企業の成長に不可欠な人材管理(人材マネジメント)とは? 担当者が押さえておきたいポイントについて解説

労働市場の流動性やコロナ禍でテレワーク・リモートワークが普及しています。
このような状況下の中で不足しがちな社内コミュニケーションの活性化や従業員のモチベーション維持が大きな課題となってきました。
そんな中で注目を集めているのが、人材管理(人材マネジメント)です。

この記事では、人材管理(人材マネジメント)をテーマに、企業担当者が押さえておきたい人材管理(人材マネジメント)の内容や成功のポイント、人材管理システムやHRテックの活用について詳しく解説します。

目次

1.人材管理(人材マネジメント)とは何か

1.1 人材管理(人材マネジメント)とは?

人材管理(人材マネジメント)とは、企業が自社のビジョン達成に向けて、従業員の業績や評価などの必要情報を管理し、人材に活躍してもらうための採用、育成、配置などを行うことです。
このような一連の概念を別の言い方でタレントマネジメントということもあります。

人材管理(人材マネジメント)の特徴としては、従業員のモチベーションや仕事に対する意欲の向上をはじめ、積極的で生産性の高い人材を生み出せるよう、体制を整備したり、拡充したりすることがあげられます。

また、人材管理(人材マネジメント)が近年注目される背景には、企業を取り巻く社会環境の変化があります。
企業のグローバル化や終身雇用制度の見直し、働き方改革の推奨などにより、従来の人事管理制度では対応が困難になってきたのです。

人材の流動性が高まっている現代において、人材確保の観点から競争力を維持し企業が従業員側に選ばれ、働きたいと思われる会社になるためには、従業員一人ひとりへの最適なマネジメントや人材育成、支援が重要になってきました。

競争が激化する市場で、他社にない優位性を発揮するためには、優秀な人材の確保が必要です。自社にとって最適な人材の採用、育成、配置、評価、処遇、報酬を実現する人材管理(人材マネジメント)を導入していくことで、組織を強化し、他社にない強みや価値を出すことができるのです。

人材による業務成果を最大化させ、組織を持続的に発展させるためには、人材管理(人材マネジメント)の強化が不可欠といえるでしょう。

1.2 人材管理(人材マネジメント)の内容と方向性

人材を管理(人材マネジメント)するための具体的な内容と方向性は以下になります。

採用
従来は、新卒一括採用を中心に、一部の専門的な分野の人材を中途採用するケースが一般的でした。
人材管理(人材マネジメント)では、ビジネスの状況に合わせて、人材が必要な時に必要なスキルと経験を持った多様な人材を新卒・中途や雇用形態に関わらず臨機応変に採用していく方針が必要となります。

人材開発
従来は、従業員全体の能力を底上げすることを重視し、均質的な教育体系をとっていました。
そのため、研修などは階層別・年次別の研修が主力でした。

人材管理(人材マネジメント)では、積極的なタレントマネジメントの概念を用いた幹部候補層を選抜したうえで、集中的な育成投資を実施しながら、リテンションを図っていく方針が必要です。

最適な人材配置
従来の人材配置は、企業のスキルと経験を獲得するためのジョブローテーションが主力で、会社都合による転勤によって人材配置がおこなわれていました。
人材管理(人材マネジメント)では、原則、職種内でのローテーションを実施し、会社都合による転勤を実施することなく、個人希望によるジョブポスティングの仕組みを導入します。

人材管理(人材マネジメント)を導入するためには、自社にとって最適な、成果の出せるフレームワークをつくることがポイントです。まずは、企業の課題を洗い出し、計画を立てながら管理を実行し、マネジメントのプロセスについては振り返って検証することが大切です。

参考:人材管理(人材マネジメント)とは?企業の人事担当者が押さえておくべきポイント

2.人材管理(人材マネジメント)成功のポイント

2.1 押さえておきたいポイントとは?

人材管理(人材マネジメント)を成功させるために、押さえておきたいポイントは以下の4つになります。

企業のビジョンと人材マネジメントを合致させること(一貫性を持たせる)
企業目的はビジョンの実現です。
これは、企業におけるすべての取り組みにおいて一貫した方向性であり、人材管理(人材マネジメント)も例外ではありません。
ビジョンと人材マネジメントの方向性を合致させることで、企業はビジョン達成に近づくことができ、従業員は一貫性のある明確な方向性をふまえて業務を遂行することができます。

従業員自身に業績目標を決めさせること
企業ビジョンと人材管理(人材マネジメント)の方向性が一致することで、従業員が企業の目標を自分自身の業務に落とし込むことが可能になります。

企業の目標を達成するために、従業員自身がどのようなことをしなければならないかを考え、業務目標を決めることで、組織とのコミットメントが強くなりモチベーション向上につながります。

常に公平性を意識すること
人材管理(人材マネジメント)において、ダイバーシティの考え方は重要です。多様性を重視し、常に公平性を意識しなければなりません。

公平性が損なわれると、従業員のモチベーションを低下させる要因となる可能性が高まります。

問題解決のために、現場と一体になるよう協力を仰ぐこと
人材管理(人材マネジメント)は、企業ビジョン達成に向け、自社にとって最適な人材の採用、育成、配置、評価、処遇、報酬を実現するための取り組みです。

その成功のためには、実務を行っている現場の情報や協力が不可欠となります。

現場への協力は、人事からの一方的な押し付けでは従業員の反発を招く恐れがあります。現場の従業員を巻き込んで、課題について意見を出してもらったり、アンケートを実施したりするなどの工夫が大切です。

2.2 人材管理(人材マネジメント)の注意点

これまで日本企業が実践してきた年功序列や終身雇用制度が中心の「メンバーシップ雇用」から、成果主義が基本となる「ジョブ型雇用」へ移行する企業が増えつつあります。

欧米では一般的といえる成果主義ですが、日本企業では、自社の風土や企業理念に沿って、ジョブ型雇用をどこまで取り入れるのか、また、人材管理(人材マネジメント)にどのように導入していくかを検討する必要があるでしょう。

国際的な競争に勝ち残るために、また組織のイノベーションを図るためにはどのような人材管理(人材マネジメント)を採用するべきか、今後の経営課題として取り組むことが大切です。

参考:人材管理(人材マネジメント)とは?企業の人事担当者が押さえておくべきポイント

3.人材管理(人材マネジメント)システム

3.1 人材管理(人材マネジメント)システムとは?

負担が大きくなりがちな人事業務を効率よく行い、精度や成果を上げるためのデータ管理を行うのが人材管理(人材マネジメント)システムです。

人事担当者が管理・運営してきた業務を自動化・効率化するためのシステムで、膨大な資料の整理やデータの一元化が行えます。

その結果、多くの企業が課題にしていた「作業時間の短縮」「管理費用(コスト)の削減」「人的ミスの軽減」「セキュリティーの強化」などが可能となります。

システムを導入することにより、本来力を入れていきたい業務や新たな取り組みに時間を費やすことができるようになるため、人事担当者にとってメリットは非常に大きいと言えます。

また、従業員の業務能力や実績などの情報をデータ管理することによって「評価の質」が上がることも期待できます。

評価の過程がクリアになることで、昇進などにも影響する人事評価の公平性がさらに増し、従業員一人ひとりの納得度・満足度の向上にもつながっていきます。
正当な評価は離職率を低下させるため、人材の定着化対策としても有効です。

3.2 人材管理(人材マネジメント)システムの選定方法

人材管理(人材マネジメント)システムを検討する際には、まず現場担当者などにアンケートやヒアリングなどを行い、現状を踏まえてから、自社の導入目的や課題を明確化し、業務改善に効果が期待できそうなツール、システムを選定することがポイントです。

たとえば、代表的な人材管理(人材マネジメント)システムの機能は以下になります。

人材採用
人材採用の機能は、自社に最適な人材を確保するためのシステムです。
応募者の履歴書管理・評価・内定承認、通知などを一元的におこなうことができます。
統合システム・ツールを活用することで、候補者とのコミュニケーションや採用プロセスの「透明性が高い」ことがポイントです。

人材情報の見える化
人材情報の見える化の機能は、従業員の経歴・スキル・資格・目標などを正確に把握できるシステムです。
これまでの人事にありがちだった、経験や勘などではなく、プロファイルデータに基づいた最適な人材の抜擢が可能となります。
面談やアンケートなどの結果をデータベース化して人材情報の見える化を促進し、部署ごとの現状把握も行えます。

パフォーマンスの管理
パフォーマンスの管理機能は、従業員の業務をサポートし、育成・管理するためのシステムです。
個人目標や進捗が確認できることで、上司は必要なアドバイスや、学習の提案、サポートを的確に実施できます。
また、業務日報などを提出する手間もなくなるため、やるべき課題に集中できます。
従業員の貢献度が可視化されることでモチベーションの向上や積極的なキャリア形成にもつながっていくことが期待できます。

勤怠管理
勤怠管理の機能は、バックオフィス業務のシステムです。
福利厚生や給料、経費の管理を自動化することにより、複雑な計算や要件による人的ミスを防止し業務を効率化することができます。
勤怠時間の確認や有給休暇などのスケジュール管理をシステム化することで、従業員の現状をすばやく把握できることもポイントです。

参考:人材管理(人材マネジメント)システムの選定方法とは?自社にあった選定ポイントを解説

4.人材管理(人材マネジメント)とHRテック

4.1 HRテックが注目される4つの背景

今、多くの企業がHRテックに注目していますが、なぜ注目を集めているのか。その背景をよく知らないという方が多いのではないでしょうか。

HRテックが注目される背景としては、以下の4点が挙げられます。

●人材獲得競争の激化
少子高齢化によって労働人口が減り続けている今、人材獲得競争は激化の一途をたどっています。このような状況下では、自社にマッチする人材を1人でも多く獲得し、その人材を育て上げ、一人ひとりのパフォーマンスの最大化に尽力することが重要です。
特に、手厚い教育とフォローをすべての人材に行き渡らせるためには、煩わしい人事業務を早々に片づけ、人材育成に注力する必要があります。
人材育成に割くリソースを最大化するために、HRテックほど大きな力を発揮するものはないと言っても過言ではないでしょう。

●人材の流動化の加速
日本にある多くの企業は終身雇用制度を採用し、個人と企業の雇用関係を維持拡大してきました。
しかし、経済の低迷が続いている今、終身雇用制度を維持することが難しくなってきています。
また、若い世代の中には自分に合う企業を求めて転職を繰り返すことをキャリアアップの一つの手段と肯定的に捉える価値観が育っています。
こうして加速する人材の流動化は、入職・離職の機会を増やし、人事業務の増加を招きます。
また、せっかく育て上げた人材が流出するという憂き目に遭うことも考えられるでしょう。
これらの事態に対応するため、多くの企業がHRテックに注目しているのです。

●働き方の多様化
働き方改革が進められ、フレックスタイム制度やショートワーク制度など、多くの企業がさまざまな働き方を認めるようになりました。
また、新型コロナウイルス感染症の流行により、リモートワークやワーケーション、オフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリットワークなどの働き方が定着してきています。
さまざまな働き方を認めることは、より多くの優秀な人材を確保することにつながります。
しかし、働き方が多様になればなるほど、人事業務が煩雑化していきます。
HRテックの力を借りずに働き方の多様化に対応することは、至難の業と言えるでしょう。

●クラウドサービスの普及やテクノロジーの進歩
クラウドサービスの普及やテクノロジーの進歩によって、これまでハイコストだったIT活用も安価になってきており、多くの企業がHRテック導入を検討できる価格帯になってきています。

4.2 HRテックが人事業務にもたらす5つの変化

人材の重要性が高まっている今、HRテックの導入は大きな光明をもたらすと目されています。
しかし、HRテックの導入によって人事業務にどのような変化が生じるのか、具体的なイメージがわかずに足踏みしている企業も多いのではないでしょうか。
HRテックが人事業務にもたらす変化としては、以下の5つが挙げられます。

●単純な人事業務の削減
HRテックを導入すれば、採用選考や雇用契約の締結、入退社の手続き、勤怠管理、給与計算、年末調整など、単純な人事業務の自動化や効率化が実現できます。
また、HRテックによって従業員が自分で情報を入力したり、必要な書類を発行・提出したりするセルフサービス化を進めれば、これまで手を煩わせていた人事業務を削減することが可能です。

●採用・配置のミスマッチ防止
ビッグデータとAIによって精度の高い分析を行うHRテックを活用すれば、優秀かつ自社との相性が良い人材を選び抜くことができます。
また、人材の経験やスキルを見落とすことなく、適材適所の人材配置を実現することも可能です。
採用・配置のミスマッチを防止できれば、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率を抑えられるでしょう。

●公正公平な人事評価の実現
人の目によって従業員一人ひとりの業績や勤務態度をあまねくチェックし、公正公平な人事評価を行うことは、非常に困難です。
しかし、感情を交えずデータのみによって評価を下すHRテックを活用すれば、誰もが納得できる人事評価を実現できます。
公正公平な人事評価は、従業員のモチベーション向上、ひいては生産性向上をもたらすでしょう。

●フィードバック・フォローアップの充実
HRテックの導入によって人事業務の効率化が進めば、多くの余裕が生まれます。
HRテックは、その余裕を活用し、難しい人事評価後のフィードバック・フォローアップを充実させることが可能です。

従業員一人ひとりにきめ細やかなフィードバック・フォローアップを行えるようになれば、会社全体のパフォーマンス向上が期待できます。

●戦略人事の実現
戦略人事とは、企業の経営戦略に則り、企業の目標達成や成長を叶えるために行う人事を指す言葉です。

HRテックを活用することで余力が生まれ、戦略人事を実行する状況が実現すれば、経営状況に合わせてスピーディーに人材活用を行うことができます。
経営環境の変化が目まぐるしい今、戦略人事の実現は急務と言えるでしょう。

4.3 人材マネジメント改革に役立つHRテック7選

ひとえにHRテックと言っても、さまざまな種類があります。人材マネジメント改革に役立つHRテックとしては、以下の7つが挙げられます。

●労務管理システム
労務管理システムは、勤怠管理や休暇の申請、給与計算、税金・健康保険・年金などの手続きなどの業務を請け負ってくれます。

また、従業員の労務関連の情報を一元管理できるようになるため、よりスムーズに労務管理ができるようになります。

●採用管理システム(ATS)
採用管理システム(ATS)を導入すれば、求人情報の作成と公開、面接の日程管理、エントリーシートや面接、入社試験の評価管理などを任せることが可能です。

また、応募者のふるい分けやオンライン面接、内定者へのフォローなどのサポートも受けられます。

●タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムは、従業員の経験やスキル、資格、評価などを管理・分析するシステムです。

従業員の強みや弱みを可視化できるため、適材適所の人材配置や能力開発、ひいては従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上に役立てられます。

●人材育成システム
人材育成システムを活用すれば、教材を作成・配信したり、学習の進捗や成績などを管理したりできます。

従業員一人ひとりに合わせた学習機会を設け、適切なフォローができるようになるため、より効率的に人材育成を行えるようになるでしょう。

●人事評価システム
人事評価システムは、勤怠状況や業績、目標の達成度など、あらゆる評価材料を数値化できるシステムです。

客観性を担保できるうえ、評価のプロセスも透明化できるため、評価者によるバラつきをなくし、従業員が納得できる評価を下せるようになります。

●健康管理システム
健康管理システムは、健康診断の予約や健康状態の管理、産業医や保健師との面談候補者の抽出、ストレスチェックなどの機能を有しています。

従業員の不調にいち早く気づけるようになるため、従業員の健康維持に役立てられます。

●モチベーション管理システム
モチベーション管理システムを利用すれば、エンゲージメントサーベイやストレスチェックなどを通して離職の兆しがある従業員を見つけ出し、適切なサポートを行えるようになります。
また、従業員のモチベーションを高めるヒントも得られます。

参考:HRテックで実現する人材マネジメント改革~人事業務がどのように変化するかを具体的に解説します

5.まとめ

この記事では、企業価値や強みにつながる人材の確保には不可欠となる人材管理(人材マネジメント)について解説しました。

日々変化していく社会情勢の中で、企業が成長を続け、ビジョンや目標を達成するためには、自社にどのような制度や体制を取り入れ、人材管理(人材マネジメント)を行っていくかが大きなポイントとなります。

人材管理(人材マネジメント)改革を起こしたいと考えている企業は、自社の人事が抱える課題を明らかにしたうえで、問題解決に役立つ人材管理システムやHRテックの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

【著者プロフィール】
「ラーニング・イノベーションLABO」編集部
人事領域において人材開発やDX・ITにおけるクリティカルな情報をお届けします。
また、人事担当者の方々が日々抱える人材育成、人材開発における課題を整理し解決していくメディアを目指しています。
人材開発の先にある、社員の方一人一人の自己開発型人材の実現を目指し気づきと学びを提供するべく情報をお届けしていきます。
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