コラボヘルスが従業員の健康を変える
健康経営で生産性向上に取り組むコニカミノルタ スペシャル対談 前編

2018.05.16 
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左からコニカミノルタ株式会社
人事部 健康管理グループリーダー 兼 コニカミノルタ健康保険組合 常務理事 鈴田 朗 氏

カシオヒューマンシステムズ株式会社
取締役 陣内 孝之 氏

コニカミノルタ株式会社
常務執行役 人事部長 兼 総務部担当 若島 司 氏

ProFuture 株式会社
ファシリテーター 代表取締役社長 寺澤 康介

企業の健康経営は、従業員の活力や生産性を向上させ、結果的に業績や企業価値の向上にも繋がると期待されています。
コニカミノルタ株式会社では、独自の施策により従業員の健康維持増進を推進し、多くの成果をもたらしました。そんな同社の取り組みにおいて、キーワードとなるのが、「コラボヘルス」と「見える化」です。

そこで今回は、同社の健康経営を牽引する若島氏と鈴田氏にインタビュー。
人事統合システムを提供するカシオヒューマンシステムズ株式会社の陣内氏と共に、健康経営に対する考えや取り組み事例、課題などをお話いただきました。

人財力を最大限に引き出し活用できる組織を目指して

寺澤 昨今、従業員の健康づくりを生産性や企業価値の向上に繋げる「健康経営」に取り組む企業が増えてきました。
そうした中、御社は従業員の健康維持増進に経営視点で取り組まれており、経済産業省の「健康経営銘柄」にも2年連続で選定されていますが、そもそもどのような背景や考えから健康経営に取り組み始めたのでしょうか?

若島 健康経営を語る前に、弊社の人財に対する考え方をご紹介します。
我々はIoT時代のリーディングカンパニーとして持続的成長を成し遂げるために、従来の複合機を中心とした機器セールスカンパニーから脱却し、顧客視点の課題解決型デジタルカンパニーへと移行しています。
このトランスフォームのプロセスで、最も重要になるのが人財力です。
さらに人財力のベースは健康にあり、健康の維持増進には健康第一の風土醸成が必要不可欠となります。
こうしたことから従業員の健康への取り組みを将来に向けた戦略的投資と位置づけました。
一方で、人財力を最大限引き出すためには、「働き方改革」も必要です。
そこで健康経営と並行して、長時間労働の撲滅や、経営・マネジメント層の意識変革、ワークプレイスの見直し、多様な働き方メニューの提供などを推し進めています。

陣内 そうした中、御社では人事と健保が一体となって運営されているそうですね。
この人事と健保の「コラボヘルス体制」で、フィジカル面、メンタル面、人事施策など、多方面からアプローチされているところが、御社の取り組みの大きな特徴だと感じます。
このコラボヘルス体制には、どのような意図があるのでしょうか?

若島 コラボヘルス体制の構築は、危機感が後押ししたものです。
メンタルヘルス不調による休務者や、高齢化に伴う生活習慣病および予備軍が増加したという背景があります。
疾患による従業員の突然死などにも直面し、私自身こういうことは二度と起こしたくないと強く思っていました。
一方で健保も、高齢者納付金・支援金の増加や、従業員の高齢化に伴う医療費の増加などで、財政が悪化していました。
できる限りの改善策を実施するも状況は好転せず、組合の解散も考えていたほどでした。
そうした中、会社・健保の2つのリソースを最大限活用し、それぞれの強みを活かして取り組むことで、課題を解決できるのではないかと判断したわけです。

コラボヘルス体制のもと健康経営への多様な取り組みを実施

若島 弊社の健康経営は、「理念」=コニカミノルタグループ健康宣言を発信、「体制」=コラボヘルス体制の構築、「施策」=健康中期計画「健康KM2016」の策定という3本柱で成り立っています。
コニカミノルタの健康理念や従業員に求める意識行動を明確化し、健診運営や健診データ分析、課題抽出とそれに紐付いた施策の立案・実行などを、会社と健保の一体運営で実施。
「健康KM2016」」では、産業保健スタッフの徹底した個別指導によるリスク者のミニマイズ化と、各種生活習慣の見える化による全体の健康度の底上げを目指しています。

寺澤 フィジカル面とメンタル面の両面でリスク管理を強化されていらっしゃるのですね。
まずフィジカル面ではどのような対策を取っているのでしょうか?

若島 フィジカル対策としては、第一に要受診者の対応を強化しました。
受診の必要性や健診項目ごとの目的等を要受診者に通知し、未受診者には産業医名でイエローカード(受診勧奨書)とレッドカード(受診勧告書)を発行しています。
そして将来の疾病リスクを数値で見える化して、生活習慣改善に向けて従業員の背中を押すとともに、受診勧奨にも活用しています。
もう一つ、フィジカル対策として力を入れているのが、配偶者への領域拡大です。
本年3月から将来の疾病リスクを配偶者も閲覧可能な仕組みにし、家族間での同じ指標・言語を用いたコミュニケーションによって、お互いの行動変容に繋げてもらいたいと考えています。

寺澤 なるほど、これも一種の見える化ですね。
一方で昨今、企業でのメンタル不調者の増大や過重労働などが社会の耳目を集めていますが、メンタル対策や過重労働対策としては、どのような取り組みをされていますか?

若島 環境変化の激しい中、我々は生き残っていくためにも戦い抜かなければなりません。
そのため従業員ひとり一人のメンタル状況をしっかり把握しておきたいと思っています。
メンタル対策に関しては、第一に、年2回のストレスチェックを実施しました。
見える化の一環として、職場ごとのストレス度を4段階に層別し、組織長にフィードバックしてマネジメントに役立ててもらうようにしました。
最もストレス度の高いレベル4に分類される職場については、組織長や担当人事と連携し、改善策を立案・実行しています。
第二に、復職準備勤務制度を導入しました。
2011年度まではメンタル不調での休務者に対して、フル勤務ではなく、短時間勤務での復職を認めていましたので、完全に回復していないことが原因での再休務が多数発生していました。
そこで2012年度から、安易に復職させるのではなく、フル勤務が可能になる正式復職まで最大3か月のリハビリ勤務期間を設けました。期間中に人事・産業医・上長との定期ミーティングを複数回設定するとともに、復職先の上長や同僚向けに、受け入れの際の留意点をまとめたガイドブックを作成・配布するなど、復職者へのフォローを手厚くしました。

陣内 近頃は新卒採用においても復職率を聞いてくる学生が多いようで、カシオグループでも部門長向けの研修を推進するなど、復職に関する取り組みに力を入れています。
昨今では学生が企業を選ぶ際に、ブラックorホワイトというポイントも重視されてきているので、従業員のメンタルの状況や過重労働に対しては、人事も非常に敏感になっているようです。
実際、御社ではどのような過重労働対策を取られているのでしょうか?

鈴田 2007年~2010年までは、月次超過時間が80時間以上の従業員の極小化を目指して、月中で超過時間が40時間を超えた従業員とその上長に「超過勤務抑制指導メール」を配信するとともに、80時間を超えた従業員の上長には「業務改善計画書」の提出を義務付けてきました。
そして2011年からは、対象を月60時間~80時間へ拡大し、「超過勤務抑制指導メール」の対象を月中超過時間30時間に切り換えるとともに、人事部門が当該組織長と協議の上、原因究明と対応策の立案・実行に関与する対象を80時間超者が多い職場から60時間超者が多い職場にシフトしてきました。

続きはこちら
コラボヘルスが従業員の健康を変える。 健康経営で生産性向上に取り組むコニカミノルタ 後編

 

若島 司 氏
コニカミノルタ株式会社
常務執行役 人事部長 兼 総務部担当
1981 年、小西六写真工業(現コニカミノルタ)入社。複写機・カラーフイルムの国内営業、イギリス駐在、人事部労政グループリーダー等を経て、2017 年4 月より現職。海外も含めたグループ全体の人事・総務機能を統括するとともに、人事部長・健康保険組合理事長として、「健康経営」にも幅広く関わっている。

 

鈴田 朗 氏
コニカミノルタ株式会社
人事部 健康管理グループリーダー兼 コニカミノルタ健康保険組合 常務理事
1986 年、小西六写真工業(現コニカミノルタ)入社。カラーフイルムの国内営業、人事労務担当等を経て、2015 年8 月より現職。コラボヘルス体制における「健康経営」の実務上の責任者として、産業保健スタッフや関連部門と連携して、従業員の健康度向上に向けた様々な施策展開を行っている。

 

陣内 孝之 氏
カシオヒューマンシステムズ株式会社
取締役
1992 年カシオ計算機(株)入社。人事ソリューションの営業担当としてこれまで1,000 社以上のお客様への提案、導入に関わる。その後、企画室マネージャーとして企業の人事・給与ソリューションから人財マネジメントに関するシステム企画・サービス企画に従事。常に人事部を取り巻く環境の変化に合わせた柔軟なソリューションを提供している。

参考リンク

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