2020年4月から中小企業に適用される働き方改革関連法は。求められる施策を解説!

2020.02.28 
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2020年4月から中小企業に適用される働き方改革関連法は。求められる施策を解説!

政府が推進する働き方改革の一環として、「働き方改革関連法」として8つの法案が2019年4月から施行された。
中でも、中小企業を対象とした取組みで注目したいのが、2020年4月から開始される「時間外労働の上限規制」だ。

この記事では、「働き方改革関連法」のうち特に「時間外労働の上限規制」を解説する。

目次

時間外労働の上限規制とは

時間外労働の上限規定とは、法律で従業員の時間外労働時間の上限を決めた規定である。
規定を守らなかった場合には、法的に罰せられる可能性がある。
具体的には罰則として6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあるのだ。

時間外労働の上限は、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要がある。

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までと規定されている。
月平均80時間の時間外労働とは、1日当たり約4時間程度の残業に相当する。

時間外労働の上限が法律に規定された背景

働き方改革関連法の要である「時間外労働の上限規制」の中小企業の施行時期は、2020年4月だ。
すでに大企業では2019年4月に施行されているが、中小企業には1年間の猶予措置が取られたため1年遅れでの実施となる。

働き方改革の一環として、時間外労働の上限規制が法律に規定された背景は、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署より下記の理由があげられている。

『長時間労働は、健康の確保を困難にするとともに、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっています。
長時間労働を是正することによって、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつきます。
このため、今般の働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。』

引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

法律上は残業時間の上限がなかった改正前

働き方関連法案の中で時間外労働の上限規制が注目される理由は、残業時間の上限を法的に決定したことにある。
労働基準法の歴史の中で明確な上限が決められたことは現在までなかったため、企業に与えるインパクトの大きい改革となった。

改正前であれば、企業は労使協定として「36協定」の特別条項を締結すれば、時間外労働の上限規制を超えて従業員を労働させることができた。
特別条項には時間外労働の上限に関して明確な法律の定めがなく、長時間労働を指摘されても「年720時間以内が望ましい」という行政指導を受けることがある、という程度のものだったのだ。

今回の法改正によって法律に時間外労働の上限が規定されたため、36協定で定める必要がある規定が大きく変わった。

このため、36協定届も新しい様式となり、労働基準監督署のチェックも改正前に比べると格段厳しいものになっている。

時間外労働の上限規制への対策

働き方改革関連法の要である「時間外労働の上限規制」への対策は、日常の業務において、残業が恒常化してしまっている中小企業にとっては、緊急を要する重大な課題である。

中小企業の中でも、現状タイムカードやICカードなどによる労働時間管理を実施できていない場合は、労働時間管理自体を早急に構築する必要がある。
専門企業の提案するオンラインの勤怠管理システムの導入を検討するのもよい。
従業員の勤怠管理体制を整え、長時間労働の原因を探り、適切な対策を行わなければならない。

企業が実施している労働時間短縮のための制度・施策は「残業の事前届出制、許可制」(54%)が最も多く、「ノー残業デーの設定」(52%)が僅差で2位となっている。
3位以下の序列は、「フレックス・スライド出勤制度」(37%)、「管理職の意識改革」(30%)、「深夜残業の禁止」(29%)などが続く。

※参考調査:HR総研:「働き方改革」実施状況調査【2】労働時間・有給休暇

従業員の時間外労働を減らしながら生産性を上げる対策も重要だ。

フレックスタイム制を導入して仕事量に応じて働く時間を柔軟に調整することや、「有給休暇制度」と「特別休暇制度」を活用できる環境を整えることなどが有効だろう。

時間外労働の上限規制の施策や制度で得られるメリット

時間外労働の上限規制の施策や制度を従業員が利用することは、企業にとって時間外労働を減らす以外にもメリットがあると考えられている。

市場調査の専門企業であるクロス・マーケティングでは、全国の18歳~59歳の働く男女に、「働き方改革に伴う『時間外労働の上限規制』や『年次有給休暇の5日以上取得必須』やなどの制度により働き方が変わることで、会社の業績や自分のモチベーションに変化があると思うか」という質問し、「1年以内に制度を利用した人」と「制度を利用していない人」の回答を比較した。

その結果、「会社に貢献したい気持ちが増えると思うか」(1年以内に制度を利用した人:44.2%/制度を利用していない人:26.1%)、「働き続けたいと思うか」(1年以内に制度を利用した人:52%/制度を利用していない人:31.1%)となった。

働き方改革に伴う施策や制度などを利用している人ほど会社に対して前向きなのである。
会社側が制度を使いやすい環境を整えることで、従業員の定着度や貢献度などを上げられると言えそうだ。

※参考調査:人事ポータルサイト【HRpro】人事トレンドニュース 働き方改革に関する調査

まとめ

2019年4月に施行された「働き方改革関連法」のうち「時間外労働の上限規制」は大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月から施行される。
これまで法律上は残業時間の上限がなかったが今回の法改正によって時間外労働の上限が規定され、36協定で定める必要がある規定が変わる。届出も新書式になり、チェックも従来よりも厳格なものとなる。

中小企業は対策を怠れば、規制に違反したり、仕事が回らなくなったりする可能性もでてくる。
社内の働き方の現状を把握し、早急な対応が必要となることが予想される。

働き方改革関連法案の概要や、「時間外労働の上限規制」以外の法改正内容や施行時期は「働き方改革関連法案とは?その内容や概要について解説します」
で紹介しているので、是非参考にしてほしい。

 

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参考リンク

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