人事が把握すべき離職率の計算方法と職種別の動向について解説


少子高齢化の影響により、今後ますます人手不足になると予測される日本の企業において、従業員の離職率は、人事が把握すべき大きな課題といえるでしょう。

最適な人材の確保が急務である企業で離職率が高ければ、人事担当者は「職場の環境に問題はないか」「改善策はあるのか」などを検討しなければなりません。

今回は「働きやすさ」を表す指標ともなる離職率の計算方法について、また、産業・職種別の離職率の傾向もあわせて解説します。

目次

離職率の計算方法とは

企業が人手を確保するためにさまざまな工夫を凝らす上で、重要になってくるのが離職率を下げることです。
離職率とは、企業で働く従業員全体のうち、その年に新たに離職した人数の割合を指しています。
離職した人の割合を出す計算方法は法律上定められてはいませんが、日本の厚生労働省が示す、離職率の計算方法を参考にすることが多いでしょう。

厚生労働省が年2回実施している雇用動向調査で使用する計算方法は「離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100(%)」となります。

※参考図
2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況

参考:2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況

一般的な企業の離職率には「企業が定める一定期間内の離職者数÷起算日の在籍者数×100(%)」を用いる場合が多いようです。企業がそれぞれに適した計算方法を用いるとよいでしょう。

離職率を計算するときの注意点

離職率を求める際に注意が必要なのは、該当する「期内の離職者」を含めた計算ができないことです。

例えば、一般的な計算方法である「企業が定める一定期間内の退職者数÷起算日の在籍者数×100(%)」をもとに、2020年4月1日~2021年3月31日までの離職率を割り出す場合、その年度に入社し、数カ月で退職した人など、期初までの離職者は計算式に含まれないことになります。

また、離職率計算方法の分子にあたる「一定期間内」の「一定」とは、1年または3年など、企業が独自に設定することができる数字です。
そのため、離職率はある程度「調整可能な数値」であることを知っておきましょう。

計算に用いる分子(期間の長さ)によって、企業の離職率は高くなったり低くなったり変動することになります。

産業別・職種別の離職率

厚生労働省が調査した「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」によると、離職率は産業別に大きな開きがありました。

2019年に離職率が最も高かったのが「宿泊業、飲食サービス業」でした。次いで「生活関連サービス業、娯楽業」となっています。

一方、離職率が最も低かったのは「複合サービス事業」でした。その後に「建設業」「製造業」が続きました。

離職率は調査年の社会情勢などによっても変化するため、産業別の数値は注視しつつ、各業界における離職状況の参考として捉えるとよいでしょう。
産業別の離職率
産業別入職・離職状況
※上図の参考元
2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況(22ページ参照)

なぜ離職率が高くなるのか

離職率は、人事にとっても、応募者となり得る人材にとっても、また、企業のブランドイメージにおいても、重要な指標となります。
離職率が高ければ「職場環境や給与などの条件面に問題があるのではないか」とネガティブに推察されることがあるでしょう。

離職率が高くなってしまう原因を分析する要素の一つに「離職理由」が挙げられます。

厚生労働省が調査した「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」において、前年比で上昇幅が最も大きかったのは、男女ともに「職場の人間関係が好ましくなかった」でした。
また「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」などの理由も大きいようです。

従業員の離職理由は、企業体制の改善・見直しのポイントでもあります。
人事を中心に、企業内の風通しをよくし、常にコミュニケーションをとれる体制づくりを行うことが重要です。条件面においても、他社と比較して、従業員のモチベーションが下がる制度になっていないか、報酬は見合ったものになっているかなど、具体的な数字の改革を継続して行うとよいでしょう。

従業員に長く働いてもらうことで、企業は採用や教育活動にかかる時間や費用を削減できます。
また、新しい人材を採用する際にも、低い離職率は自社のアピールポイントとなるはずです。

まとめ

◆人手不足の近年において、従業員のエンゲージメントを高め、長く働いてもらうには、離職率の把握は欠かせなくなっている。
その計算方法には法律の定義はなく、企業によって算出方法が異なっている。
人事は自社の計算方法に基づき、離職率に問題がないかを常に把握する必要がある。

◆離職率の低下は「従業員の満足度が高い」ということにつながる。
満足度が上がれば、一人ひとりの生産性は向上する傾向にあり、ひいては今後のビジネス成長にも期待が持てるようになる。

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