働き方改革関連法で義務化された健康情報取扱規程の策定 人事に必要な対応をチェック!

2020.09.23 
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働き方改革関連法で義務化された健康情報取扱規程の策定 人事に必要な対応をチェック!

働き方改革により企業は、医師などによる面接指導や健康診断の結果などから必要な健康情報を取得し、従業員の健康と安全を確保することが求められている。しかし、健康情報の管理などの方法についての詳細な取り決めは法的に定められたものはなく、各社によってばらつきがあった。

そのような状況を改善するために2018年9月の労働安全衛生法改正によって「心身の状態に関する情報の取扱い」が新たに設けられた。
これにより、企業では2019年4月から健康情報取扱規程の策定が義務化されている。

目次

健康情報取扱規程とは

健康情報取扱規程とは、従業員の健康情報を取得する方法や情報管理の方法を法的に定めた規程のことを指す。

健康情報取扱規程で情報管理方法が規程される具体的な健康情報には、以下が挙げられる。
・健康診断の結果
・健康診断の事後措置について医師から聴取した意見
・ストレスチェックの結果
・高ストレスと判定された従業員に対する面接指導の結果
・長時間労働者に対する面接指導の結果

健康情報取扱規程策定の目的は、これまで企業独自の方法で管理されていた健康情報に明確な規程を設けることで、従業員の健康情報が有効に活用される職場環境を整えることである。

また、従業員が健康情報により人事上の不利益を被る不安を抱くことなく、安心して産業医などによる健康相談などを受けられるようにする目的もある。

人事担当者は健康情報取扱規程に沿って自社の規定を策定し、従業員に対して周知させなければならない。
従業員の健康管理情報が適切に管理されていないと判断された場合には、個人情報保護法によって、罰則を受ける可能性がある。

健康情報取扱規程に定めるべき事項

企業が健康情報取扱規程の策定を行う際には、下記の事項を定めるべきであるとされている。

『取扱規程に定めるべき事項
取扱規程に定めるべき事項は、具体的には以下のものが考えられる。

① 健康情報を取り扱う目的・方法
② 健康情報を取り扱う者、その権限・取り扱う心身の状態の情報の範囲
③ 健康情報を取り扱う目的などの通知方法、本人同意の取得方法
④ 健康情報の管理方法
⑤ 健康情報の開示、訂正、使用停止などの方法
⑥ 健康情報の第三者提供の方法
⑦ 事業承継、組織変更に伴う健康情報の引継ぎに関する事項
⑧ 健康情報の取扱いに関する苦情の処理
⑨ 健康情報取扱規程の労働者への周知方法

なお、②については、個々の事業場における心身の状態の情報を取り扱う目的や取り扱う体制などの状況に応じて、部署や職種ごとに、その権限及び取り扱う心身の状態の情報の範囲などを定めることが適切である。』

引用元:厚生労働省:労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針

「健康情報取扱規程」の作成

健康情報取扱規程は、従業員を常時50名以上雇用している企業と50人未満の企業で策定手順が異なる。
なお従業員には派遣社員や日雇労働者・パートタイマー等の臨時的労働者も含まれる。

・常時雇用している従業員が50名以上の企業
設置が義務づけられている衛生委員会又は安全衛生委員会が審議し、労使と連携しながら検討を実施し策定する。
・常時使用する従業員が50名未満の企業
衛生委員会などの設置が義務づけられていないため、従業員の意見を聴くための機会を設けて、取扱規程について労働者の意見を聴取した上で、策定することがすることが求められる。

策定した健康情報取扱規程は、従業員と共有することが必要だ。
共有方法は、就業規則や社内規程に定め、その文書をオフィスや作業場といった日常的に従業員の目につきやすい場所に掲示または備え付けたり、社内メールやイントラネットに掲載する方法などがある。

健康情報取扱規定の具体的な作成方法や規定の雛形などは厚生労働省の手引きが参考になる。

※厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き

健康情報を取り扱う従業員の教育

健康情報取扱規程が策定された後の運用についても注意が必要だ。

企業は、健康情報を取り扱う従業員に対して、情報の取扱方法や権限の範囲など取扱規定に定めた内容について周知させなければならない。
そのため人事担当者は、健康情報を取り扱う従業員に対して教育研修を実施するなどの対応が求められる。

また、実務上健康情報を取り扱わない従業員に対しても、健康情報を適切に扱うことの重要性や必要性を周知し、必要な範囲を超えての情報収集や漏えいなどを行うことがないよう啓発することが必要である。

まとめ

労働安全衛生法改正によって「心身の状態に関する情報の取扱い」が新たに設けられ、企業には、健康情報取扱規程の策定が2019年4月から義務化された。

従業員の健康情報を取得する方法や情報管理の方法を定めた健康情報取扱規程を策定し、従業員の健康情報が有効に活用される職場環境を整えることを目的としている。

健康情報取扱規程は、従業員を常時50名以上雇用している企業と50人未満の企業で策定手順が異なる。健康情報取扱規定の具体的な作成方法や規定の雛形などは厚生労働省の手引きが参考になる。

健康情報取扱規程を策定した後は、従業員との共有や情報の取扱についての教育も必要だ。

企業は、健康情報取扱規程に沿って健康情報などを適切に取り扱うことで、従業員の健康確保の取り組みが推進されることが期待されている。

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