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強いチームをつくる『上司力』

第91回 思い切った判断でチーム力を高める

株式会社ジェック 事業開発部 部長 松井 達則
2017/06/22

管理職である上司は、多くの「判断」を迫られます。日常的な判断としては「この業務を自分で行うか、部下に任せるか」「チーム会議でこれを話すか、話さないか」「叱るか、注意にとどめるか」等々。大きな判断としては「チームの方針をAにするか、Bにするか」「目標を5,000万にするか、4,500万にとどめるか」「新たな分野にチャレンジするか、しないか」のようなものもあります。
いずれにしても、一メンバーだった頃よりは、判断する機会が格段に増えるのです。
企業の中で最も多くの判断に迫られるのは、経営者である社長でしょう。
「銀行からお金を借りるか、借りないか」「この人を採用するか、しないか」「新規事業に投資するか、しないか」といった判断を毎日のように求められます。判断の結果によって、事業が軌道に乗ったり傾いたりしますので、判断に大きな責任を伴います。しかし、判断しなければ経営が成り立ちませんので、日々勇気をもって判断を行っているのです。
 
管理職である上司の判断が経営を即揺るがすということは多くないかもしれません。しかし、ちょっとした判断でも「Aにするか、Bにするか……」と迷ってしまう場合もあります。
では、皆さんは「AかBか」と判断に迫られた場合、どのような基準に基づいて判断を行っているでしょうか?この問いに、明確に答えられる人は多くはありません。多くの人が、「なんとなく」判断しているのが現実です。これまでの仕事上の経験がありますので、過去に経験した同じような判断を、無意識に参考にしているのかもしれません。また、自分は経験をしていなくても、他の人から聞いた話や、上司からのアドバイスが心に残っており、それを元に判断しているかもしれません。
いずれにしても、過去の経験や教えに基づいて、「なんとなく」判断しているということです。

なかなか判断できず、ものすごく迷ってしまう場合、それは過去に経験したり教えられたりしていないケースの場合が多いはずです。また、判断に大きな責任が伴い、慎重になりすぎてしまうという場合もあります。
しかし、判断をしなくてはいけません。そこで必要になってくるのが判断をする際の基準です。

判断の大前提は、「どちらを選択した方が、お客様の役に立てるか」です。企業はお客様に選ばれ続けてこそ、繁栄できます。選ばれるためには、お客様の役に立つことが必要です。
もう一つは、「どちらを選択した方が、チームのレベルが上がるか」です。上司は、自チームを成長させ、「強いチーム」をつくることが求められます。「目の前を無難にやり過ごす」判断ばかり繰り返していると、一見うまくいっているようで、チームのレベルが上がらず、長い目で見ると実績が下がります。
最後に、「どちらを選択した方が、メリットがリスクを上回るか」です。判断を下す場合に、覚悟しなくてはいけないのは、どちらを選択しても多少なりともリスクはあるということです。そこで、選択した際のメリットとリスクを書き出し、多少なりともメリットが上回りそうな場合に、そちらを選択します。

「メンバーを育て、チームを強くする」責任を負っている上司にとって、2つ目の判断基準である「チームのレベルが上がるかどうか」は最も重要です。
「なんとなく」判断することから脱しましょう。
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プロフィール

株式会社ジェック 事業開発部 部長 松井 達則

1972年生まれ。立教大学卒業。アメリカン・エキスプレスを経て、2001年株式会社ジェックに入社。通信業界・住宅業界・不動産業界・食品メーカーをはじめ、多くの業界に対してリーダーシップ教育及び現場変革コンサルティングの経験がある。特に、営業部隊の変革には定評があり、これまで多くのプロジェクトリーダーとして顧客成果を創出している。近年は「自律型人材育成」をテーマに、創造的な職場づくりへの取り組みに力を入れている。
【著書】 『メモテク』(かんき出版)、『営業のプロが教えるすごい仕事術』(日本実業出版社:共著)
【執筆】 『ザッツ営業』(日本実業出版社)、『企業実務』(日本実業出版社)、『近代中小企業』(データエージェント)

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