大企業の働き方改革に伴う中小企業のしわ寄せとは?事例で分かるしわ寄せ防止対策

2020.09.08 
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大企業の働き方改革に伴う中小企業のしわ寄せとは?事例で分かるしわ寄せ防止対策

2019年6月、厚生労働省と中小企業庁および公正取引委員会は、「しわ寄せ防止総合対策」の策定を発表した。
2020年4月より時間外労働の上限規制が中小企業でも始まり、しわ寄せを防ぐための取り組みが集中的に行われている。

大企業の働き方改革によって生じる中小企業へのしわ寄せを防ぐことは、親事業者と下請け事業者のどちらもが生産性を上げていくうえで共通の課題である。
また、働き方改革を大企業のみならず中小企業にも浸透させ、双方の成長と分配の好循環を実現するという目的もある。

本記事では、大企業の働き方改革に伴う中小企業への「しわ寄せ」について解説するとともに、しわ寄せを防止するための対策を紹介していく。

目次

「しわ寄せ」とは

しわ寄せとは、働き方改革を進める大企業が中小企業に対して行う、コスト負担を伴わない短納期発注や急な仕様変更などを指す。
しわ寄せは下請法や独占禁止法で定める禁止事項に該当する可能性があるため、大企業による違反行為を防ぐことを目的に「しわ寄せ防止総合対策」が策定された。

厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会が策定した「しわ寄せ防止総合対策」では、以下の5項目がしわ寄せにあたると明記している。

買いたたき

<事例>
・短納期発注により人件費が大幅に増加したにもかかわらず、発注時の通常単価と同一の代金を一方的に定められた。
・発注側から提出を求められた製造原価計算資料や労務管理関係資料をデータ分析され、利益率が高いから値下げに応じられるはずといった主張のもとに、一方的に取引単価を下げられた。

減額

<事例>
短納期に関しては「特急料金」と書面に明記していたにもかかわらず、発注側の予算不足といった理由から通常の代金のみを支払われた。

不当な給付内容の変更・やり直し

<事例>
契約内容を直前になって一方的に変更、もしくはキャンセルしたにもかかわらず、その分の対価は支払われなかった。

受領拒否

<事例>
発注後に一方的に短納期を要求され、従業員の労働時間を増やし業務にあたったが期日までに間に合わなかったため、納期遅れを理由に商品の受領を拒否された。

不当な経済上の利益提供要請

<事例>
自社システムへの入力業務など、本来なら発注側が行うべき業務であるにもかかわらず、受注者に対価を支払わずに無償で代行させた。

参考:中小企業庁『「働き方改革」を阻害する不当な行為をしないよう気を付けましょう!!

「しわ寄せ防止総合対策」とは

「しわ寄せ防止総合対策」は、厚生労働省と中小企業庁および公正取引委員会がいっそうの連携を図り、「働き方改革の推進」と「取引適正化」の取り組みを一体的に進めていくために策定されたもので、以下の4つの柱がある。

関係法令などの周知広報

・労働局や労働基準監督署があらゆる機会を通じてリーフレットや事例を活用し、しわ寄せを防ぐための周知啓発活動を行う
・しわ寄せ防止キャンペーン月間の設定や大企業・中小企業経営トップセミナーの開催など、しわ寄せを防ぐための取り組みを集中的に行う

労働局・労働基準監督署などの窓口などにおける「しわ寄せ」情報の提供

・労働局や労働基準監督署、働き方改革推進支援センターの窓口へ、中小企業からしわ寄せ情報がよせられた場合は、リーフレットを活用し「振興基準」などを説明するとともに、地方経済産業局へ情報提供する

労働局・労働基準監督署による「しわ寄せ」防止に向けた要請・通報

・労働局から管内の大企業を個別に訪ね、しわ寄せを防ぐように要請する
・中小企業に対する監督指導に労働基準関係法令違反が認められ、その背景に下請法に違反する行為が行われていた可能性がある場合、公正取引委員会と中小企業庁へ通報する

公正取引委員会・中小企業庁による指導および不当な行為事例の周知・広報

・下請法や独占禁止法違反に該当するしわ寄せがあった場合、公正取引委員会と中小企業庁が法律に基づいて厳正に対応する
・実際に行った指導や不当な行為事例は、働き方改革に関する政府広報のホームページなどを通じ、業界団体や個別企業へ広く周知・広報を徹底する

参考:厚生労働省・中小企業庁・公正取引委員会『働き方改革に伴う「しわ寄せ」への対策について

まとめ

大企業が進める働き方改革によって、中小企業にはコスト負担を伴わない短納期発注や突然の仕様変更、キャンセルといった「しわ寄せ」が発生する恐れがある。
時間外労働の上限規則などで従業員の労働時間が短縮されたことで、時間内に捌き切れなかった仕事を取引先へ丸投げする事態が発生するかもしれないのだ。

こうしたしわ寄せ行為の防止を目的に、厚生労働省と中小企業庁および公正取引委員会は2019年6月、「しわ寄せ防止総合対策」を策定した。
しわ寄せに該当する恐れのある行為の情報提供やしわ寄せを防ぐための要請、指導といった防止対策を定めている。

しわ寄せは下請法や独占禁止法に違反する行為であり、今後はさらに厳しい目で見られていくだろう。
どういった行為がしわ寄せにあたるのか、大企業と中小企業がともに正しく理解し、しわ寄せを防ぐための対策を講じていく必要がある。

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参考リンク

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