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人材育成コラム-プロが教えるコツとポイント-

組織で考えるメンタルヘルス対策

トーマツ イノベーション株式会社 編集部
2018/01/10

多くの組織がメンタルヘルス対策として、OFF-JTの研修や、専任スタッフによる体制整備などの取り組みを徐々に始めています。従業員個人の問題と捉えられがちなストレス対処方法ですが、組織がサポートすることはできるのでしょうか?
現在、労働者の自殺者数が9,000人前後で推移しています。その原因には、職場の人間関係や業務内容、勤怠問題など職場における様々な要因が含まれています。
その対策として、企業ごとにメンタルヘルス研修の実施や、労務管理上ポイントとなるマネジメント研修など、様々な施策を導入するケースが増えています。一方、国全体の取り組みとして2015年12月1日から労働安全衛生法改正に基づく『ストレスチェック制度』が開始されました。これにより自身のストレス状況を把握する機会を企業が従業員へ提供し、一次予防、二次予防を促進させる狙いです。企業は高ストレス者に、医師による面接指導を踏まえて、時間外労働の制限や、配置換え等の措置を勘案する必要があります。

従業員のメンタルヘルス不調を早期発見できた場合、高ストレス対象者の業務負荷を減らす、配置転換をするなどの対応がなされることが大半です。しかし、何らかの対応をしてもすぐに人員補充ができず、ほかの従業員の業務負荷が必然的に増加し、業務負荷のひずみが解消できないままメンタルヘルス不調が従業員間で繰り返され、連鎖する可能性が高まります。

では、本質的にメンタルヘルス不調による組織へのネガティブな影響を抑え、また、メンタルヘルス不調の連鎖を防ぐために、企業は従業員にどのようなアプローチができるでしょうか。

研修でストレス耐性の強い人と仕組みをつくることで組織が強くなる

そもそもストレスとは「刺激」を意味し、その人にとって必ずしも悪い影響のみだけでなく、良い緊張感や影響をもたらす場合も大いにあります。例えば、同じ業務負荷や職場環境であっても、良いパフォーマンスを発揮する原動力になる人もいますが、人によってはメンタルヘルス不調の原因にもなり得るということです。この違いは、個人特性に起因されがちですが、果たして個人がストレス対処能力を高めることは可能なのでしょうか。

そのためのヒントとして、「Sense of Coherence (SOC)」という考え方をご紹介いたします。 SOCとは、「首尾一貫感覚」と訳されます。「困難を乗り越える力」とも言われており、生涯高め続けることができるとされています。これは医療社会学者アーロン・アントノフスキーが解明した考え方で、ナチスドイツのユダヤ人収容所から生還した人々のうち、心身ともに健康で有り続けた人の共通点を体系化したものです。SOCは「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」の3つで構成され、これらの感覚が強い人は、弱い人よりも精神的健康が良好でメンタルヘルス対策ができていると言われています。

「把握可能感」とは
自分の置かれている状況を理解できている、また今後の状況がある程度予測できると思える感覚。
自分の感情の変化を把握し調整するなど、仕事の目的や状況の原因を整理することで高められます。

「処理可能感」とは
ストレスに対して、それを処理できる資源(人やもの)があるため、「なんとかなる」「なんとかやっていける」と思える感覚。
サポートを求められる人間関係の構築や、自分ができることを積極的に列挙して見つけることで高められます。

「有意味感」とは
ストレスについて、乗り越えるべきものと信じ、日々の営みへのやりがいや生きる意味を見いだせる感覚。
自己分析を行い、何をしたいのか(Will)、今すべきこと(Must)、できること(Can)を意識することで高められます。

上記のことを一人ひとりが意識することも勿論大切ですが、組織として目標設定やフィードバック、社内ルール、役割の明確化を行うことで、従業員のストレス耐性強化の効果が期待できます。感情マネジメントや、目標や役割の与え方といった研修は、把握可能感・処理可能感・有意味感を育む仕組みづくりと考えられます。SOCを持ち、メンタルヘルス対策でストレスに強い従業員の育成、ひいてはストレス耐性が高い組織をつくることが重要です。

<参考文献>
浦川加代子(2012)「首尾一貫感覚 Sense of Coherenceと生活習慣に関する研究の動向」
三重看護学誌14巻1号 職場におけるメンタルヘルス対策の推進について

中村雅和/中辻めぐみ/福本正勝/片山雅也
『管理職のための今、どうしたらよいかが分かるメンタルヘルスケアQ&A』第一法規

蝦名玲子(2012),『ストレス対処力SOCの専門家が教える"折れない心"をつくる3つの方法』,大和出版

蝦名玲子(2012),『困難を乗り越える力』,PHP研究所
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プロフィール

トーマツ イノベーション株式会社 編集部

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