Sales Enablementアプローチ

SFAを活用していくと、当然多くのデータがたまっていきます。これを利用して「営業人材育成の成果指標(KPI)」を定めることが重要です。皆さまの会社では、営業人材開発のKPIは明確に定められているでしょうか。またそのKPIは、営業のビジネス成果にきちんと連動しているでしょうか。

弊社ではいくつかの指標を設定しています。まず、基礎となるのがプロセスKPIです。これは、トレーニング回数やサーベイ、コーチングの回数や改善率、営業コンテンツの提供数や満足度を指標としています。

さらに弊社では、ビジネスKPIも設定し、営業の年間達成率の中央値を重視するようにしています。中央値が前年からどう変化したかを指標にすると、その値を上げるための効果的な施策を考えることができます。この時、平均値を見てしまうと、一部のハイパフォーマーが平均値を底上げしている場合があるため、実態を見誤る可能性があります。
筋肉質な営業組織はこう作る!営業部門に特化した「セールス・イネーブルメント」という人材開発の仕組み
中央値を上げるための施策は、以下の3本柱で進めます。

ステップ1:Learn(知る、学習する)…トレーニングの提供による施策
ステップ2:Apply(学んだ知識を現場で適用する)…フィールドコーチングの提供による施策
ステップ3:Leverage(ある程度動ける人が効率的に動く)…営業ツール/ナレッジの提供による施策
筋肉質な営業組織はこう作る!営業部門に特化した「セールス・イネーブルメント」という人材開発の仕組み
多くの場合、「トレーニング」「コーチング」「ツール」を個別で提供しているかと思いますが、弊社ではこのようにステップを踏むことを重視しているのが特徴です。

なお、施策を考える際、弊社ではデータ分析を重視します。本当に必要な施策を、以下の2つのデータを掛け合わせて検討します。

1つ目は、SFA/CRMのデータ、つまり「営業の達成率」のデータです。中央値の分析がこれに当たります。ここでビジネスのパフォーマンスと施策が紐づくことになります。2つ目は、イネーブルメントのデータ、つまり人材開発支援の結果に関するデータです。トレーニング履歴やコンテンツの活用履歴などを、「学習回数」として管理します。

この2つのデータを掛け合わせると、プロット画面が作れます。縦軸が「営業の達成率」、横軸が「学習回数」です。これを細分化して見ていくと、4象限に分かれることがわかります。右上の第1象限に当たるのは、トレーニングに出て目標を達成している「模範的営業」の人たちです。彼らに対してはコーチングを行います。左上の第2象限は、トレーニングに出ていないのに目標を達成している「天才あるいはまぐれ」の人たちです。彼らにはトレーニングを提供します。左下の第3象限は、トレーニングに出ずに達成率も低い「要継続学習」の人たちです。彼らにもトレーニングを提供します。最後の右下の第4象限は、トレーニングには出ているがパフォーマンスがなかなか上がらない「実践力向上」の必要がある人たちです。彼らにはフィールドコーチングを提供します。このように、打つべき施策が当てはまる象限によってそれぞれ違うのがポイントです。

人材育成のPDCAサイクルと仕組みづくりのプロセス

この記事にリアクションをお願いします!