株式会社ワークスアプリケーションズは、2018年7~8月、国内大手企業169社を対象に、働き方改革関連法に関する対応状況を調査。このたび結果を公表した。
働き方改革関連法に関する大手企業の対応状況調査 法定外の総労働時間をシステムで集計していないと回答した企業は42%

<<労働時間上限規制について>>

▼システム上で時間管理の区分※ を保持する項目を明示的に管理していますか?(※管理監督者、通常の時間管理、フレックスタイム制適用者、1か月単位の変形労働制適用者等)
・管理している=69%
・管理していない=31%

▼所定外の労働時間の他に、法定外の総労働時間をシステムで集計していますか?
・集計している=51%
・集計していない=42%
・60時間超になる時間のみ集計している=7%

▼休日労働時間は法定内休日と法定外休日に分けて集計していますか?
・集計している=57%
・集計していない=43%

▼現在、従業員の年次有給休暇取得促進のために、施策を実施していますか?
・現場と従業員に任せている=41%
・計画的付与制度を利用している=36%
・その他=23%

▼今回の法改正に伴い、新たに年次有給休暇の取得促進を図る施策の実施予定はありますか?
・計画的付与制度を導入する予定である=5%
・検討中=68%
・特に予定していない=21%
・その他=6%

▼現在、年次有給休暇の取得日数が年5日以下の従業員は何名程度いますか?
・1名以上10名未満=7%
・10名以上50名未満=18%
・50名以上100名未満=7%
・100名以上=40%
・把握できていない=28%

年次有給休暇取得促進の施策としては、経営会議やコンプライアンス部門等と連携し、チェック体制を設けているという回答があったほか、独自の制度を設けて推進活動を行っている、取得予定日数の目標値を設定して進捗管理している、月次で取得状況をまとめ、ポータルサイトに掲載/各部門に送付して個別フォローを実施している等、さまざまな回答があった。

<<フレックスタイム制について>>

▼フレックスタイム制の清算期間の上限を、1か月を超える期間にする予定はありますか?
・2019年4月から実施予定である=2%
・検討中=13%
・予定していない=85%

▼上記質問に「実施予定」ないし「検討中」と回答した方において、清算期間は何か月にする予定ですか?
・3ヶ月で固定する=23%
・特定期間のみ3ヶ月とし、残りは1ヶ月で固定する=9%
・その他=68%

清算期間の延長は、例えば、「7~9月の3か月」の中で労働時間の調整が可能となるため、子育て中の親が8月の労働時間を短くすることで、夏休み中の子供と過ごす時間を確保しやすくなる、といったイメージである。フレックスタイム制の場合、就業規則の定めと労使協定の締結が採用要件である。これまでは、労働基準監督署に労使協定の届け出は不要であった。しかし、改正後は清算期間が1か月を超える場合には届け出が必要になる。

<<勤務間インターバル制度について>>

▼勤務間インターバル制度は導入していますか?
・導入済みである=7%
・2019年5月以降に導入予定である=1%
・検討中=41%
・予定していない=51%

<<就業規則および諸規定の改定について>>

▼働き方改革関連法の施行に伴い、必要となる就業規則および諸規定の改定作業はどのように進める予定ですか?
・自法人の人事・労務部門のみで実施する=25%
・顧問弁護士と相談して進める=18%
・顧問社会保険労務士と相談して進める=25%
・検討中=26%

以上の結果を受け、社会保険労務士 井口克己氏は次のようにコメントしている。

「セミナーや多くの企業人事担当者と接する中で、今回の働き方改革関連法において企業の関心が最も高いのは、『年次有給休暇5日の取得義務化』であると感じました。深刻化する人手不足の現状に対し、現場は創意工夫を重ねて業務を回す中、ほぼ全社員に5日以上の休暇を取得させるにはどうしたらよいのか。あるいは、長期休暇の取得奨励に向け、年5日の連続休暇取得を義務付ける特別休暇を創設している場合、この特別休暇に加えて年5日の給休暇を取得させることは非常に難しい状況です。それぞれの状況において、各社は悩みを抱えています。また実際の運用に関する指針に不明確な点もまだあることから、具体的な対応に踏み出し切れないのも事実です。
この改正に伴い、就業規則改定の準備や労働組合との意見のすり合わせ、罰則強化に対応するための勤怠システムの改修など、企業が取り組まなければいけないことは多くあります。2019年4月の施行まで7か月程度しかなく、準備期間は非常に短いです。その準備にあっては、本法案をきちんと理解した顧問の弁護士や社会保険労務士、システムベンダー等に相談して、効果的に進めていただきたいと思います」

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