インターンシップ参加者の4割以上が参加企業から内定取得

インターンシップと採用がどの程度結び付いているかを測る指標の一つとして、インターンシップ先企業に応募した学生の採用内定率があります。「(インターンシップ先企業で)内定が出た」とする学生が文系・理系ともに4割を超え、「選考前」や「選考中」の企業もあることを考えると、理系においては5割に達する可能性もあります[図表4]
採用直結をうたうインターンシップはまだそれほど多いわけではありませんが、直結をうたわないまでも何らか採用活動につなげている企業が多くなっています。インターンシップ参加者を対象にした次のインターンシップが実施されたり、一般学生に先駆けて早期選考会が開催されたり、中には優秀と判断した学生に対してはエントリーシートの提出を免除したり、1次選考を免除したり、リクルーターによるフォローを行ったりする企業もあります。そうでなくとも、インターンシップで知り得た内容を面接で話すこともでき、参加していない一般学生より有利であることは否めません。こういったデータを見れば、学生はインターンシップに参加せざるを得なくなるでしょう。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は

6割以上がインターンシップ事前選考で落選経験あり

インターンシップの参加枠は、職場での就業体験タイプの場合、少ない場合にはわずか数名ということもあります。受け入れ人数の多い1Dayタイプのインターンシップでも、応募学生を青天井で全員受け入れることはできず、結果、「エントリーシート」「適性検査」「面接」等で参加者を絞り込むことになります。学生に、インターンシップに参加するための事前選考で落選したことがあるかを聞いたところ、文系、理系ともに6割以上の学生が落選を経験しています[図表5]。人気企業のインターンシップともなれば、定員に対して何十~何百倍もの応募が集まるわけで、落選を経験することはある意味当たり前で、複数社のインターンシップに応募して、一度も「落選したことがない」という学生のほうが貴重だといえます。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は
インターンシップの事前選考で落選した経験のある学生に志望度の変化を聞いたところ、最も多かったのは「変わらない」で、文系で58%、理系では65%に上ります[図表6]。中には、それだけ多くの学生が関心を寄せている企業であるとして、「(かえって志望度が)上がった」という学生も数%ほどいますが、残りの3割から4割近い学生は「(志望度が)下がった」と回答しています。インターンシップの選考ですら合格しないのであれば、本選考で合格することなど不可能だと思ってしまうのではないでしょうか。あるいは、事前選考、合否連絡の一連の企業の対応の中に、学生から見た場合に志望度が下がるようなことがあったのかもしれません。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は
いずれにしても、インターンシップ合格者だけが本選考の対象者でない限り、この落選者のうち志望度が下がってしまう学生の割合が3割から4割近くもあるという事実を、企業は重く受け止めるべきです。落選者へのケアをしっかり行うことはもちろん、受け入れ人数を増やす、開催数を増やす、開催都市を増やすなどして落選者をできるだけ少なくすること、「先着順」や「抽選」によってインターンシップ参加者を決めるなどして、「事前選考」によらない絞り込み方法を考える必要があります。

事前選考落選で4割以上の学生が応募取りやめ

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