増えすぎたSaaSを有効活用するには? SaaSのAPI連携で企業のバックオフィスが変わる!

近年、インターネット上でソフトウエアを利用できる「SaaS(Software as a service)」と呼ばれる、クラウドサービスが急速に普及しています。

多くの企業では会議にZoomを使い、社内コミュニケ―ションにはビジネスチャット、営業部門ではCRM(顧客管理システム)、SFA(営業管理システム)、総務人事部門なら採用管理システムといった感じで、すでにさまざまなSaaSがビジネスの現場で活用されており、1社で10種類以上のSaaSを使っている企業も珍しくありません。

SaaSは、単独で活用するだけでも業務効率化に役立ちますが、APIで他のシステムと連携させると、さらにさまざまなことが実現できます。また、活用するSaaSが増えるにつれ連携させないと非効率な面が出てきます。

本記事では、企業のバックオフィスにおけるSaaSのAPI連携や、SaaS導入時に知っておきたいポイントを紹介します。

目次

SaaSとは?

SaaS(サース)とは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウエア)」の略称で、インターネット上でクラウドサービスとして提供されているソフトウエアを指します。

自社でシステムを開発したり高額なソフトウエアを購入したりせずとも、1ユーザーあたり月額1000円前後の価格を支払えば、各ベンダーが提供しているさまざまなSaaSを活用できます。利用を始めるのも退会するのも簡単です。

SaaSの場合、データはベンダー(サービス提供側)のデータセンターで管理されているので、社内にインフラを構築する必要もなく、必然的にインフラ系の管理者をおく必要もありません。
従業員はパソコン、スマートフォン、タブレットなどのさまざまなデバイスからデータにアクセスでき、いつでもどこからでも仕事ができるので、業務時間やコストの削減にもつながります。

2020年時点で、日本でよく使われているSaaSの上位は以下の通りです。

(出典:Metapscloud.com

特に、企業のバックオフィスで活用されているSaaS(サース)には、Microsoft365、Slack、Gmail、Dropboxなどがあります。

Microsoft365(旧Office365)
Microsoft365は、ワードやエクセル、PowerPoint、Outlookなどの、マイクロソフト社が提供してきたソフトウエアをSaaS(サース)として提供するサービスです。
以前は数万円でライセンスを購入しなければなりませんでしたが、今は法人向けプランなら1ユーザーあたり月額540円~2180円で活用できます。

Slack
Slackは、ビジネスチャットをSaaS(サース)として提供するサービスです。
急成長したSaaSユニコーン企業の成功例の代表格でもあります。NASAが導入するほどのセキュリティの堅牢さ、豊富な機能と拡張性があることが、グローバル市場で評価され、日本でも近年採用する企業が急速に拡大しています。

Slackはもともと、外部連携サービスが充実しているところが特徴でしたが、2020年にはSaaS業界のトップベンダーでありさまざまなクラウドサービスを提供するSalesforceとのM&Aに合意。
今後はさらにサービスの拡張性が増すことが期待できます。

Gmail
Gmailは、Googleが提供するフリーメールのSaaS(サース)です。
パソコン、スマートフォン、タブレットなどさまざまなデバイスで使用できます。
単なるメールソフトではなく、Gmail画面からチャット、音声通話、ビデオ通話(Google meet)ができるため非常に便利です。

無料版でもかなり充実した機能があるサービスですが、法人としてビジネスユースで活用する場合のプランもあり、月額料金680 円~2,040 円で活用できます。
有料版はより拡張性が高くなり、外部からの信頼度アップも期待できます。

Dropbox
Dropboxは、ストレージサービスを提供するSaaS(サース)です。
クラウド上にファイル、画像、動画などのデータを簡単に安全に保管できます。
また、Drobox内でデータをアップデートした場合、パソコン、スマートフォン、タブレットなどにあるデータも自動的に同期されます。


他にもたくさんのバックオフィス向けSaaSがあります。多くのベンダーが無料プランを提供しているため、今の時代なら無料SaaSを組み合わせるだけでも、業務のデジタル化をかなり進めることができるでしょう。

APIとは?

API(エーピーアイ)とは「Application Programming Interface」の略称で、広義ではソフトウエア同士のプログラムを共有するインターフェイスのことを指します。

APIは、ソフトウエア(アプリケーション)をつなぐことによって、機能性を拡張させ、ユーザーが便利に使えるようにするためのものです。

APIにはいろいろな種類がありますが、近年はWebサーバー・Webブラウザー用のAPIである「Web API」がかなり普及してきたため、このWeb APIをシンプルに「API」と表記するケースが増えてきています。
本記事でも、以下(API=Web API)という前提で記載します。

今のようにクラウドサービスが普及している環境ではAPIは必須ともいえる役割を果たします。
APIを活用することで、たとえば「Aソフト」でチャット機能を使用しながら「Bソフト」でデータを収集、「Cソフト」でデータを解析することが可能となります。
(APIが普及する以前は、プログラムAとプログラムBが搭載されたソフトウエアを両方同時に使いたい場合、データの直接共有ができず、共有するための新しいプログラムを開発する必要がありました)。

APIでアプリケーション同士を連携させることを「API連携」といいます。
近年は自社で開発しているサービスを外部から連携できるようにSaaSベンダーがAPIを公開する動きが、グローバル市場で活発化しています。

SaaSベンダーにとっては、連携システムを増やして自社のエコシステムをいかに確立するかが競争力の決め手になるからです。
多くの海外SaaSベンダーはAPIを公開し、自社を軸にしたプラットフォーム形成に熱心です。
一方、欧米諸国と比較して、日本ではAPI認知は決して高いとはいえず、APIを公開しているかどうかわからないSaaSもまだまだ少なくありません。

ただ、2020年にはBizteX株式会社によって、国内約500社のSaaSベンダーのAPI連携状況をデータベース化した「SaaS連携マップ」が公開されるなど、徐々にその重要性が理解されてきています。

API連携は、何よりユーザー側にとって大きなメリットがあります。
企業内で各部門が独自のシステムを活用すると、部分的な業務効率化にはつながるものの、統合的なデータ活用がなかなかできない課題がありました。
API連携でデータを一元管理できれば、データをより有効活用できます。
また、シームレスに複数のソフトウエアを活用できるため、かなりの業務時間の短縮が可能になります。

SaaSとAPIを連携するメリットは?事例も紹介

ここでは、SaaSのAPI連携のメリット、バックオフィスでの活用例を紹介します。

SaaSとAPIを連携するメリット

SaaSをAPIで連携するメリットは大きく次の3点です。

・自社に導入したSaaSごとのデータを1つに統合できる
・データを統合することで、リアルタイムの社内共有が実現でき、意思決定もスムーズに行える
・コスト削減・業務の効率化につながる

バックオフィスでのAPI連携事例

総務人事部門だけでも、採用、経理、労務、人事評価ほかさまざまな専門領域のデータがあります。
しかも、本来それぞれのデータには関連性があります。
以下のようにAPIで各部門で活用しているSaaSのデータを連携させたり、自社データベースと連携させることができれば、かなりの業務効率化が可能です。


会計ソフト
会計ソフトと銀行口座・クレジット利用履歴のシステムを連携することで、帳簿入力作業を解消できます。
POSレジ、営業部門で活用するCRM(顧客情報管理システム)等と連携させれば、売上データの自動入力や請求書作成などの会計業務が自動化できます。

API連携サービスが豊富な会計ソフト「freee」の活用例
会計や労務管理に特化しているクラウドシステムの「freee」では「freee API」と呼ばれる自社のAPIを公開し、設立当初から大手銀行とAPI連携を開始するなどAPI連携サービスを増やしてきました。

2018年にはAPIを活用した外部サービスの連携を強化する新戦略「freeeオープンプラットフォーム」を打ち出しています。
サポート体制も充実しており、社内にAPI連携のための専任チームやテクニカルサポートを設置したほか 開発者向けポータルサイト「freee Developers Community」もオープンし、情報公開に積極的です。

「会計freee」は、表計算アプリケーション、POSレジデータ、顧客情報管理システム(CRM)、勤怠管理システムなど、自社データやさまざまなSaaSと連携が可能なので、煩雑な会計業務を効率化できます。

最近は、プログラミングなしで複数のSaaS連携が可能な「クラウドAPI『Anyflow』」と連携を開始したため、よりシームレスなサービスが提供できるようになっています。

(出典:freee

人事関連の基本情報ソフト
人事労務・給与・社会保険・勤怠・経歴・評価状況などの自社データベースや、分散して活用している複数SaaSをAPIで連携することで、作業をシステムごとに行う必要がなくなり、業務時間を短縮できます。

「SmartHR」の活用例:
サービス利用継続率99%以上を誇る人事労務管理システム「SmartHR」もAPIを公開しています。
すでに使用しているSaaSや自社システムと連携させることが可能です。

例えば、新しく従業員が入社した場合や従業員の情報に変更があった場合、API連携により自動で各システムの情報が更新できます。
SmartHRは40以上のサービスと連携しているので(APIとCSV)ので、現在活用しているSaaSと連携がとれる確率が高いSaaSの一つでしょう。

(出典:SmartHR

採用管理ソフト
採用活動は長期戦であり、さまざまなタスクをリレー形式で進めていく仕事です。さらに、本来なら採用活動時点のデータと入社後の人事評価、労務管理のデータは一元管理できることが理想ですが、これまではなかなかできませんでした。

採用管理のSaaSを活用すれば、履歴書データ取得・オファーレター作成・日程調整がスムーズになります。さらに、採用管理SaaSと他のコミュニケーションツール(Slack)やWEB面接サービスソフト(Zoom等)、人事労務管理ソフトなどをAPIで連携させることで、長期的な人材データの利活用が可能になります。

22ものSaaSと連携可能な「SONAR ATS」の例
採用管理システム「SONAR ATS」は、Indeedなどの求人メディア、CUBICなどの適性診断サイト、TeamsなどのWeb面接ツール、Googleカレンダーやアウトルック、LINE、Slackなどのコミュニケーションツール、人材・労務管理領域ではカオナビ、SmartHRなど22ものSaaSとAPI連携できます。
データを一元管理することで業務効率化につながるだけでなく、将来的には従業員の能力や状況をさまざまなデータから分析することが可能になるでしょう。

(出典:Sonar-ats

なお、上記以外にもAPI連携サービスの多い優れたSaaSは豊富にあります。また、どんどん新しいSaaSも登場します。まずは、自社の現在活用しているシステムと連携ができるかという視点で、各社のAPI公開状況をとらえてみましょう。

SaaSのAPI連携のポイントと注意点

SaaSのAPI連携は、ユーザー企業にとってメリットが多く魅力的ですが、万能なわけではありません。
注意すべきポイントがあります。

まず、複数システムのデータを統合する際には、不正確なデータに注意しましょう。
たとえば、名前・電話番号・住所などのデータの表記方法がシステムごとに相違している場合、顧客ひとりに対していくつものデータがバラバラに存在してしまうことになります。

事前にデータクレンジング(名寄せ、表記ルールの統一)などをおこなうのが基本であり重要です。
データクレンジングはSaaSのAPI連携だけでなく今後のDX化を成功させるためにも必須です。専門の業者に委託してデータ活用のルール作りから始めましょう。

また、API連携は社内にエンジニアがいない企業にとっては難易度が高い業務です。
その場合、各SaaSとAPI連携できる「ハブ」の役割を果たすクラウドサービスを活用するのも一つの方法です。
また、当初からAPI連携サービスが豊富なSaaSを選ぶこともポイントでしょう。

世界的にDX推進がすすむなかAPIエコノミーは拡大しており、2022年には2000兆円規模になるという予測もあります。
APIを公開するベンダーが増えることはもちろん、一般企業がよりAPI連携しやすいサービスも次々と登場してくるでしょう。

より効率よくバックオフィス業務でSaaSを活用するためには、新しいサービスの動向にも常に着目していることが大切です

最後に、API活用にあたっては、API開発企業が提供を停止したり、仕様を変更したりすると、サービスに不具合が生じる可能性があることも知っておきたいポイントです。
リスクを避けるために、できるだけ信頼ができるSaaS企業を選びましょう。

まとめ

SaaS市場は急速に成長しています。
いろいろな切り口の新しいSaaSが登場するにつれ、企業内で活用するSaaSの数は増えていくため、APIによる連携は今後もますます重要になっていくでしょう。

経理、総務、人事などのバックオフィス業務は、戦略的な思考も必要ながら煩雑な業務が非常に多いところが特徴です。
それぞれのSaaSをAPIで連携させることで業務を効率化し、空いた時間をより戦略的な使うことができるようになるでしょう。
また、間接部門だけでなく営業現場や製造現場で活用するSaaSとのAPI連携により、全社的に業務の効率化が可能になります。

さまざまなサービスがあるので選択は大変ですが、あくまで「自社の規模や従業員のITリテラシーではどのようなSaaSをAPIで組み合わせていくことが最適か?」という思考で、活用しやすいSaaSを選んでいきましょう。

【著者プロフィール】
「ラーニング・イノベーションLABO」編集部
人事領域において人材開発やDX・ITにおけるクリティカルな情報をお届けします。
また、人事担当者の方々が日々抱える人材育成、人材開発における課題を整理し解決していくメディアを目指しています。
人材開発の先にある、社員の方一人一人の自己開発型人材の実現を目指し気づきと学びを提供するべく情報をお届けしていきます。
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