HRサミット2014タレントマネジメントで会社を変える

目次

タレントマネジメントで会社を変える
~最新のITを活用すれば人事はここまでできる ~

サムトータル・システムズ株式会社
代表取締役社長 平野 正信 氏

 人事や人材育成の分野でも、IT の活用が不可欠な時代になってきました。
一般的に導入されている人事・給与システムと最近のタレントマネジメントシステムなどとの本質的な違いを、 IT 的視点と最新の人材育成システムの事例を交えながら解説することによって、今求められている人事・人材育成戦略と、そのリアルタイム効果を示します。

ITを活用した人事管理システムはどのように進化してきたか

 今日は、特にタレントマネジメントにフォーカスしながら、人事管理システムで IT を活用すると何ができるか、そして、企業がそれを行おうとするとき、何が課題になるのかということをお話します。

 まず、人事管理 システムというものが人事の仕事や役割を IT 的にどのようにサポートできるのか、これまでの進化をたどっておさらいしたいと思います。
 そもそも、人事系のシステムが企業に入り始めたのは 1990 年前後のことです。当時、人事給与システムが入り始めたのですが、従業員管理のために、名前と社員番号、それから住所、年齢、家族構成といった個人情報や入社前の履歴といったデータがまず必要になりました。 IT を使ってシステムで個人情報を管理するということが最初の基本です。それが、入社後の職歴の記録、労務勤怠管理といったところ、さらに人 事考課についても行えるようになり、「だったらこういう機能があるといい」と考えられて、タレントマネジメント的なところにつながっていったわけです。

 タレントマネジメントのシステムは 1990 年代に登場しました。その基本機能は、システム化された人事考課プロセスの管理です。システムを使わなくても従業員の評価はできますが、評価した結果を時間軸に沿ってきちんと蓄積しよう、入社して退職するまで全部蓄積しようと思うと、システムでデータを一括管理していかなければ、なかなかできるものではありません。システム化のポイントはここです。
 そして、次に、コンピテンシー評価、さらには、教育や訓練などスキル強化のための方策に関する部分が、タレントマネジメントシステムの拡張機能として出てきました。こうしたことを行うためには、時間軸を意識しながらデータを蓄積していくことが非常に大事になります。特に、個人ごとのデータであるタレントプロファイルをつくって、そのタレントプロファイルをたくさんシステムに入れておくことが重要です。
 システム化することで従業員を評価し育成する新しい仕組みをつくり、実行していくと、やがては人材が財産となって、最終的には、業績を上げ、顧客にご満足いただき、社会にも貢献できる「良い企業」になっていく。タレントマネジメントシステムとは、そのことを実現するためのツールだと捉えています。

コンピュータが得意とするギャップ分析を評価や育成に役立てる

 では、タレントマネジメントシステムを使って何ができるのか、いま、実際にどのように使われているのか、活用パターンをいくつかご紹介します。

 ひとつは、採用前から採用後 の配属までの一連のプロセスをシステム化することです。
これは、部門ごとにどういうプロファイルの人材を何人採用したいのかを決め、システムに入れておくことから始まります。そして、面接評価プロセスをシステム化し、面接して、評価して、入社するまでのスケジュール管理を含め、誰を採用したか、誰を採用しなかったかということをプロジェクトとして時間軸で管理していくことができます。社内の人に面接官を依頼するときのスケジュール管理も行えます。
 また、採用した人が入社したら実際にどうだったのかを確認することは非常に重要です。
入社後は、本人が持っている能力、ポテンシャルを分析して、求める人材のプロファイルとの間に大きいギャップがないか確認してから各部門に配属しますが、システムを使えば、配属後の経過も含めて継続的に確認していくことが簡単にできます。さらに、タレントを育てていく上で、新入社員教育に始まる教育の管理を連動させることも大事です。

 そのほかに、人材育成の観点では従業員全員を底上げすることが理想ですが、現実には難しいので、まず管理職、経営職に絞って管理するというのも非常に多い活用パターンです。上司がしっかりしていれば部下も育つ という考え方です。このためには、この人たちが管理職として積み上げてきた実績データがタレントプロファイルとして入っていることがまず必要です。そして、この部門のこの管理職はこうあるべきだという人材モデルを企業が設定しておき、本人が実際どうかを比較することが重要になります。

 こうした活用をしていく上で役に立つのが、タレントマネジメントシステムに備わっている分析機能です。ある人材モデルに対して、この人の能力のここが足りている、ここが足りないといったギャップ分析などができますが、最近は、分析結果を可視化する、ダッシ ュボードと呼ばれる機能も加わっています。経営委員会で求められるような社内の人材の分布、幹部候補生といった能力ある人材のリストなど、わかりやすいビジュアルで見せることができます。

「データ入力に手間がかかる」という課題にこう対処する

 一方で、タレントマネジメントシステムを活用していこうとするとき、必ずしもうまくいく企業ばかりではなく、いろいろな課題が出てくる場合もあります。
 そのひとつは評価方法の硬直化とマンネリ化です。先ほどお話したように、タレントマネジメントシステムを導入すれば、基本機能として 人事評価ができます。しかし、期の始めに目標を入れ、期の終わりに評価してボーナス査定をするという形で、人事評価のみ、年に 1 サイクルしか使っていないという企業も意外にあるのです。非常にもったいなく、残念な例です。各部門の方々が期の目標を入れるとき、どうしても「面倒だから」と、毎年みんな同じような目標を入れ、評価する側も「また同じか」という具合で、システムを使って評価をする利点があまりない場合も多いようです。いろいろ使おうと思って導入しても、最初に目的が明確になっていないと、こうした結果になりがちです。

 もうひとつは運用の問題です。人事システムは企業の基幹系システムの中で独立していても大丈夫なシステムですが、本来はきちんと連携が取れている方がいいのです。実際は、人事システムと社内のほかのシステムが完全に独立して動いている企業が多く、これはいい運用ではありません。本来なら統合したり、分散するなら何を分散すべきかを考えたりするべきですが、 IT 部門と人事部門の方々がうまくコミュニケーションしてこういうことをするのが難しいという話をよくお聞きします。
 また、運用の問題として大きいのは、「データを入れることが大変だ」とい うことです。
タレントプロファイルにしても、「入れれば非常によさそうだけれど、データを入れるのに手間がかかって無理だ」と、最初からやっていないケースが実は少なくありません。
しかし、負担を減らす方法はあります。ポイントは、どのようにデータを入れるか、全て自分で考えていただくのではなく、テンプレートを企業側でつくって、できるだけ入れやすいように工夫することです。先ほどの評価方法の硬直化とマンネリ化の問題も、部門ごとにどういう目標設定がいいのか考えて、あらかじめテンプレートを用意することが解決策になります。そのあたりについては、我々はノウハウを持っていますので、ご相談いだければと思います。

SNSとビッグデータがこれからの人事システムの鍵を握る

 最後に、これからの人事システムの鍵になってくる注目の IT について、 2 つご紹介します。
 まず、 SNS です。ツイッターなどが代表的ですが、ブログ、チャットなど、人事システムに SNS が活用される例は増えています。中でも注目していただきたいのが Linkedin で、欧米では企業にもビジネスパーソンにも欠かせない存在になっている世界最大級のビジネス向け SNS です。ユーザーが自分のビジネスに関する履歴書を書いて Linkedin で公開すると、そこで企業が採用したい人材を探してコンタクトするというように使われています。
日本で本格的に普及するのはこれからのようですが、欧米ではビジネスパーソンが自分の履歴書を Linkedin で公開することはすでに常識です。
 人事としては採用に活用できるだけではありません。自社の従業員が Linkedin に書いている履歴書は、前歴やいま勤めている内容を含めて、自分のイメージしている、なりたい姿です。ところが会社の人事システムのその人のプロ ファイルは、その人以外が書くので、通常、内容にギャップがあります。人事がそれを知ってギャップを埋めていくことも大事なポイントではないかと思います。なお、サムトータルの人事システムには、数年前からこの Linkedin などの外部サービスに直接つなげられる機能があります。

 次に、もう 1 つはビッグデータです。こういった大量のデータを分析する技術は、実は従来からあって、ビジネスインテリジェンスと呼ばれています。ただし、これまでは非常に大量ですが、きちんとしたデータを扱っていました。一方、ビッグデータは、とにかく膨大 であるものの、言ってみれば薄いデータで、そこから読み取る技術が大事です。その技術が最近進化しているわけです。
 典型的なのが Google です。検索すると欲しい情報も出てきますが、ときどきハズレも混じっています。あれがビッグデータの特徴で、いまの技術の限界です。人事の世界では、たとえば、個人のタレントプロファイルがビッグデータで、これを使ってその人を本当に評価しようということが考えられます。薄いデータからいかに評価するか、いまの技術ではまだなかなかうまくいっていませんが、将来的には実現できると見られています。 ご参考になれば幸いです。

講師紹介

サムトータル・システムズ株式会社
代表取締役社長 平野正信氏

1975年より IBM の技術職としてキャリアをスタート。その後、グローバル連結会計のハイペリオン、 Web および IT インフラを支える Linux のレッドハットの 日本法人代表などを経て、現在、人材育成ソリューションのリーディングカンパニー、サムトータル・システムズ株式会社代表取締役。 日経コンピュータ誌記者としての人脈、ソフトウエア全般、会計、人事などの IT ソリューション・コンサルタントなどの豊富な経験を生かし、業界のビジョナリーとして活躍。明快な説明に定評がある。

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