新入社員をスムーズに受け入れるオンボーディングとは? 重要性や実施のポイントについて解説します!

新入社員が職場に上手くなじめず、本来の力を発揮できないまま退職してしまうのは、企業にとってもその社員にとっても本来の望む結果ではありません。

このような事態を避けるために注目されているのがオンボーディングです。

本記事では、オンボーディングの重要性やメリット、効果的なオンボーディングを実施する上でのポイントや施策設計について解説します。

目次

オンボーディングとは何か

オンボーディングとは

オンボーディングとは、採用した従業員に素早く活躍してもらうよう、プログラムなどを通して研修などを行い、組織全体でサポートしていく取り組みです。

英語では「on-boarding」。航空機や船などに乗っている状態の「on-board」から派生した言葉で、設定した目的地に向かって搭乗している様子を表しています。

新たに入社する従業員は、組織内の人間関係を構築しにくかったり、業務やルールに戸惑ったりなど、あらゆる課題に直面することが考えられます。

期待と不安を抱く従業員がいち早く組織や仕事に慣れて即戦力として活躍できるように、最適な研修プランを立ててフォローしていくオンボーディングは、企業が取り組むべき重要な施策といえるでしょう。

オンボーディングの重要性

オンボーディングは組織全体の生産性を向上させることに重要な施策です。

職場全体で新入社員の受け入れを行うことで、新入社員は自分が会社から期待されていることを感じ、モチベーションアップにつながります。

また、仕事の進め方や必要な知識、職場のルールや人間関係などを早期に理解することで、入社後の小さなつまずきを取り除くことができます。

これによって、新入社員は自分らしくふるまえるようになり、組織の一員として定着し、そして、自分の持つ本来の力を発揮し、業務の戦力化につながるのです。

また、部門を越え多くの人が関わり、組織内で活発な情報共有が行われるため、横のつながりが強化され、結束力の向上にもつながります。

既存社員は会社に対して愛着心が生まれ、結果的にエンゲージメントの向上も期待できます。

オンボーディングは新入社員と既存社員の両方によい影響を与え、組織全体の生産性向上に寄与します。それ以外にも、離職の防止や、採用コストの削減にも効果を発揮します。

参考
・オンボーディングの意味とは? 企業における重要性や実施のポイントをご紹介

・オンボーディングとは?コロナ感染拡大化の今、リモートワークで効果的に実施する時のポイントとは

オンボーディングのメリット

企業と従業員の双方にメリットが生じるオンボーディング。
具体的にはどのようなプラス面が存在するのか、それぞれのメリットを以下にまとめました。

従業員のメリット
入社後、手厚くサポートされている実感が湧けば、会社に対して愛着が芽生え、モチベーションの向上につながります。

また、最適な人材育成研修で知識を習得すれば、自信を持って業務に取り組めるため、早い段階から最大のパフォーマンスを発揮することができるでしょう。

エンゲージメントはますます高まり、組織やチーム内の結束も強くなっていくはずです。

企業のメリット
入社した従業員が即戦力となることで企業に活気が生まれ、ビジネスの成長のための生産性向上に期待ができます。

自社のイメージアップや採用活動時のアピールポイントになることもメリットの一つです。

また、1on1ミーティングやメンター制度(社内におけるリアルな悩みを傾聴し、的確なアドバイスを行う支援活動)や、各種研修などのていねいなサポートによって従業員のエンゲージメントを高め、早期離職を防げれば人材が組織内に定着し、採用活動にかかる時間や費用を抑えることにつながるでしょう。

参考
・オンボーディングとは?コロナ感染拡大化の今、リモートワークで効果的に実施する時のポイントとは

オンボーディングの施策

オンボーディングは入社後からではなく、採用活動の時点から始まっています。

そのうえで、オンボーディングの施策を実行するにあたっての設計と、課題別の詳細な施策を紹介します。

①オンボーディングの設計

・オンボーディングの目的を設定する
新入社員のミッションとして、どのようなスキルを身につけ、どのように活躍してほしいのか、オンボーディングによって達成されるべき状態を設定します。

・オンボーディングのプロセスを整理する
さらに、入社前、入社当日、1週間、1か月、3か月と一定のタイミングで達成されるべき状態を細かく設定し、あわせてそれぞれの時期のプロセスと具体的なプランを策定します。

・オンボーディングの環境を構築する
オンボーディングに関わる上司、同僚とのミーティングやランチ、研修などのスケジュールを調整し、経営理念や会社の歴史など新入社員が知るべき情報をまとめた資料や、社内の専門用語や資料の格納場所などのTIPSをまとめたものを作り渡せるようにします。

②入社前後のギャップに対するオンボーディング施策

・採用活動の見直しを図る
採用ターゲットを明確にし、入社後の活躍にどう影響しているかなど、逐次見直しを図り、修正をします。
また、面接時にはメリットだけではなく、デメリットも伝え、入社を検討するうえで十分な情報を提供します。

・入社までに定期的に人事がコミュニケーションをとる
株式会社リクルートキャリアが発表した調査によると、入社前に人事とコミュニケーションを図った新入社員は、コミュニケーションを図っていない新入社員よりパフォーマンスがよくなる傾向があります。

また、コミュニケーションの内容として、入社を検討するうえで十分な情報を得たか確認したり、入社後に想定される疑問や不安を解消する情報の提供といったことが挙げられています。

③上司や同僚の関係構築を行うオンボーディング施策

・メンター制度を設ける
上司に聞くまでもない些細な質問を気軽に聞ける先輩社員、入社後の状態を定期的に聞いてくれる人事担当者など、だれに何を相談したらよいか分かるようなメンター制度を設けます。

・ランチ会、歓迎会、同期会を設ける
入社前に入社初日から1週間程度は誰とランチを取るのか、あらかじめスケジュール調整をしておき、既存社員とコミュニケーションをスムーズに図れるようにします。
また、所属部門での歓迎会や、同期入社の社員同士で同期会を行うように提案します。

・定期的な1on1ミーティングを行う
上司との定期的な1on1ミーティングのスケジュール調整をし、設定します。
このときには、チームから求めていることと、新入社員が求めていること・期待していることのすり合わせを行います。
そして、研修と実際の業務で起きているギャップを埋めたり、業務の進捗に対するフィードバックを行うようにします。

④業務に慣れるオンボーディング施策

・目標設定を行う
スモールステップで、ミッションを細かく分け、小さな目標を達成しながら最終的な目標を目指していくように設定し、あわせて、上司を含めた複数のメンバーによる定期的なフィードバックを受ける場を設けます。

・教育プログラムを設定する
研修やe-ラーニングなどのOff-JTと、実際に実務をしながら行うOJTを設定します。
Off-JTとOJTの担当者は連携し、定期的にブラッシュアップすることも重要です。

・業務ツールのトレーニング
社内の手続きやルール、各種ツールの使い方をトレーニングする機会を設けます。
コミュニティツール、情報共有ツール、ファイル共有ツール、社内申請ツール、業務ツールなど、それぞれのツールを活用できるようにトレーニングを行います。

参考
・オンボーディングの意味とは? 企業における重要性や実施のポイントをご紹介

オンボーディング実施のポイント

注意したい3つの課題

オンボーディングの成功は、新入社員が定着しない、戦力になれない要因となる3つの課題を抑えることにかかっています。

3つの課題とは「入社前後のギャップ」「上司と同僚の関係性」「仕事の進め方・業務量」です。この3つの課題を抑えながら、オンボーディングを実施することが成功のポイントになります。

入社前後のギャップ
新入社員が入社前に会社に抱いた期待と、入社後に感じた現実のギャップは少なからず発生します。
ギャップの大小は、入社前から入社を検討するうえで十分な情報を得ていたのか、入社後に想定される疑問や不安を解消する情報を開示してもらっていたのかということがポイントです。

また、入社後にギャップが生まれてしまい、その状態が続くとどのようなことを期待されているのか分からなくなってしまい、本来の力を発揮しにくくなります。

上司や同僚との関係性
入社直後は、会社にどのような人がいてどのような役割を果たしているか分からず、仕事の進め方や必要な知識、職場のルールを誰に聞いたらいいか分かりません。
その状態で、積極的なフォローもない孤独な状態で、かつ、直属の上司が忙しく、話しにくい場合には閉塞感が強くなり、より成果が出せない状況になってしまいます。

仕事の進め方・業務量
人事部門での研修と配属先でのOJTの内容が連携しておらず、業務に活かせないケースや、仕事の進め方についてフィードバックがなく、これで良いのか分からないまま続けてしまうケースがあります。

また、いきなり多くの業務量を与えられて進められないケースや、逆に気を使われ与えられる業務量が少なく、他の方に申し訳なく思うケースなどがあります。

コロナ禍でのオンボーディングのポイント

新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークやテレワークが増加し、在宅勤務となった従業員へ実施できるオンボーディングについて、多くの企業が課題としている状況です。

業務の遂行や人材教育の難しさなどが浮き彫りになるなど、在宅作業によって生じた、対応すべき問題は多岐にわたります。

しかし、コロナ禍のオンボーディングに失敗したと感じる理由の多くは、オンライン化によるコミュニケーションの不足です。
同期や組織内でコミュニケーションをとる手段を強化した上でオンライン研修を行えば、OJTのフィードバックやグループワークなど意見交換の場が充実し、解決すべきさまざまな問題点を話し合うことができるでしょう。

また、理解度を確認するITツールやオンボーディングツールの活用とともに、従業員を孤立させないメンタルヘルス対策も重要です。
コロナ禍でのオンボーディングには、従業員一人ひとりの不安を解消するケアがますます大切になるでしょう。

コロナ禍のオンボーディングで実施したい具体策は、以下になります。

・人材育成のオンライン研修(スキルアップ研修)を充実させる。
・OJT形式とグループ形式の研修を並行して行い、従業員に発言の場を設ける。
・上司が日報などでそれぞれの進捗を把握し、業務に負担がないか確認する。
・ITツール・オンボーディングツールなどを活用し、従業員の理解度を把握する。
・業務以外の相談場所を設けるなど、質問の窓口を増やす。
・メンターや人事部との定例会を設定するなど、メンタルヘルス対策を充実させる。

組織内で日常的に声掛けし合い、サポートすることはもちろん、方向性の共有や理念・ビジョンの確認などを積極的に行うこともポイントです。

参考
・オンボーディングの意味とは? 企業における重要性や実施のポイントをご紹介

・オンボーディングとは?コロナ感染拡大化の今、リモートワークで効果的に実施する時のポイントとは

新入社員のポテンシャルを引き出すオンボーディング

新入社員のポテンシャルを最大限引き出す方法

新入社員のポテンシャルを引き出すには、サーバントリーダーシップを参考にするとよいでしょう。
サーバントリーダーシップは「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考えのもとに生まれた支援型リーダーシップです。

新入社員が自ら考え、自分のアイデアを試すよう、物理的にも精神的にもサポートを行うことで、新入社員の当事者意識、自主性、責任感の向上が期待できます。
具体的には、新入社員に対し期待するゴール・ビジョンを示し、それを実現できるように仕事を行う上で必要なものを用意していきます。

また、多くの企業が取り組むオンボーディングには、新入社員のポテンシャルを最大限に引き出すために以下の取り組みがあります。

明確なロードマップ
新入社員に対し、目指すべきビジョンや目標を明確に示し、そのプロセスに必要なプログラムを設定します。

定期的な1on1
定期的な1on1ミーティングを実施し、プログラムに対する評価とフィードバックを行い、新入社員のモチベーションを高めながら相互理解を深めていきます。

教育研修とトレーニング
e-ラーニングや研修の機会を設け、新入社員が自ら学べる環境を用意し、実践的なスキルを身につけさせます。
研修では会社の価値観を共有することや、会社の風土を理解し意思決定のプロセスを理解することなどを盛り込みます。

新入社員のエンゲージメントを上げる方法

新入社員のエンゲージメントを上げるには、下記の3つを実感できることがポイントとなります。

・歓迎されている、期待されていると感じること
・組織の一員として認められていること
・自分の働き方や組織に対する貢献の仕方が見えていること

具体的には「ハーズバーグの二要因理論」に基づき、「動機付け要因」と「衛生要因」の2つの要因を意識しながらオンボーディングを実施するのが良いとされています。

ハーズバーグの二要因理論とは、従業員の仕事における満足度は、動機付け要因と言われる満足に関わる要因と、衛生要因と言われる不満足に関わる要因の2つがあり、この両方が満たされることで高いモチベーションが保たれるというものです。

動機付け要因は「組織文化」「社会的認知度」「仕事のやりがい」「成長」があり、衛生要因には「人間関係」「環境」「評価」「報酬」とそれぞれ4つずつ合計8つの領域に分かれます。
オンボーディングにおいては、動機付け要因である「組織文化」「仕事のやりがい」「成長」、衛生要因である「人間関係」「環境」を特に重視します。

動機付け要因

新入社員が組織文化になじんでいるか、仕事のやりがいを持てるか、成長を感じていられることを実感できるようオンボーディングを取り組んで行く必要があります。それぞれの施策については以下の通りです。

組織文化
・研修で会社の価値観を共有し、会社の風土を理解する
・ピアボーナスで組織文化の浸透を図る

仕事のやりがい
・定期的な1on1を行う

成長
・教育研修とトレーニングを設け、新入社員自ら学ぶ環境を用意し、成長の支援を行う

衛星要因

エンゲージメントの向上だけではなく、上述の新入社員の持つポテンシャルを引き出すためにも重要な取り組みとなってきます。それぞれの施策については以下の通りです。

人間関係
・ランチ会や懇親会を企画し、上司や同僚との関係構築をサポートする
・社内SNSを導入し社内コミュニケーションを活性化させる

環境
・仕事に必要なツールやシステムの設定・トレーニング、資料の格納場所、社内の承認フローを明確にする
・分からないことを質問できる教育係や、悩みを気軽に相談できるメンターを用意する

企業の取り組み事例

参考として、グローバル企業のオンボーディングの事例を紹介します。

Twitter
Twitterでは、採用のオファーに対して「はい」と言ってから、入社日に「デスク」に到着するまでの「Yes to Desk」の期間として、可能な限り生産的に歓迎することに重点をおいており、採用、人事、IT、施設の間で75を超えるステップと引き継ぎがあります。

新入社員は入社日に会社に行くと、自分の机にはTシャツとワインボトルが置かれており、歓迎を受けます。
そして、CEOと朝食をとり、会社のオフィスを見学した後、自分の役割に関連するツールとシステムに関するグループトレーニングを受けることになります。

Google
Googleでは、社員の入社日直前にマネージャーに対してメールで5つのチェックリストが送られています。

このチェックリストがどれだけ新入社員のオンボーディングに影響するのかGoogle社が分析した結果、新入社員の生産性向上までの時間を1か月短縮することができることがわかりました。

この5つのチェックリストは、新入社員の生産性に影響する重要なタスクをマネージャーに実行するように促すためで、タスクは以下の通りです。

・仕事の役割と責任についてきちんと会話をする
・メンター役をつける
・社内のネットワーク作りをサポートする
・最初の6か月は毎月面談を実施する
・気兼ねなく話せる環境を作る

Facebook
Facebookでは6週間のブートキャンプを通して、新入社員は自分の役割と企業文化を同時に学びます。

トレーニングでは、通常のプレゼンテーション形式ではなく、実際の作業に必要なツールを提供します。

入社日に仕事を始める前に十分な準備を行い、最初のプロジェクトに着手します。
これは、新入社員の自主性を尊重し、自分の仕事を早期に作成することを目的としているためです。

参考
・効果的なオンボーディングによって人材のポテンシャルを引き出し、エンゲージメントを上げる方法とは

まとめ

本記事では、オンボーディングについて解説しました。

人手不足の課題を解消させ、即戦力として自社に定着してもらうためには、従業員に寄り添ったオンボーディングを実施することが大切です。
特にコロナ禍で大きなポイントとなる「コミュニケーションの強化」に注力し、従業員にとって最適なサポートを行うことが必須と言えるでしょう。

オンボーディング実施を考えている企業の人事担当者の方は、本記事を参考にオンボーディング施策を見直してみてはいかがでしょうか。

【著者プロフィール】
「ラーニング・イノベーションLABO」編集部
人事領域において人材開発やDX・ITにおけるクリティカルな情報をお届けします。
また、人事担当者の方々が日々抱える人材育成、人材開発における課題を整理し解決していくメディアを目指しています。
人材開発の先にある、社員の方一人一人の自己開発型人材の実現を目指し気づきと学びを提供するべく情報をお届けしていきます。
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