女性採用がなかなか進まないメーカー

2016年4月1日に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(通称:女性活躍推進法)では、301名以上の企業に対して、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表を義務付けています。数値目標の指標として、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率などと並んで、女性採用比率が挙げられています。

そこで、内定者に占める女性の割合についても聞いてみました。その結果、従業員規模による違いもあるものの、それよりも大きく違いが見られたのが「メーカー/非メーカー」による差でした[図表6]
第82回 内定充足率の差は○○の差
女性内定者割合が「30%未満」の企業割合で比較してみると、非メーカーでは大企業32%、中堅企業38%なのに対して、メーカーでは大企業でも60%、中堅企業に至っては84%という状況です。メーカーの採用の中心となる理系では、化学や薬学といった女子学生の多い専攻もある一方、機電系や土木など女子学生がもともと少ない専攻もあります。また、文系採用においても、食品や住宅など女子学生に人気の業種もあるものの、総じてメーカー人気は低いのが現実です。メーカーで女性採用比率を高めるには、ターゲットとなる「リケジョ」を増やす教育変革から始める必要があるのではないでしょうか。

それでも女性採用は増加傾向に

メーカーは、内定者に占める女性の割合では非メーカーに後れを取るものの、女性の採用を増やそうという努力はしているようです。内定者に占める女性の割合を前年と比較して見たのが[図表7]です。中小企業も含めた全体のデータと、メーカー/非メーカーの大企業と中堅企業のデータです。
第82回 内定充足率の差は○○の差
どの従業員規模でも最多は「ほぼ前年通り」で、大企業では約5割、中堅企業でも約4割に及びます。ただ、増減の比較で見ると、全体でも「前年よりも少ない」とする企業は21%に対して、「前年よりも多い」企業は30%と、「前年よりも多い」企業のほうが多くなっています。「前年よりも少ない」とする企業は、大企業に限ればメーカーで14%、非メーカーでは10%にとどまっています。一方の「前年よりも多い」は、メーカーで27%、非メーカーでは40%に達しています。メーカーも女性採用を増やそうとする姿勢が十分にうかがえます。

ただ、中堅企業となるとやや状況が異なります。非メーカーでは「前年よりも少ない」19%、「前年よりも多い」が29%と、「前年よりも多い」企業のほうが多くなっていますが、メーカーでは「前年よりも少ない」と「前年よりも多い」のどちらも32%できっ抗しています。中堅メーカーでは「前年よりも少ない」企業の割合が突出して多くなっているのが気になるところです。女性採用に消極的ということではないのでしょうが、もともと人数が少ない理系女子を大企業に採られて、結果的には採用ができていないのかもしれません。

「早期化」「インターンシップ」「選考期間の短縮化」が...

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