生産性向上のための人事メソッド‘SWP’と 「経験を数値データ化する」仕組み
スペシャル対談 後編

2018.05.15 
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左からカシオヒューマンシステムズ株式会社 取締役 陣内 孝之 氏
株式会社経営人事パートナーズ  最高経営責任者(CEO)山極 毅 氏
ファシリテーター:株式会社profuture 寺澤 康介

 

近年人事部門に対し、経営から生産性向上への貢献が求められるようになってきました。
その背景には何があるのか。
人事が生産性向上に貢献するためのポイントとは何か。

そこで今回は、日産自動車時代に開発、企画、人事の3部門を経験し、独立後は『人事戦略デザイナー』として、企業の人事課題をサポートしている山極毅氏と、人事システムとビッグデータ解析で人事の生産性向上を支援するカシオヒューマンシステムズの陣内孝之氏に、生産性向上に貢献する人事となるためになすべきことは何かについて語っていただきました。

今回は後半部分をお送りします。
前編はこちら
生産性向上のための人事メソッド‘SWP’と 「経験を数値データ化する」仕組み  ~元日産自動車人事・山極毅氏、カシオヒューマンシステムズ陣内孝之氏に聞く~前編

過去の仕事を棚卸して経験を数値データ化する

寺澤 人事にとってデータを見る能力は不可欠であると山極さんは言われています。
カシオヒューマンシステムズは人事統合システム「アドプス」、人財活用支援システム「アイティス」、人財マネジメントBPOサービス「アイティスリサーチ」などのサービスを持ち、多数の会社の大量の人事関連データを長年蓄積されているわけですが、どのようにビッグデータの活用をされているのですか。

陣内 カシオグループを例にとってお話ししましょう。
カシオグループには1万2千人近い従業員がおり、時計から電卓、電子辞書、カメラに至るまで、さまざまなコンシューマー製品を作っております。
そしてそんな会社を支えているのは、設計、企画、工場のライン、品質保証、営業、保守などの部門です。

そうした中、昨年・一昨年と社内でキャリア分析を実施しました。
これはキャリア=経験を数値データ化することが目的で、アンケート項目を作って、なぜ自分が今この位置にいるのか、そこに至る過去の経験を書いてもらいました。
そして結果からテキストマイニングを行い、さらに360度評価や過去の人事部の評価など、さまざまなデータを組み合わせて、一人ひとりの経験を数値データ化しました。

一例として、営業の係長職以上を対象に行った調査では、彼らの多くは、お客様など対外的な折衝ではなく、自社の他部門との調整、つまり営業と企画、営業と製造など、同じ会社の違う部門間との折衝が自分を成長させたと答えていることが分かりました。
さらに「経験した」で終わらせてしまう人より、経験を自分の中で内省して論理化した人のほうが、その後のパフォーマンスの値が高くなることもわかりました。

この結果を受けて、弊社では「経験を数値データ化する」というテーマでセミナーを開催するようになったのですが、非常に多くの人が集まります。
それだけ多くの企業が人事データの活用に興味を持っているということでしょう。
ですから我々もお客様の中に貯まっている人事データを、いかに集約し、その会社の傾向を導き出せるかを、今後のテーマにしていきたいと思っています。

山極 私は、ダイバーシティは生産性向上のキーだと思っているのですが、今の陣内さんのお話の中にその答えがありますね。
つまり若いときに他部門と折衝して、そこから学んだ人は成長する、これこそがダイバーシティなんです。
ダイバーシティというと、性別や国籍に話が行きがちですが、それだけではありません。
人間の個性は千差万別であり、個々人を尊重し合うことが、本来のダイバーシティだと思います。

生産性向上への貢献を目指す人事へのアドバイスを

寺澤 カシオヒューマンシステムズでは、ヒューマンリソース・マネジメントとタレント・マネジメントに必要な数値データを出して、それを統合的に分析して、お客様の課題を抽出したり、それに沿ったソリューションを提供されているわけですね。

陣内 おっしゃる通りです。
弊社では、情報作成から数値データ化、分析まで一貫してお手伝いさせていただいています。
さらに次の段階として、その結果をどう活用すれば生産性が上がるのか。
どんな教育が必要なのかまで、踏み込んで提案をさせていただきたいと思っています。

寺澤 では最後に、これから会社の生産性向上のためのアクションを起こそうという人事の方々に向けて、お二人からアドバイスをいただけないでしょうか。

山極 ポイントは3つです。
1つ目は、全体を見ること。
2つ目は数字で語れるようになること。
3つ目は、実験をしてみること。
数字を捉えないと実験もできませんし、実験すれば自分の会社に合った一番いい状態がわかるようになります。
全体を見つつ、数字を把握し、必要な箇所に必要な施策を試していく。
そういった組織・仕組み・プロセスを作っていくことが、人事が会社の生産性向上に貢献するために必要です。

陣内 私たちがデータ分析をお手伝いして、生産性向上に関する課題が把握できたとしても、そのすべてを一度に解決することは大変困難です。
我々は人事関連システムの多様な製品・サービスを揃えておりますが、お客様の状況に応じて、ステップ・バイ・ステップで導入することをお勧めするケースがほとんどです。
お客様とコミュニケーションを密に取りながら課題解決の支援をさせていただきますので、ぜひご相談をいただければと思います。

寺澤 人事が生産性向上に貢献するために何をなさなければならないか、非常に示唆に富むお話をお二人から伺うことができました。
本日はありがとうございました。

山極 毅 氏

株式会社経営人事パートナーズ  最高経営責任者(CEO)

前職の日産自動車株式会社では、技術開発、商品企画、グローバル人事の3部門を経験。27年間勤務し、自動車ビジネスのほぼ全部署、全行程での実務経験を有する。
人事部では、人的資源管理プロセス(Strategic Workforce Planning)の導入とグローバル関係会社への展開と定着、評価報酬制度の実力主義強化改良、新卒と中途採用等の責任者を経験。
2015年度に担当した若手育成と採用プロセスの革新は社外多方面から評価され、第4回日本HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞を受賞。
2016年4月に株式会社経営人事パートナーズを設立し、最高経営責任者に就任。現在、人事戦略デザイナー™ として幅広い人事戦略立案のサポートを行っている。

 

陣内孝之 氏

カシオヒューマンシステムズ株式会社 取締役

1992年カシオ計算機(株)入社。
人事ソリューションの営業担当としてこれまで1,000社以上のお客様への提案、導入に関わる。
その後、企画室マネージャーとして企業の人事・給与ソリューションから人財マネジメントに関するシステム企画・サービス企画に従事。常に人事部を取り巻く環境の変化に合わせた柔軟なソリューションを提供している。

 

参考リンク

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