題だけではないと実感させられる。同じ国籍であっても、年代、宗教、慣習、性別、異なる価値観を持つ。つまり、自分以外はすべて異文化で、世界には「70億種類」の異文化があるということになる。その違いを受け入れ、お互いをリスペクトし、信頼関係を築くことこそ大切なのだ。そう考えると、自分の生活すべての局面で、適応力を高めるチャンスがあるのだと思った。黒田顧問には、今後もお健やかに末永くご活躍いただきたい。
第3話:異文化理解のために押さえるべきポイントとは
取材協力:黒田憲一(くろだ けんいち)さん
PT. Toray Industries Indonesia (PT.TIN) 顧問 兼 PT. Jabato International 会長 兼 PT. Century Textile Industri Tbk. (PT, CTX) 社外取締役

1936年愛媛県松山市生まれ。1955年東レ株式会社愛媛工場入社、1971年インドネシア・センティック・テキスタイル・ミルズ社に出向。1974年東レ株式会社愛媛工場労務課、1980年インドネシア・センティック・テキスタイル・ミルズ社に出向。1988年インドネシア・トーレ・シンセティクに出向。1990年東レ株式会社 在インドネシア国東レ代表補佐となる。1995年同職 兼PT. Jabato International 社長に就任。2000年、在インドネシア国東レグループ顧問 兼 PT. Jabato International 会長に。2003年PT. Toray Industries Indonesia (PT.TIN) 顧問 兼 PT. Jabato International 会長。2014年同職 兼 Century Textile Industri Tbk. (PT, CTX) 社外取締役となる。

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