■チェンジマネジメントの実際

ではチェンジマネジメントの5つのフェーズについて詳しくご説明いたします。
明確化フェーズでは、まず経営層に対してインタビューを行い、リーダーのビジョンを把握する。さらに中間層やスタッフ層に対してもインタビューやアンケートを実施し、現場の意識を把握する。またプロジェクトチームに関しては、変革のビジネスケースを定義する(各層の状態、業務内容を把握し、変革による影響を検討)。
続いて周知フェーズでは、まず経営層に対してインタビューを行い、リーダーの変革への意識を確認する。さらに中間層に対しては、ステークホルダーを把握し(中間層における重要人物を特定して、改革の計画をシェア)、スタッフ層に対してはチェンジエージェントを把握する(現場で影響力の強いスタッフを特定し、改革の計画をシェア)。プロジェクトチームに関しては、コミュニケーション計画を策定する(プロジェクトのどのタイミングで、どのルートで、誰に対して、何のメッセージを伝えていくかの詳細計画)。
続いて具体化フェーズでは、まず経営層が各現場(支社・支店)などへ出向き、改革のビジョンを発信。中間層はステークホルダーと、スタッフ層はチェンジエージェントとの関係を構築する。またプロジェクトチームに関しては、変革後の新しい行動を定義し実現のための準備を実施(実現フェーズにおいて実施するトレーニングの詳細計画を立案し、必要な素材を準備する)。
続いて実現フェーズでは、経営層は継続的に改革に参画し、中間層はステークホルダー、スタッフ層はチェンジエージェントのネットワークを活用し、またそれぞれトレーニングを実施。プロジェクトチームに関しては、変革による影響を測定する(変革前後での変化を測定するために設定したKPIに対し、変革の影響測定を実施)。
そして最後の定着化フェーズでは、経営層、中間層、スタッフ層、プロジェクトチームが一緒になって、「働き方改革」継続プロジェクトチームを組成。メンバーとしては経営層をオーナーとし、改革に貢献したステークホルダー、チェンジエージェントが参加します。これによって運用体制を確立し、変化のモニタリングを行うというわけです。
■働き方改革の成功事例

~長時間労働回避の対策をしたB社の例~
ここで時短の対策をされたお客様の事例をご紹介いたします。製造業のB社(従業員数:約2,000名)は残業が常態化していました。経営層は生活残業が原因と考え、単純に時短のための管理を強化するように各拠点に指示をしましたが、時短が進まないため、「働き方改革プロジェクト」を実施。そんな中、弊社はB社に対して次のような支援を行いました。まずは分析の結果、業務が非効率に行われており、多大な残業が発生するほどの過剰労働状況であることを把握。そこで非効率な業務・プロセスを炙り出し、改革を実行しました。
生産性向上においては、業務内容の再検討による職務記述書の再定義や、製造・営業・サポート各業務のプロセス改善、RPAによるノンコア業務の省力化など。また、人財活用(タレントマネジメント)においては、評価制度の変更、スキルセットとタスクの難易度のマッチング、ラーニング管理システムによる人材育成など。こういった支援を通じて、現在B社では時短に向けた働き方改革が進行中です。
【日本マイクロソフト主催】「働き方改革」におけるチェンジマネジメントとは


■改革を成功させるために

最後に働き方改革を成功させるための3つのポイントをご紹介します。1つ目は、働かせ方改革ではないということ。“社員を”ではなく、“社員が”自主性を持って改革することが大切です。2つ目は、仕組みだけの整備では効果は少ないということ。ビジネスの変革であることを意識しましょう。そして3つ目は、従業員だけでなく経営陣や管理職の意識も改革すること。法制対応だけでなく、会社にとって意味のある改革が必要です。

ご静聴ありがとうございました。

「働き方改革を推進する新しいコミュニケーション手法の...

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