厚生労働省の表彰事業「グッドキャリア企業アワード2019」の受賞式が2019年11月27日、東京・渋谷ストリームホールで開催された。応募があった54社の中から、会社全体の取り組みが評価された「大賞」と、模範となる取り組みを推進した成果が認められた「イノベーション賞」に、それぞれ5社が選ばれた。
従業員の自律的なキャリア形成を支援。「グッドキャリア企業アワード2019」受賞企業

2012年度の開始から8年が経った「グッドキャリア企業アワード」

産業構造の変化やグローバル化、少子高齢化が進む中、誰もが意欲的に、自身の能力を活かして生き生きと働ける社会の実現が必要だといわれている。そのために企業は、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出す仕組みの構築や、生産性の向上のサポートに努めなければならない。

厚生労働省が主催する「グッドキャリア企業アワード」は、キャリア形成における支援の重要性を社会に広め、定着を促すことを目的に実施されている。従業員の自律的なキャリア形成の実現を目指し、模範となる取り組みを行う企業を表彰することで、その理念や取り組みの内容、具体的な効果などを広く発信・普及させるとしている。2012年度から実施している「キャリア支援企業表彰」から呼称を改め、現在に至る。

「グッドキャリア企業アワード2019」受賞企業と評価のポイント

今回、「大賞」を受賞した企業と概要は以下のとおり。

・伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
従業員一人一人の能力や適性・意欲に応じた主体的・自律型のキャリア形成支援
・SCSK株式会社
IT人材の専門性認定制度や多彩な研修の提供、社員の自己研鑽を促すきめ細かな支援
・日鉄鋼材株式会社
個人の能力の見える化や能力評価の仕組みを構築するなど企業ビジョンに連動した人財育成
・日本生命保険相互会社
人材育成を経営基盤の一つに位置づけ、“個”有の強みの獲得に向けた多彩な能力開発メニューを提供
・株式会社ミツイ
ダイバーシティをかかげた多様な働き方と自律的なキャリア形成支援

大賞を受賞した企業に対しては、従業員の主体的・自律型のキャリア形成や、自己研鑽を促すきめ細やかな支援と、能力の見える化や能力評価の仕組み構築などによって人財育成をはかったことが評価ポイントとして挙げられている。

また、「イノベーション賞」には以下の5社が選ばれた。

・コニカミノルタウィズユー株式会社
多職種の経験や長期キャリアビジョンによる障害者の職業能力を最大限高めることを意識したキャリア支援
・日本電産株式会社
100年後を見据えたグローバル人材の育成や社員の能力を最大限発揮できる環境を整備
・服部農園有限会社
地域における農業全体の成長を目指し、経営者と社員が横並びの関係でキャリア育成
・三井住友海上火災保険株式会社
全社員のキャリアビジョンの作成や上司部下間でのキャリア対話を通じて自己実現を支援
・三菱ケミカル株式会社
全社員のキャリアデザイン面談を実施するなどグループ一丸でのキャリア形成支援

受賞企業の、障がい者の職業能力を最大限高めるキャリア支援や、グローバル人材の育成と社員の能力を活かす環境整備、経営者と社員が横並びの関係でおこなうキャリア育成などの取り組みが高評価を得たようだ。

表彰式では、厚生労働大臣・加藤勝信氏の挨拶として、「一億総活躍社会の実現に向け、働く方一人ひとりが能力を存分に発揮できる環境を整備するためにも、各企業が『人を育て、人が育つ』組織づくりを推進してほしい」という言葉が紹介された。

今回両賞を受賞したのは、従業員のキャリア形成を支援することで、一人ひとりが能力を高め、その力を業務で発揮できる環境づくりに積極的に取り組んでいる企業ばかりだ。自社の従業員に必要なサポートは何かを考え、それに適した取り組みを実施している。これらの取り組みを手本として、さらなる企業の発展を目指してみてはどうだろうか。

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