e-ラーニングの効果測定はどうする?運用する企業側が気をつけるべきポイントとは?

近年、企業の新たな従業員研修・教育の手段として、e-ラーニングが注目を集めています。
e-ラーニング導入の主要な効果として挙げられる研修・教育効率の向上や研修・教育コストの削減は、大変魅力的です。
しかし、e-ラーニングを導入すれば、必ずしもこれらの効果を得られるとは限りません。
e-ラーニングの効果を最大限享受するためには、定期的に効果測定を行い、試行錯誤をしていく必要があります。
そこで今回は、企業がe-ラーニングの効果測定をするべき理由を解説したうえで、e-ラーニングの主な効果測定方法とe-ラーニングの効果測定を運用している企業事例を紹介します。

目次

企業がe-ラーニングの効果測定をするべき3つの理由

企業がe-ラーニングの効果測定をするべき理由としては、以下の3つが挙げられます。

●e-ラーニングの問題点を早期発見できる
e-ラーニングを導入しても、改善を加えることなく最大の効果を享受できることはほとんどありません。
e-ラーニングの効果を高めていくためには、問題点を発見し、改善を重ねていく必要があります。

定期的にe-ラーニングの効果測定を実施すれば、e-ラーニングの問題点を早期発見できます。
e-ラーニングの効果をより早く享受したいのであれば、こまめにe-ラーニングの効果測定を行いましょう。

●e-ラーニングの学習効果が高まる
e-ラーニングの効果測定を行うと、受講する従業員にも何が重要なことであるかが伝わります。
その結果、受講する従業員は学ぶべきポイントを理解して効率よく学習できます。

たとえば、従業員がe-ラーニングで学んだことを現場で活かしているかを測定し、その効果を周知した場合、従業員はその重要性を理解し、e-ラーニングで学んだことを現場で積極的に活用するようになることが期待できます。

●e-ラーニングの重要性を証明できる
モチベーションの維持は、e-ラーニングの効果を最大化する上で重要な課題です。
従業員のe-ラーニングに対するモチベーションが下がると、受講率が下がって教育が行き渡らなくなってしまいます。

そのような事態を避けるためには、効果測定によってe-ラーニングの効果を可視化し、e-ラーニングの重要性を証明することが有効です。
こまめにe-ラーニングの効果を周知し、従業員のe-ラーニングに対するモチベーションを高めましょう。

e-ラーニングの主な効果測定方法

e-ラーニングの効果測定をする際には、以下の2つの評価モデルを活用すると良いでしょう。

●ドナルド・カークパトリックの4段階評価モデル
「ドナルド・カークパトリックの4段階評価モデル」とは、アメリカの経営学者であるドナルド・カークパトリックが提唱した従業員研修・教育の効果測定方法です。

ドナルド・カークパトリックは、研修の効果を測定するためにはレベルごとに評価・検討をする必要があるとし、「反応」「学習」「行動」「成果」といった4つのレベルを挙げています。
下表は、レベルごとの主な測定事項と具体的な評価方法を示したものです。

レベル測定事項評価方法
レベル1:反応受講者の満足度● アンケート
● 満足度評価
レベル2:学習知識・スキルの習得度● テスト
● ロールプレイング
● レポート
レベル3:行動現場での実践度● 受講者へのインタビュー・アンケート
● 360度評価(上司・同僚・部下へのインタビュー・アンケート)
● 覆面調査
レベル4:成果業績への貢献度
(売上、コスト、顧客満足度、離職率など)
● e-ラーニング実施前後の業績比較
● e-ラーニング実施グループとe-ラーニング非実施グループの業績比較

ドナルド・カークパトリックの4段階モデルをうまく活用し、正しく効果測定を行うためには、e-ラーニングの導入時にあらかじめ各レベルの測定事項・評価方法を設定しておくことが大切です。
e-ラーニングの導入目的に直結するレベル4から降順に、測定事項・評価方法を考えていきましょう。

●ジャック・フィリップスの5段階評価モデル
「ジャック・フィリップスの5段階評価モデル」とは、アメリカの経済学者であるジャック・フィリップスが提唱した従業員研修・教育の効果測定方法です。

「ドナルド・カークパトリックの4段階評価モデル」にレベル5として「ROI(費用対効果)」が加えられたものであり、e-ラーニングと業績の相関関係を明白にするうえで役立ちます。

従業員研修・教育のROIは、以下の数式に当てはめることによって算出できます。

ROI(%)=(従業員研修・教育によって生じた利益-研修コスト)÷研修コスト×100

より正確にROIを算出するためには、あらゆる測定事項を数値化しておく必要があります。

e-ラーニングの効果測定を運用している企業事例

ドナルド・カークパトリックの4段階評価モデルおよびジャック・フィリップスの5段階評価モデルを活用する場合、低レベルの評価を実践することは比較的容易であるものの、高レベルの評価を実践することは難しそうだと感じる人は多いでしょう。

しかし、高レベルの評価こそがe-ラーニングの真価を問い、e-ラーニングの効果を最大化する上で欠かせないものです。
そのため、e-ラーニングを導入する企業は、高レベルの効果測定方法を確立しておく必要があります。

ここでは、ドナルド・カークパトリックおよびジャック・フィリップスの評価モデルのうち、高レベルの効果測定を運用している企業事例を3つ紹介します。

●オートバックスセブン
最大手のカー用品チェーンであるオートバックスセブンは、1999年という比較的早い時期からe-ラーニングを採用しています。

同社は、従業員が研修会場に通う手間やコスト、職場内教育の負担などを削減し、教育の平準化や自ら学ぶ土壌の形成を目指してe-ラーニングに取り組みました。

e-ラーニングの効果測定としてドナルド・カークパトリックの4段階評価モデルのレベル4に相当する覆面調査を実施し、e-ラーニングの効果を評価しています。

さらに、レベル4に相当する施策として、e-ラーニングの修了状況と客単価・平均売上の比較を実施し、その相関関係を明らかにしています。
また、離職率の調査も実施し、e-ラーニングが従業員の定着率を高めることに寄与していることを確かめています。

●ミニストップ
イオングループのコンビニエンスストアであるミニストップは、2011年にe-ラーニングを導入しています。
同社は、店舗指導の専門スタッフに頼りきりの教育体制を改善し、ファストフードの品質や接客に関する問題を解決するため、e-ラーニングを導入しました。

同社はドナルド・カークパトリックの4段階評価モデルのレベル4に相当する施策としてe-ラーニングを利用した情報発信ツールでの新コンテンツ配信前と配信後の売上を比較し、e-ラーニングによる情報共有の効果を明らかにしています。

また、ポイント付き電子マネーカードの声かけ実施率についてもマニュアル動画の配信前と配信後とで比較調査を行い、その効果を証明しています。

●JINS
大手眼鏡ブランドのJINSは、店舗数の拡大にスタッフ教育が追いつかないという課題を解決するため、2013年に店舗教育推進グループを立ち上げ、e-ラーニング導入に舵を切りました。

同社はドナルド・カークパトリックの4段階評価モデルのレベル4に相当する施策としてe-ラーニング導入前後の顧客満足度評価を比較し、e-ラーニングがスタッフのスキルやサービスレベルの向上に寄与していることを確かめています。

まとめ

◆e-ラーニングの効果測定を実施すると、e-ラーニングの問題点を早期発見し、改善を加えてe-ラーニングの効果を高めることができる。
また、効果測定を実施することでe-ラーニングの効果が従業員に伝わり、学習効果やモチベーションが高まることも期待できる。

◆e-ラーニングの効果測定を実施する場合、受講者の満足度や知識・スキルの習得度を測ることも大切であるが、現場での実践度や業績への貢献度、費用対効果を測ることは、e-ラーニングの効果を最大化する上で特に重要となる。

◆ドナルド・カークパトリックの4段階評価モデルおよびジャック・フィリップスの5段階評価モデルを活用し、e-ラーニング導入前から効果測定の方法を練っておこう。

【著者プロフィール】
「ラーニング・イノベーションLABO」編集部
人事領域において人材開発やDX・ITにおけるクリティカルな情報をお届けします。
また、人事担当者の方々が日々抱える人材育成、人材開発における課題を整理し解決していくメディアを目指しています。
人材開発の先にある、社員の方一人一人の自己開発型人材の実現を目指し気づきと学びを提供するべく情報をお届けしていきます。
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