第3回丸の内HRサロン 世界でわたりあえる人材とは?そして、その人材をどう育てるか

目次

テーマは「世界でわたりあえる人材とは?そして、その人材をどう育てるか」

会場の新丸ビル10階ミーティングルームにお集まりいただいたのは、メーカー、IT、商社、教育、人材サービスなど、多業種の企業に所属される 15名の方々。オープニングでは、HRプロ代表の寺澤康介があいさつ。「『世界でわたりあえる人材とは?そして、その人材をどう育てるか』というのが今回のテーマです。最初にこのテーマに関する第一人者からお話をいただき、ゲストを囲んでの質疑応答、意見交換、情報交換などフランクなスタイルで進めたいと思います。ご協賛いただいたサムトータル ・システムズのマーケティング ・ ディレクター、古沢淳氏からもスピーチをいただきました。続いて行われたのは、 今回のゲスト講師としてお招きした、コマツ(株式会社小松製作所)顧問 ・ 日懺政克氏によるショ ートプレゼン。海外売上比率が80%を超え、グローバル化に成功した日本企業のひとつとして知られる同社で、日置氏は80年代から90年代にかけてイギリス、アメリカに赴任し、人事として工場立ち上げなどに携わった経験をお持ちです。
「コマツはグローバル企業として非常に有名な会社になりましたが、私が入社した当時、ここまでになるとは想像していませんでした。今日は私が体験してきたことをお話ししますが、グローバル化とは、敷居を高くする必要はなく、自然体でやれることなのだということを、一番申し上げたいと思っています」。 こう前置きし、日置氏がまず話したのは、人事として海外の人たちと一緒に仕事をする中で何を学んだ かについて。そのひとつは、日本人と外国人には当然さまざまな違いがあるものの、親しくなれば、違いの先に必ず類似点、共通点が見えてくるということ。「ヒトはみんな浪花節」とは、グローバル展開を進める中でコマツのトップが常々語り、日置氏も共感していたという言葉です。次に日置氏が説明するのは、コマツが実現させてきたグローバル化の歩みと人事面での対応について。高度経済成長時代からの輸出拡大期、その後の海外生産拡大期を経て、現在はグローバル連結経営を目指しているコマツですが、人事面では、「最初は日本人のグローバルタレントを作ろう、ローカル社員を日本化しようと考え、どちらかといえば日本人中心に進めていた時代。いまはみんなが一緒になり、海外ナショナル社員を『(コマツ)らしく化』して、本当にワンチームにしていくことが求められる時代」に変わっていると日置氏は話します。 「グローバル化は進んでも、私たちのモノ作りの特長は、やはり日本の色を相変わらず持っていることだと思います。ただ、かつて日本流と言っていたのが、コマツ流という言葉に変わってきました。私たちがグローバル連結経営を推進していくためのキーワードは、信頼して任せることができる海外ナショナル社員をどう増やし、グローバルチームワークを築いていくか。そのための共通のベースとして、価値観、心構え、行動基準といった『コマツウェイ』を2006年に定め、全世界で共有しています」。

グローバリゼーションを特別なことと考えなくていい

では、グローバルに活躍する人材とはどのような人材か。一般的なイメージとして日置氏が紹介したのは、ある経済団体による「グローバルに活躍する日本人に求められる素質•知識•能力」についての調査データ。「既成概念にとらわれず、チャレンジ精神を持ち続ける」、「外国語によるコミュニケーション能力」、「海外との文化、価値観の差に興味•関心を持ち、柔軟に対応する」、「企業の発展のために、逆境に耐え粘り強く取り組む」といったものが上位にランクインしていますが、本当にそうなのでしょうか。 「こういう見方をすることで、グローバル化をどんどん敷居の高いものにしているのではないか」と日置氏は疑問を投げかけ、自身の経験から、グローバリゼーションを担う社員を育てる視点について語ります。 「たとえば、私たちがインドネシアの現地法人に日本人駐在員を派遺するときは、その人が各職能におけるプロであることが前提です。その上で、この人なら大丈夫だといった人の要素が大事になってくる。ですから、ず大事なことはプロとしての軸を作ること。社員をそういうプロに育てることです。 そして、海外で日本人駐在員が本当に求められることは一般的なイメージとは違うと、日置氏は列挙します。 「よく日本人としてのアイデンティティが必要だと言われますが、普通の人にアイデンティティなどと言ってもしかたない。それより、いろいろなことに興味があるハッションがあるといった『人となり功ゞ大事です。また、高い教養や公共心を持てと言いますが、それより必要なのは常識であり、同僚や地域への配慮です。異文化理解が必要だとも言われますが、これも改めて考えれば多文化理解です。日本もワンオブゼムなのです。これを異文化と理解するので、海外との距離をよけいに作ってしまっています」。 日置氏が強調したのは、グローバリゼーションは特別のことではなく、海外に行くことをそんなに重たく考えなくてもいいということ。また、グローバリゼーションを進める上でのダイバーシティの重要性について考察し、「ダイバーシティは女性の活躍の問題だけではない」と指摘。「中託年も若年層も外国人も、多様な人が互いの違いを受け入れながら一緒に働けるということを考えると、グローバリゼーションこそがダイバーシティであり、日本では、女性の活躍だけでなく、このダイバーシティはこれから重きを置いていかなければならない大きなポイント」だと話します。

英語は単なる道具。プロとしての軸を作ることが大事

それでは、世界でわたりあえる人材とはどのような人材なのでしょうか。日置氏はここでも、「特別なスーパーマン的人材像を考えず、たとえば、こんなイメージで考えるべきでしょう」と、その人材像を定義していきます。まず上司から見ると、「信頼できて任せられる人」。同僚から見ると、「(同期の中でも) 一目置かれる存在」。あの人はできる、人望がある。昇進するのは当然だと思われる人です。そして、部下から見れば、「魅力的な上司」。大きな夢、ピクチャーを語り、範を示してくれ、厳しいけれど責任を取ってくれる。この人のためなら、と思える人です。 実は、この中に英語の要素は出てきません。英語はあくまでコミュニケーションツール。「基本的に、プロである部分があれば話すネタがあるわけですから、それである程度はいける。プラスアルファの努力は必要ですが、まず最初に英語ありきではないということは絶対に言えます」と、日置氏は力を込めます。 そして、問題は、こうした世界でわたりあえる人材をどう育てるかということ。日置氏は「うちの会社らしいトップリーダーを中で育てる(育てたい)」というケースを想定し、コマツの考え方やプロセスを述べていきます。 「まず、入社時のスタートラインは一緒です。採用した後、白地に染めていくという格好です。プロとしての軸がだんだんできてコマツらしくなってくるまでには、技術系は10年、早めても8年くらい必要だと言われます。そうなると海外駐在にもある程度安心して出せるようになり、個別にキャリアを支援することになってくる。この時期に目覚めさせることが必要で、私たちの場合、ここでビジネスリーダーとしての第1次選抜を行います。 そして、この人たちに個別のジョブアサインメントを行い、リーダーとして育てる目的を持った業務経験、チャレンジストレッチをさせていく。それが30代ぐらいで、非常に重要な時期ですね。その中で世界とわたりあえる人、その要素を持った人が出てくるのは40代前半あたりで、そこで第2次選抜を行い、リーダーとしての適性判断を行う。少し早めたとしても40歳くらいがひとつの見極め時期だと思います」。日本流のグローバリゼーションを遂げたコマツでは、グローバル人材の育成もやはり日本流。コマツらし さを大事にしながら「キャリアは中で育てる」 という考え方がベースだといいます。「いろいろな経験をさせながらステップバイステップで人を育てていく日本企業のやり方には、良さがあると思っている」という日置氏の言葉が印象的でした。

グローバル化のやり方は企業によって違ってくる

日置氏を囲んでのトークセッションは、HRプロ代表の寺澤による問題提起と質問からスタートしました。 「今日ご参加の皆さんは企業ごとに課題も状況も違うと思いますが、コマツさんのお話をひとつの事例として、それぞれの実践に結びつくようなヒントを得ていただければと思います。 まず私から日置さんにお聞きしたいのは、日本企業がグローバル化を進めていくときに2つの方法があることについてです。一方にあるのは、外資系グローバル企業でのキャリアを持つ経営者などがよく言う、日本企業のやり方は非常に遅れていて、このままではだめだという考え方です。その一方には、コマツさんのように日本らしさを肯定して、日本のやり方でいいんだという考え方があります。コマツさんのように日本らしさを持ちながら世界で勝負していくというやり方は、多くの日本企業に通用しそうだと思われますか?」 この問いに、日置氏は「業態が違えば企業によって、また企業の中の事業部によっても、目指すグローバル化は違ってきます。どういうことを描いてやるのかということをまず決めることが重要だと思います」と述べ、製造の現場では日本流、コマツ流が浸透している反面、マネジメントについては海外のやり方に任せている部分が多いと説明します。「特に日本企業の人事の制度にはきわめて特殊なものがあります。グローバル化するとき、どこまで変えるか、変えなくていいのかという議論が必ず出ますが、コマツでは人事制度は別だというやり方をしています」。 続いて参加者から出た質問のひとつは、ダイバーシティに関するものでした。 「ダイバーシティの取り組みを進める中で、ワーク・ライフ・バランスに関する社員の不満が多く、課題になっています。ワーク・ライフ・バランスの推進なしには女性の活用もなかなか進みません。お考えなど聞かせてください」。 これに対し「私たちも進んでいるとは言いにくいのですが」と日箇氏が語ったのは、80年代にアメリカで勤務した経験からの考え。「アメリカで雇用平等法ができた後の調査で、男性の意識がすごく変わりました。男性が家事に参加する割合が何ポイントか増えた。自分の反省も含めてですが、基本的に男性が変わらなければいけないと思います。また、アメリカでは女性が子育てをして長く働き続けるために、みんな個別の労働契約を結んでいる。日本には例外を極力認めない傾向がありますが、個別の人たちに長く働いてもらうためには個別の契約ありきです。特別な対応をするという意識が根底にないと変わらないのではないかと思います」。 最後は寺澤が「グローバル人材の育成にはある程度時間がかかるとのことでしたが、製造業といえども求められるスピードが速くなる中、やはり長期的視点で人を育てていくのが正攻法だとお考えですか」と質問し、「スピードアップは考えるべきですが、イエスです」という日置氏の答えで締めくくりとなりました。 「コマツの業態がそういう業態だということが前提です。いま、大学の機械工学分野はロボット、ナノテクが花形で、私たちのモーター関連の専攻は減っています。マスターを8割採用して初年から教育することをやっていかないと会社の技術が伝わらないという事情もあります。白地の状態から育てていきつつ、海外の人はやはり流動性が高いので、リテンションを考えて将来のキャリアの方向性をきちんと示すことがより必要になると思います」。 トークセッションに続いては、日置氏にもご参加いただいての交流会。活発な情報交換、意見交換が21時まで行われました。 サムトータル・システムズ株式会社●会社情報● サムトータル・システムズは、日々の業績を向上するための、ラーニングマネジメント、パフォーマンスマネジメント、報酬管理の自動化と統合を実現する、タレントデイベロップメントソリューションのマーケットリーダーです。 住所……… 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-4-2 アーバンプレム渋谷4F 代表者……平野正信 資本金……10,000,000 円 売上高……非公開 従業員数…10 名 事業概要…ラーニングマネジメント、パフォーマンスマネジメント、報酬管理、 後継者計画、キャリア開発、360 度評価、採用管理、 ソーシャルコラボレーション、人事管理(HRMS) 問合せ先…03-6823-6400 URL………http://japan.sumtotalsystems.com http://www.sumtotalsystems.co.jp
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