生産性向上の課題を解決する取り組みとは?企業の成功事例に学ぶ


近年、業務効率化や働き方改革の観点から、数多くの企業が生産性向上のために努力を重ねています。

特に、2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークや三密を避けた営業等、従来とは異なる形で業務を遂行することを余儀なくされ、「どのように生産性を向上・維持するのか」が大きな問題となっています。

本記事では企業の生産性向上を目的とした、様々な取り組み・成功事例、また生産性向上を実現するツールなどについてご紹介します。

目次

生産性向上の施策に求められるポイント

具体的に生産性を上げるための施策を考える前に、施策の手順を明確化していく必要があります。
手順を踏んで施策を検討しなければ、施策が実績に結びつかなかったり、実績に結びついているかの測定が難しくなったりします。

現在の日本企業を取りまく社会環境の中では、生産性の向上は一時的な取り組みではなく、測定、分析、改善を継続しながら長期的に実施していくべき課題です。
生産性向上の施策を講じる前には、以下の3つのポイントをおさえておく必要があるのです。

1点目は、現時点での生産性を把握することです。
現時点での生産性と、生産性を下げている問題点や課題を洗い出します。
生産性向上を目的とするためには、自社の現状の生産性の実態と問題点や課題を明確化する必要があります。

2点目は、労働内容を分析することです。
自社の現状の生産性の実態は、進捗の把握や分析ができるように、数値で表せるものでなければなりません。
一般的な基準には「稼働時間」、「非稼働時間」などがあり、「稼働時間」と「非稼働時間」は分けて、稼働時間を高められる方法を精査することが必要です。

3点目は、会社・部門・個人の施策に分類することです。
生産性向上は最終的に企業の業績に結び付かなければなりません。
そのためには、社員個人、チーム・部署、会社全体といったまとまりごとでの施策が必要になります。
それぞれが相互に結びつきながら最終目標に向けて進んでいくことが重要です。
そのためには、「会社全体の施策」「チーム・部署の施策」「個人の施策」などに、役割分担や優先順位付けを行い、効率的に施策を推進することがポイントになります。

参考:
生産性向上の施策のポイント!企業の生産性を分析する指標とは

リモートワーク・在宅勤務で生産性を上げる方法

リモートワーク・在宅勤務で生産性を上げるための課題である、環境整備と、コミュニケーションがはかれるような仕組みづくりのためにはどのような方法があるのでしょうか。

まず、リモートワーク・在宅勤務の環境整備方法について紹介します。

前述のHR総研の調査では、リモートワーク・在宅勤務を「うまく運用できている」と回答する企業は、「環境整備費を会社経費として精算」と「テレワーク手当てを一律支給」を実施している割合が、「上手く運用できていない」企業より多いという結果が見られました。
「上手く運用できていない」企業で最も多いのは、「全員に現品支給・貸与」の30%となっており、リモートワーク・在宅勤務を効果的に行うための最低条件として、PCやネット環境等を整えることが重要でしょう。

次に、コミュニケーションがはかれるような仕組みづくりの方法について紹介しましょう。

前述のHR総研の調査では、リモートワーク・在宅勤務を「上手く運用できている」企業では「定期的にオンライン社内会議を行う」が49%とほぼ半数の企業で行われていました。
コミュニケーションがはかれるような仕組みづくりの方法のひとつとして、オンライン上でも社員同士が定期的に顔を合わせて会話することで、リモートワーク・在宅勤務の効果的な運用に繋がることがうかがえます。

その他にもコミュニケーションがはかれるような仕組みづくりの方法として、以下の施策が有効でしょう。

・相手に配慮したチャットの活用
・ビデオ会議は映像をONにする
・進捗状況・スケジュールをこまめに共有・確認
・雑談時間も確保

参考:
リモートワーク・在宅勤務推進の状況で生産性を上げるための課題と解決策とは?

採用活動における生産性向上の取り組み

採用活動において、新卒・中途採用を問わず、HRテックを活用する企業が増えています。
HRテックとはAIやクラウド、ビッグデータ解析などの最先端技術を利用することで、人事業務における問題の解決、効率化を図るものです。

具体的な活用方法としては、以下の4点があげられます。

・面接官の評価基準のブレをなくす
・正確で納得感のある採用評価を実施する
・自社にとって最適な人材を選別する
・スケジュール管理や採用候補者との連絡などの採用管理業務のシステム化

また、企業の取り組み事例としては新卒採用選考にAIによる動画面接の評価を導入したソフトバンク、新卒採用の人材分析にHRテックを活用した日立製作所などがあります。

ソフトバンク

ソフトバンクは、採用担当者が新卒採用選考時に実施していた面接を動画面接に切り替えました。
動画面接とは、採用募集者が企業から提示された質問に対して回答する動画を撮影し、企業指定のプラットフォームにアップロードし、企業が動画を見て採用選考を行う仕組みです。

ソフトバンクは、2020年5月末から動画面接の評価にAIシステムを導入しています。
AIシステムには採用面接評価について経験とスキルをもった採用担当者の評価を学習させています。
AIが合格とした応募者は次の採用ステップにすすめ、不合格者は人事担当者が再度動画を見直すという流れで効率的な採用業務の流れをつくりだしています。

日立製作所

日立製作所は、人材分野にHRテックを効果的に導入するため「ピープルアナリティクス(人財分析)部門」を発足しました。

日立は最先端のAIやビックデータ解析を新卒採用の人材分析に採用しています。
日立製作所のHRテックの取り組みは、経済産業省などが後援する「第3回HRテクノロジー大賞」で「大賞」を受賞しています。

参考:
人事業務の働き方改革!採用・人材育成の生産性向上の取り組みとは?

人材育成における生産性向上の取り組み

人材育成やエンゲージメント向上のためにHRテックを活用する企業があります。
具体的な活用方法としては、以下の4点があげられます。

・社内研修システムの実施や分析・改善
・社員のエンゲージメントやモチベーションの測定
・社員のスキル、キャリア、資格、これまでの人事評価などの一元管理
・社員の目標管理

これらのサービスでは、社員一人ひとりのこれまでの経験や評価などを可視化でき、データを元にした戦略的な人事計画が可能になります。

企業の取り組み事例として、セプテーニグループがあります。
セプテーニグループでは、人材を企業の資産として捉え、独自の人材育成の考え方をベースに、一人一人の個性とその人を取り巻く環境の相性を定量化することに取り組んでいます。
人材情報の蓄積と運用には、AI型人事システムを採用し、自社の人材の能力とスキルが最大限に発揮できる企業文化をつくりだしています。

参考:
人事業務の働き方改革!採用・人材育成の生産性向上の取り組みとは?

生産性向上に成功した事例

ここでは生産性向上の取り組みに成功している企業を3社紹介します。

株式会社あしたのチーム

株式会社あしたのチームはクラウドを活用した人事評価システムを中心に提案するBtoB人事コンサルティング企業です。

株式会社あしたのチームでは、生産性向上のための重要な項目のひとつであるコスト削減に成功しました。
具体的な取り組みとして採用・研修でWEB会議を活用し、交通費・移動時間の削減に成功しています。
さらに、従来オフィスで実際に会って面談を行なっていた人事部長の採用面接をWEB面接に変更することで1日最大12名の採用面接が可能となり、47都道府県すべての拠点の人材採用をスピーディーに実施することを可能としました。

また採用後の人材育成もWEBで実施し、優秀な人材は新卒採用から半年で支社長となる実績もあげています。
WEBの活用は採用応募者の交通費削減と、面接の日程調整を容易にし、人材育成でも、移動時間の削減につながったのです。

日本航空株式会社

日本航空株式会社は働き方改革の柱である長時間労働の是正の取り組みで働き方改革の推進とともに、生産性向上の取り組みに成功しています。

具体的にはフリーアドレスの導入と20時完全退社等のルール策定により、1人あたり約2時間/日の時間外労働を削減しています。
さらに、固定電話を廃止し、社員に内線ができるスマホを配布、Wi-Fi環境を整備しフリーアドレス化を図るとともに、18時30分以降の電話・メール禁止、20時までには完全退社などのルールを策定し、残業削減と同時に社員の働き方へのニーズの多様化に対応できる職場環境を整えることで社員満足度の向上も実現しました。

ファイザー株式会社

世界的な医薬品企業であるファイザー株式会社は、世界中に社員が在籍しているため、トレーニングにかかる時間とコストは、生産性向上のためには大きな課題でした。

そこでファイザー株式会社は、e-ラーニングシステム導入を解決策として採用しました。
具体的には、新規採用者向けトレーニングにかかる時間とコストの削減を目的にe-ラーニングシステムを導入し、時間・コスト削減を実現しました。
さらに、世界中に分散した多数の従業員に対し、グローバルのオンサイトトレーニングを実施することで導入から1年で160万ドルのコスト削減と、4.5日かかっていた販売担当者向けオリエンテーション・トレーニングを統合して2日未満で実施可能としました。

参考:
生産性向上の施策に取り組む企業の成功事例を解説

 生産性向上を実現するITツールの導入

近年の働き方改革関連法、及び新型コロナウイルスの拡大を受けて、業務効率をこれまでと同様に維持するために、ITツールが注目されています。
ITツールを導入するメリットとして以下の3つがあります。

生産性向上

誰でもできる事務作業をITツールによって効率化し、減った分の人的リソースを生産性の高いコア業務に集中させることができます。

コスト削減

ITツールの導入により不要な業務を削減することで、時間短縮や印刷代、輸送費などのコストを削減できます。
また、労働力を新たに導入するための教育費や研修費も不要となります。

ワークライフバランス向上

業務効率化によって社員の労働時間の短縮に繋がります。
その結果、残業削減、ワークライフバランスが実現され、社員のエンゲージメントの向上や定着率向上が期待できます。

生産性向上の課題解決に業務効率化ITツールを選別する場合、自社の課題解決に役立つツールを選択していく必要があります。
ここでは、ニーズ別にいくつかの業務効率化ツールを紹介します。

コミュニケーションを活性化するツール

コミュニケーションを活性化するツールを導入することで、業務に関する連絡などの情報共有にかかる時間が大幅に削減されます。
また、リモートワーク時のやりとりに大きな効果を発揮し、すでに多くの企業で導入されています。

代表的なものに社内SNS、ビジネスチャット、Web会議ツールがあります。
特にビジネスチャットでは、社外には「お世話になっております」、社内には「お疲れ様です」の書き出しを不要にし、社内外のコミュニケーションを簡略化する企業も増えています。

ペーパーレス化ツール

ペーパーレス化ツールは、社内外のあらゆる書類をクラウドで管理します。ペーパーレスによって、印刷費用、郵送費用が削減できます。

例えば、社内では給与明細、稟議書、申請書、経費精算書類などのペーパーレスができ、社外では契約書のほか、保証書、カタログなどがデジタル化されペーパーレスになりつつあります。

自動化ツールを導入(RPA)

RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、ロボットによる業務の自動化を意味します。
伝票入力・請求書発行などのバックオフィス業務、交通費精算など社内の経費処理などの定型業務を自動で行わせることができます。

データ管理をクラウドへ

企業が収集したさまざまなデータをクラウドで一元管理し、業務効率だけではなく、業務に活かすシステムが増えています。

特に多岐にわたる業務を抱えている人事関連では、採用選考の管理、勤怠管理、従業員のタレント・育成データなどを一元管理する業務効率化ITツールがITシステム企業から提案されています。

参考:
生産性向上の課題解決に!役立つ業務効率化ITツールの選び方

まとめ

本記事では、生産性向上のための様々な施策・事例を紹介しました。
新型コロナウイルスによってリモートワークへの移行を余儀なくされ、業務の著しい効率低下に見舞われた企業が多いと存じます。

しかし、対応策として生産性向上のための手段を備えることは、アフターコロナ時代においても糧となり、更には将来再び企業活動が制限されるような事態が発生した際の対策にもなるでしょう。

企業の担当者の方は、是非この機会に社内の生産性向上を実現する仕組みの整備を検討してみてはいかがでしょうか。

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