働き方改革関連法案で施行!産業医・産業保健機能の強化で人事がとるべき対応とは

2020.06.29 
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2019年4月以降、長時間労働の見直しや従業員の多様な働き方の実現を目指す「働き方改革関連法案」が順次施行されている。

改正労働安全衛生法も働き方改革関連法案の1つであり、産業医・産業保険機能のさらなる強化が明記された。従業員の健康確保のために、産業医が効果的に業務を遂行できる環境の整備を目的としている。

この記事では、産業医・産業保健機能の強化点を解説するとともに、それに伴い人事がとるべき対応を紹介する。

「改正労働安全衛生法」と「産業医・産業保健機能の強化」

2019年4月より施行された働き方改革関連法案の1つ、改正労働安全衛生法は「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」の強化がポイントだ。

産業医・産業保健機能強化の目的は、健康リスクの高い従業員を見逃さないよう、産業医による面接指導や健康相談を確実に実施することである。

「産業医の活動環境の整備」と「健康相談の体制整備、健康情報の適正な取扱い」を2本の柱とし、産業医がより従業員の健康確保に取り組みやすい環境を整備する。

また、健康診断結果や面接指導などの健康情報を適正に取扱い、従業員が安心して産業医の健康相談を受けられる環境づくりを目指す。

参考:厚生労働省 「「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」

産業医の活動環境の整備

産業医学の専門家として、産業医には従業員一人ひとりの健康確保が期待されている。
産業医が働きやすい環境を整備するための強化点と、人事がとるべき対応は以下の通りである。

〇産業医の独立性・中立性の強化

産業医の独立性・中立性を強化するために、産業医には医学に関する知識・能力の維持向上が求められる。
産業医が辞任もしくは産業医を解任した際、企業はその旨を衛生委員会等に報告しなければならない。
辞任・解任理由が産業医にとって機微な内容である場合は、「一身上の都合」「契約期間満了」と報告して問題ない。

〇産業医への権限・情報提供の充実・強

企業が産業医へ付与すべき権限は以下の3点である。
1.事業者または総括安全衛生管理者に対して意見を述べること
2.従業員の健康管理に必要な情報を収集すること
3.従業員の健康確保にあたり緊急を要する状況の場合、必要な措置の実施を指示すること

人事は、従業員の健康管理にあたり産業医が必要とする以下の情報を速やかに提供しなければならない。
・健康診断、長時間労働者への面接指導、面接指導実施後の内容に関する情報
・時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり80時間を超えた従業員の氏名・超過時間に関する情報
・産業医が従業員の健康管理において必要と認めた業務に関する情報

時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり80時間を超えた従業員がいなかった場合は、「該当者なし」という情報を産業医へ伝えなければならない。

産業医が認める従業員の健康管理において必要な業務情報とは、作業環境や労働時間、作業態様、深夜業等の回数・時間などが該当する。どの項目を必要とするかは、あらかじめ企業と産業医で相談しておくとよい。

なお人事から産業医への情報伝達は書面が望ましく、提供した情報はすべて記録・保存しておくべきである。

〇産業医の活動と衛生委員会等との関係の強化

企業は産業医の勧告を受けた際、延滞なく勧告内容や講じた処置について衛生委員会等に報告することが義務付けられる。

衛生委員会等によって講じた内容はその都度記録し、3年間保存しなければならない。
保存する記録は、衛生委員会等の意見や措置内容が具体的に書き表されていれば、議事録でも構わないものとする。

参考:厚生労働省 「「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」

健康相談の体制整備、健康情報の適正な取扱い

企業は、従業員が安心して産業医に健康相談ができるよう、企業内で健康情報の取扱いを明確化する必要がある。

人事には、産業医が適切に対応できる環境と体制を整備するために、以下のような取り組みが求められる。
・従業員の健康確保に必要な範囲内の情報を収集、保管、使用すること
・収集した従業員の情報を適正に管理するために必要な措置を講じること

産業医の業務内容や健康情報の取扱方法を従業員に周知させるのも、人事がとるべき対応の1つだ。
周知方法としては、書面による社内掲示、社内ポータルサイトなどのイントラネット上での通知が適当である。
なお、保健指導や健康相談は、従業員のプライバシーが確保できる場所で実施するよう配慮しなければならない。

参考:厚生労働省 「「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」

まとめ

2019年4月施行の改正労働安全衛生法において、産業医・産業保健機能の強化に向けた取り組みが明示された。
その内容は、産業医の活動環境を整備すること、自社の従業員に産業医の役割と業務内容を正しく知ってもらうこと、従業員が安心して産業医に相談できるよう健康情報を取扱うルールと環境を作ることである。

産業医・産業保健機能を強化するために人事に求められることは、産業医への迅速かつ的確な情報提供、従業員のプライバシーを確保した健康相談の体制整備などが挙げられる。
産業医と連携し、従業員の健康確保を実現する推進役となることが期待されている。

 

参考リンク

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