コアコンピタンスの意味とは?自社にしか作れない圧倒的な強みを作るには

誰からも愛され、必要とされる企業に進化するためには、他社にはない圧倒的な強みを作る必要があります。
そこで、大企業から中小企業まで、多くの企業から注目を集めているキーワードが「コアコンピタンス」です。
数ある企業の中でも強烈な異彩を放つ企業の多くは、コアコンピタンスを存分に活かして戦略を練り、事業を展開しています。
この記事では、コアコンピタンスの意味を解説し、具体例や分析方法、確立のポイントを紹介します。

目次

コアコンピタンスとは

コアコンピタンス(Core Competence)とは、企業の中核となる強みを指す言葉です。
経営学者のゲイリー・ハメル(Gary Hamel)とC.K.プラハラード(C.K.Prahalad)が提唱した概念で、両者は以下の3つの条件を満たす強みと定義しています。

● 顧客に利益をもたらす
● 競合他社に模倣されにくい
● 幅広く活用・応用できる

 

なお、コアコンピタンスを活かした経営手法を「コアコンピタンス経営」といいます。
コアコンピタンス経営を実践すれば、市場の変化に左右されない安定経営や、さらなる事業拡大が実現できます。

コアコンピタンスの具体例

コアコンピタンスは、企業の数だけ存在するといっても過言ではありません。
しかし、その切り口は技術・価値・体制の3つに大別でき、それぞれ下表のような事例が挙げられます。

技術● シャープの「液晶技術」
● ソニーの「小型化技術」
● 本田技研工業の「エンジン技術」
● 富士フイルムの「ナノテクノロジー」
● 味の素の「先端バイオ・ファイン技術」
価値● ナイキの「ブランド力」
● Appleの「デザイン力」
● トヨタ自動車の「生産システム」
● セブン&アイ・ホールディングスの「ネットワーク」
● カプコンの「人材戦略」
体制● トヨタ自動車の「生産システム」
● セブン&アイ・ホールディングスの「ネットワーク」
● カプコンの「人材戦略」

各事例について詳しく紹介します。

【技術】


●シャープの「液晶技術」
世界初の液晶電卓を生み出した大手電機メーカーのシャープは、液晶技術をコアコンピタンスとし、テレビやデジタルカメラ、スマートフォンなど、液晶技術を活かしたさまざまな製品を世に送り出しています。

●ソニーの「小型化技術」
大手電機メーカーのソニーは、画期的な製品だったものの、重いうえに高価だったテープレコーダーが普及しなかったことを受けて小型化を追求。
世界初のウォークマンを生み出したことを契機に、小型化技術というコアコンピタンスを確立しました。

●本田技研工業の「エンジン技術」
排ガス規制の厳格化を受けて低公害エンジンを開発した大手輸送機器メーカーの本田技研工業(ホンダ)は、エンジン技術をコアコンピタンスとし、自動車やオートバイのみならず、芝刈り機や除雪機、発電機など、さまざまな製品づくりに活かしています。

●富士フイルムの「ナノテクノロジー」
フィルムメーカーとして名を馳せた富士フイルムは、フィルムカメラ事業の売上減少を受けて事業転換。
コアコンピタンスであるナノテクノロジーを活かして化粧品や医薬品の開発に乗り出し、あらゆる顔を持つ精密化学メーカーとして大成長を遂げました。

●味の素の「先端バイオ・ファイン技術」
大手食品企業の味の素は、うま味成分であるアミノ酸を研究し続けることによって得た先端バイオ・ファイン技術をコアコンピタンスとし、食品事業のみならず、ヘルスケア事業にも取り組んでいます。

【価値】


●ナイキの「ブランド力」
世界を牽引するスポーツ用品メーカーであるナイキは、ヒット確実の商品をあえて数量限定販売にしたり、トップモデルの商品を扱える店舗を絞ったりするなどのプロモーションを実施し、ブランド力というコアコンピタンスを確立しました。

●Appleの「デザイン力」
世界4大IT企業の1つに数えられるAppleは、製品の外見から、機能や操作性、新製品発表イベントや顧客との接点となる店舗に至るまで、あらゆる物事・場面でコアコンピタンスであるデザイン力を発揮しています。

【体制】


●トヨタ自動車の「生産システム」
大手自動車メーカーのトヨタ自動車は、作りすぎや不良品などの無駄を削減するために生み出した、必要なものを必要なときに必要な分だけ作る生産システム「トヨタ生産方式」をコアコンピタンスとしています。

●セブン&アイ・ホールディングスの「ネットワーク」
セブンイレブンを中心とする大手流通小売企業グループのセブン&アイ・ホールディングスは、圧倒的な店舗数から成るネットワークをコアコンピタンスとし、金融サービスやITサービス、宅配サービスなど、さまざまなサービスを提供しています。

●カプコンの「人材戦略」
大手ゲームメーカーのカプコンは、盤石な開発体制を作るために人材戦略をコアコンピタンスとし、多様な人材の採用や開発人員の拡充、人材育成に力を注ぐことによって製品開発力を高めています。

コアコンピタンスの分析方法

コアコンピタンスは、ゼロから作るものというよりも、既に持っている強みの中から選び抜き、極めるものと考えた方がよいでしょう。
自社のコアコンピタンスを分析する際には、次の3ステップで見極めていきます。

1. リストアップ

まずは、自社の強みをできるだけ多くリストアップしましょう。
自社が提供している商品・サービス・技術・ノウハウ・価値・企業文化・体制・システム・人材など、さまざまな角度から概観すれば、自社の強みが浮かび上がってきます。
なお、以下に挙げるフレームワークなどを活用すれば、効率よく、余すところなく自社の強みをリストアップできるでしょう。

ブレインストーミング複数人で自由にアイデアを出し合うことで、アイデアの連鎖や革新的なアイデアの創出を促す。
ロジックツリー物事の構成要素・要因などをツリー上に分解して掘り下げ、核となる要素や根本となる要因などを明らかにする。

2. 評価・判定


続いて、リストアップした強みを「コンピタンスとは」で紹介した以下の3つの条件に当てはめて、検討してみましょう。

顧客に何らかの
利益をもたらす
製品やサービスに付加価値を与え、顧客を満足させられるか。
競合相手に
真似されにくい
業界・競合への分析や情報収集をおこなったうえで、他には真似できない条件を満たしているか。
複数の商品・市場に推進できる幅広い業界・多くの製品に応用でき、ビジネス環境が変化しても通用するか。

さらに、以下に挙げる5つのポイントをクリアしているかどうかを吟味すれば、より具体的にコアコンピタンスになり得るかどうかを評価・判定できます。

模倣可能性
(Imitability)
競合他社に真似される可能性はないか、追いつかれる可能性はないか。
移動可能性
(Transferability)
1つの分野の一商品・一サービスに限らず、さまざまな分野の商品・サービスに幅広く活用・応用できるか。
代替可能性
(Substitutability)
他のものに置き換えることができない唯一無二の存在であるか。
希少性
(Scarcity)
似たようなものがほとんど出回っておらず、人々に注目され得るか。
耐久性
(Durability)
長期にわたって市場での優位性を保てるか、時代が変わっても人々に必要とされ得るか。

3. 絞り込み


最後に、コアコンピタンスとして伸ばしていきたい強みを選びます。コアコンピタンスの候補として残ったものを、自社の経営方針やビジョン、経営戦略などに照らし、2~3個に絞り込みましょう。
その際、将来性やリスク、顧客にとっての価値についても念入りに検討するように心がけてください。

コアコンピタンスを確立するために押さえておきたい3つのポイント

コアコンピタンス経営を実現する企業は、以下の4つの資質を備えているといいます。

● 未来のための競争と現在の競争とを区別する認識力
● 市場機会を見出す洞察力を培うシステム
● 逆風にも負けず、企業全体の士気を高く保ち続ける鼓舞力
● 過度のリスクを避けつつも、競合他社を先制する実行力

 

これらの能力を培い、揺るぎないコアコンピタンスを確立するためには、次の3つのポイントを押さえておくことが大切です。

明確なビジョンを持つ

「将来どのような企業になりたいか」「企業として何がしたいか」など、ビジョンを明確にしておくことは、コアコンピタンスを確立するうえで必要不可欠です。
企業全体でビジョンを共有すれば、従業員が一丸となってコアコンピタンスの確立を目指せます。

人材力・組織力を高める

コアコンピタンスを確立できるか否かの鍵を握っているのは、人材力・組織力です。
コアコンピタンスを確立するためには、一人ひとりが持てる力を発揮し、従業員間・部署間の連携がスムーズにとれる環境やシステムを整える必要があります。
特に、個々の力を伸ばす人材育成には大いに力を注ぐべきでしょう。

常に進化を求め続ける

どれほど強力なコアコンピタンスがあったとしても、放っておけばいずれ陳腐化してしまうでしょう。
コアコンピタンスを輝かせ続けたいのであれば、競合他社に追いつかれることのないように研鑽を続けたり、新たな市場を探すために活用・応用方法を模索し続けたりするなど、常に進化を求め続けてください。

まとめ


◆企業の中核となる強みであるコアコンピタンスを活かした経営を実践すれば、安定経営や事業拡大を実現できる。

◆シャープやソニー、本田技研工業など、多くの名だたる企業も、コアコンピタンスを活用・応用している。

◆自社の持つコアコンピタンスは「リストアップ」「評価・判定」「絞り込み」の3ステップを踏むことで見極められる。
選び抜いたコアコンピタンスは「明確なビジョンを持つ」「人材力・組織力を高める」「常に進化を求め続ける」といった3つのポイントを実践したうえでじっくりと極め、自社にしか作れない圧倒的な強みにしよう。

【著者プロフィール】
「ラーニング・イノベーションLABO」編集部
人事領域において人材開発やDX・ITにおけるクリティカルな情報をお届けします。
また、人事担当者の方々が日々抱える人材育成、人材開発における課題を整理し解決していくメディアを目指しています。
人材開発の先にある、社員の方一人一人の自己開発型人材の実現を目指し気づきと学びを提供するべく情報をお届けしていきます。
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