エンゲージメントは社員の定着に繋がっているのか?具体的な導入事例と実績

高齢化社会による労働人口の減少や、終身雇用の崩壊で、さまざまな企業が自社の人材確保に向け、社員の「エンゲージメント向上」が課題となっています。

日本のエンゲージメント指数は世界最低水準といわれていますが、企業との一体感を深め、愛着心や貢献したいという気持ちを高めるための施策は、果たして社員の定着率と結びついているのでしょうか。

この記事では、企業の業績を左右するエンゲージメント施策の導入事例や実績をもとに、その取り組みが社員に与える影響について、詳しく解説します。

目次

エンゲージメントとは何か

「エンゲージメント(engagement)」とは、信頼関係を表す言葉です。
人事領域では、社員と企業の関係性で「愛着」「思い入れ」「貢献しようとする意欲」が高まることを「従業員エンゲージメントの向上」といいます。

エンゲージメントは、忠誠や忠実を意味する「ロイヤルティー(loyalty)」や、報酬・待遇・環境がどのくらい満たされているかを示す「従業員満足度(Employee Satisfaction)」とよく比較されます。

エンゲージメントと、ロイヤルティーや従業員満足度との違いは、社員に企業への「思い入れ」があるかどうかです。

従業員エンゲージメントとは、企業と社員が対等の関係で「主体性が伴った愛社精神があること」「互いに成長できるような強い結びつきがあること」を意味しています。

エンゲージメントを高めれば、企業の生産性が上がり、業績アップも期待できます。エンゲージメント向上によって会社の雰囲気がよくなり働きやすい職場となるのがポイントです。

エンゲージメントを高める施策の導入例と実績

エンゲージメントを考えるとき、すでに施策を実行し、実績をあげている企業の事例は非常に参考になります。

エンゲージメントを語るうえでよく話題に上がるのがグローバル企業のGoogle(グーグル)です。日本企業においてはサイバーエージェントがよく取り上げられます。

この章では、Googleとサイバーエージェントをはじめ、エンゲージメントを高める施策の導入例と実績を紹介します。

Google(グーグル)
Googleのエンゲージメントを高める施策は、ひとことでいうと「企業の重要情報や経営目標の積極的な開示と共有」です。
社員に情報や目的を開示して共有することで、社員のエンゲージメントが向上しています。
具体的には次の3つの取り組みによって社員のエンゲージメントを強化しています。

・TGIF(全社員ミーティング)による情報の開示
GoogleではTGIF(全社ミーティング)を毎週実施して、トップから会社全体のビジネスの状況や開発中の製品の説明を行い、全社員からの質疑応答を受け付けています。
TGIF(全社ミーティング)により、社員のコミットメントは高まり、エンゲージメント向上につながっています。

・OKRによる目標の共有
OKRとは、会社全体の目標(Objectives)と主要な結果(Key Results)のことです。
Googleでは四半期ごとにOKRを設定し公開します。
会社全体のOKRを理解したうえで、社員が自分のOKRを設定することで、目標の共有化が可能となっています。
目標の共有は社員の目標達成意欲を高め、エンゲージメント向上につながっています。

・Googleガイストの結果共有・公開
Googleガイストとは、毎年行われる全世界の社員を対象としたサーベイ(調査)です。
GoogleグーグルではGoogleガイストの結果を重視し、問題点や課題の改善のために活用します。
Googleガイストの結果は公開され、問題点や課題を共有化することで改善にむけた社員主導の活動につながっています。

サイバーエージェント
サイバーエージェントのエンゲージメントを高める施策は、ひとことでいうと「経営トップのビジョン・ミッションへの強いこだわりと社員への粘り強い発信」です。
経営トップが企業のビジョン・ミッションに強いこだわりを持ち、明確に社員に伝えていくことは、社員が報酬だけを目的に働くのではなく、協力し合い自発的に行動するエンゲージメント強化のために必要です。

サイバーエージェントでは「21世紀を代表する企業を創る」というビジョンを言語化し、トップ経営者の強いこだわりを明確化しました。
さらに、冊子を配布し掲示を継続して実施し、浸透をはかりました。

具体的な取り組みとして、役員と選抜メンバーが競争形式で新規事業の企画を争い、勝ち抜いた企画は実際にビジネスとして立ち上げる「あした会議」や、事業開発の成功と失敗のノウハウを蓄積して新規事業創出する社内文化を共有し継承していく「ヒストリエ(社史)」などがあげられます。

独自の福利厚生によってエンゲージメントを強化する企業

社員を報酬によって繋ぎとめるのは限界があります。そんな中、独自の福利厚生によってエンゲージメントを強化する企業があります。

Accenture(アクセンチュア)
Accentureは、多様性に関する取り組みを行っており、社員の希望があった場合、人事情報(性別)の更新が可能です。
また、ジェンダーフリートイレの整備や、同LGBT社員によるメンター制度などがあります。

Burton(バートン)
Burtonは、エンゲージメント強化のため、自社のスノーボード製品割引購入や、降雪日休暇、スキー場リフト代支給など、企業の目的や存在意義への訴求につながる取り組みを実施しています。

Salesforce.com(セールスフォース)
Salesforce.comは、社員の多様な経験と機会の支援のため、年6日間のボランティア休暇と約10万円の寄付手当が取得可能です。

大和ハウス工業
大和ハウス工業では、社員の健康や心理的な幸せの支援として、親孝行支援制度を設け、遠方に介護が必要な親をもつ社員に対して、親元への帰省のための旅費を1.5~5.5万円/回×年4回を上限に支給しています。

エンゲージメントは社員の定着に繋がっているのか?

エンゲージメントは社員の定着につながっているのでしょうか。

厚生労働省がまとめた「平成30年雇用動向調査結果の概要」によると、「その他の理由(出向等を含む)」や「定年・契約期間の満了」を省くと、離職理由の上位は「労働条件」「収入」「人間関係」となっています。
つまり、離職の理由をエンゲージメントの向上で解消できれば、定着率は上がると考えられます。

参照:
平成30年雇用動向調査結果の概要 厚生労働省

自社エンゲージメントの状況を確認するためには、可視化が必要です。社内のエンゲージメントの可視化(スコア化)には、定期的な社員アンケート(エンゲージメントサーベイ)が効果的です。

アンケートでは以下のような内容が10段階評価と自由記述で質問されるのが一般的です。

・自社を家族や友人にどのくらい勧めたいですか
・職場で自分の意志や意見が尊重されていますか
・自分が何を期待されているか理解していますか
・この1年間、仕事を通して成長しましたか
・自分の仕事に価値や誇りを感じていますか

アンケート(エンゲージメントサーベイ)を一定期間続けることで、気持ちの変化や課題が見えやすくなります。前月比、前年比、また部署間で比較し、その結果に基づいて、活動方針やエンゲージメント施策を改善・見直ししていくことが大切です。

エンゲージメント向上の方法と注意点

前述のエンゲージメント施策の導入事例を見てもわかるようにエンゲージメント向上には有効とされる取り組みがいくつかあります。
この章では、エンゲージメントを高める手法と注意点を紹介します。

エンゲージメントを高める手法
エンゲージメントを高める手法には下記の取り組みが有効です。

・ワークライフバランスの確立
・フレックスタイム制の導入
・コミュニケーションの強化
・人事評価の適正化
・福利厚生の整備
・企業理念やビジョンの共有

注意点
エンゲージメント施策を進めていくうえで注意したい点は、エンゲージメントの向上に時間と投資が必要であると理解しておくことです。
離職は、職場環境、労働条件、人間関係が引き金となる割合が高いといわれています。
社員の定着を目標のひとつとしてエンゲージメントを高める手法を実施する際には、職場環境、労働条件、人間関係に注視して、継続的に時間をかける必要があります。

まとめ

◆「エンゲージメント向上」は企業経営を成功させるのに最適な人材を確保するために必要不可欠である。

◆各企業の事例をもとに、社内で独自の取り組みを強化し、エンゲージメント向上によって離職の理由を解決できれば、社員の定着にも期待が持てる。

【著者プロフィール】
「ラーニング・イノベーションLABO」編集部
人事領域において人材開発やDX・ITにおけるクリティカルな情報をお届けします。
また、人事担当者の方々が日々抱える人材育成、人材開発における課題を整理し解決していくメディアを目指しています。
人材開発の先にある、社員の方一人一人の自己開発型人材の実現を目指し気づきと学びを提供するべく情報をお届けしていきます。
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