グループワーク中心の1Dayインターンシップ

前項では採用セミナーとの違いを聞いてみましたが、インターンシップ本来の趣旨である「仕事体験」の要素があるのかを聞いてみたところ、企業規模による差異はあるものの、圧倒的に多いのは「仕事に関連したテーマのグループワークがある」とする回答でした[図表6]。全体で51%、大企業に至っては73%にも上ります。「実際の仕事に近いものが含まれている」とする割合が多いのは、大企業よりもむしろ中堅企業のほうです。中堅企業では、「実際の仕事に近いものが含まれている」が39%で、「仕事に関連したテーマのグループワークがある」の44%と大差はありません。一方の大企業では、「仕事に関連したテーマのグループワークがある」が「実際の仕事に近いものが含まれている」に50ポイントもの差をつけています。応募者が多い中での運用では、グループワークが限界といったところなのでしょう。
第83回 花盛りの1Dayインターンシップ ── 果たしてその内容は
「仕事体験的な要素はない」とする回答が最も多かったのは中小企業で、22%にもなります。これは、インターンシップの内容を聞いた設問で「採用セミナーとほとんど同じ」と回答した企業の割合21%とほぼ一致します。インターンシップとは名ばかりで、単なる企業説明会になっている例が多そうです。それでも学生からの評価では、「効率的に(短時間で)業界や会社のことを知ることができた」と好意的に受け止めるコメントが多く、もはや教育施策の一環としてではなく、就職活動の一環として割り切って参加している学生が多いことをうかがわせています。

4段階のインターンシップ実施例も

昨年夏から実施されたインターンシップの具体的な内容も見ておきましょう。フリーコメントでの回答内容をご紹介します。

●業界理解のシミュレーションゲーム、当社理解の実習、改善プレゼン(1001名以上、商社・流通)
●各部署に配属されたと仮定した体験型ワークショップ等(1001名以上、商社・流通)
●エンジンの新規開発企画。市場調査を行い、当社がどのようなエンジンの新規開発を行えばよいかを企画(1001名以上、メーカー)
●社内各部署での職場見学、経営課題を与えてのグループディスカッション(1001名以上、メーカー)
●自己分析型のインターン(1001名以上、サービス)
●業界および会社概要説明、支店での業務全般、電話応対、接客対応(301~1000名、サービス)
●現場実習(約8割)および座学(約2割)(301~1000名、サービス)
●会社説明、会社見学、グループワーク(仮想経営課題について)、先輩社員との座談会(301~1000名、メーカー)
●研究施設、工場で1週間ずつ体験実習(301~1000名、メーカー)
●ソフトウェア開発の実務体験(300名以下、情報・通信)
●会社説明、コーディネイト体験、内定者の体験談、自己分析のヒント(300名以下、商社・流通)
●現場見学、業界レクチャー、営業同行、目的目標講座(300名以下、運輸)

複数タイプのインターンシップを組み合わせて実施している例もあります。

●半日間の仕事体感インターンシップを行い、そこで興味を持った学生のみを対象に、2週間の本格的な仕事体感インターンシップを募集(300名以下、サービス)
●半日タイプで業界研究(業界紹介と将来性)、ビジネス体験ゲーム、若手社員との座談会を実施し、1週間タイプで工場見学、CAD操作、製品組み立て、若手社員との座談会を実施(301~1000名、商社・流通)

さらには、他社との協働インターンシップと自社単独インターンシップを組み合わせ、年間を通して4種類ものインターンシップを実施している企業もあります。

●①関係グループ会社9社の協働インターンシップ(2日+α)を通年で20回開催、②IT企業(グループ外)3社の協働インターンシップ(1日)を8~12月で4回開催、③1①と②のイベント参加者向けの自社単独インターンシップ(2日)を通年で13回開催、④③の参加者向けの自社単独インターンシップ(1日)を通年で6回開催(1001名以上、情報・通信)

意外とフィードバックができていない大企業

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