働き方改革!副業・兼業の促進のメリットとデメリット

2019.11.29 
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働き方改革!副業・兼業の促進のメリットとデメリット
目次

副業とは?

正社員や非正社員が、収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。
そもそも日本では、基本的に副業は禁じられていなかった。副業を雇用主が禁じることは、憲法の「職業選択の自由」に反するという考え方からだ。しかし、日本企業の多くでは、就業規則において従業員の副業について規定しており、自由にしているケースもあるが、多くは、厳禁にしているケースがほとんどだった。

しかし、働き改革を推し進める国の動きでは、2018年1月に厚労省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめたほか、同省が示していた「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除した。現在は、「原則禁止」から「原則自由」へと方針を180度変えた状況となる。

副業が注目される背景

副業解禁論が出てきたのは、多様な働き方を求める人が増えたことが背景にある。
また少子高齢化による労働人口の減少や、ICTの発展により多様で自由な働き方が促進された一方で旧来型の労働集約型の業種には人が集まりにくい環境となっている現状もあり、特に飲食や小売業、建設業などで人手不足の状況が深刻化していることも背景のひとつだ。

ひとつの会社に拘束する働かせ方を続ければ、労働人口の減少とともに、働き手はどんどん足りなくなる。副業を解禁すれば、効率的に主の仕事を終えた人が他の仕事に就け、人手不足を緩和する一助にもなる。そうした国の方針転換を受けて、企業も副業解禁に動き出した。

また、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、副業・兼業を希望している者の割合は年々増加傾向にある。副業・兼業を行う理由は、自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、資格の活用、十分な収入の確保等さまざまであり、また、副業・兼業の形態も、正社員、パート・ アルバイト、会社役員、起業による自営業主等さまざまである。
働き方の多様化だけでなく、労働者の意思意欲の多様化も起きていることが分かる。

現在、クラウドソーシングなどで、PCとネット環境さえあれば、だれでも副業が可能な時代になっている。そうしたIT環境の変化も副業のハードルを低くしている要因ともいえる。

日経ビジネス電子版:「副業解禁」で壊れる日本の「カイシャ」
副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省)

メリット

副業の企業と従業員のメリットは以下の通りだ。

<企業側>
・副業を解禁すると、「優秀人材」が他でも仕事をしながらメインの会社に定着しやすい
・副業で得た知識やスキル、経験は、本業にもプラスとなるので従業員の業務の質が高まる
・従業員が社外で仕事するには、自ら業務案件を見つけていかなければならず、そうした経
験を通して主体的な働き方が身につく

<従業員側>
・本業以外の収入が増えるとともに、本業では得られない経験やスキルを身につけて、主体的なキャリアを形成することができる
・本業の収入があるので、やりたいことに余裕をもってチャレンジできる。転職や起業をしなくても、現在の会社に所属しながら、起業しないとできない業務にローリスクでチャレンジすることが可能となる

デメリット

一方で、デメリットとしては以下が考えられる。

<企業側>
・身体的・精神的な疲労により本業に集中できないなどの労務提供上の支障がある
・企業秘密情報が漏洩するリスク
・競争優位性の低下
・本業で身につけた専門能力を社外で、特に競合他社で発揮される恐れ
・社員がパラレルキャリアを築く、フリーランスや請負に近い感覚を持つ兼業社員が増える恐れ

<従業員側>
・労働時間が長くなる。健康管理が難しくなる、従業員自身の自己管理に頼る面が多くなる

副業を解禁している企業事例

副業を解禁している企業の事例を紹介する。

【S社:グループウエアの開発・販売・運用】
社長自らが副業解禁を率先して呼びかけて広めた企業でもある会社は、「複業」として2012年から副業解禁をスタートしている。基本的に副業は自由であるが、自社に関わる副業だけは、「副業申請アプリ」で上司・人事へ情報が届き、上司からの「単発ならいいけど継続はNG」といったコメントも入れられる。

副業によって得られた知識や人脈によって、本業のビジネスにリターンがあるようになり、社員・会社もポジティブに変わってきたという好循環が得られているようだ。社内には複業家を名乗る者も出てきて、各媒体などにも取材が殺到している副業先進企業。

 

【R社:総合人材派遣業・広告代理店】
元々「自発的に行動できる」「コミュニケーションが得意」「仕事をやりきる力がある」といったイメージが強い会社。この強みは、圧倒的なクライアント接点と、課題解決力である。営業職では、さまざまな規模のクライアントと接しながら、自社の広告商品を武器に課題解決の提案営業を行う。そうしたスキルが中小企業のコンサルなどの副業に繋がり、副業している社員は全体の60%と高い副業率で、すでに副業が文化として定着している。

元々この会社の人は、「卒業」を見越して、様々なスキルを身に着けようとしている社員が多いことが、副業率の高いことを象徴している。

 

【Y社:インターネット検索サービス】
1996年から副業が認められている会社。
副業は社内のWebシステムで申請し、「期間」「仕事内容」「収入」「本業への支障の有無」といった届け出をする。最終的に、上長と人事の承認を受けて副業を開始する。自社の業務に支障を及ぼす内容でなければ基本的にNGではない。

エンジニアやWebデザイナーが多い会社であるため、本業と直結しやすい副業がやりやすい環境も、解禁にしている背景といえる。

まとめ

副業は「働き方改革実行計画」(2017年3月)策定以降、政府も「副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省)」を策定して推進している。

従業員の自己成長や社内教育だけでは身につかない多様なスキルなど、副業で得られるメリットは多い。ただし、解禁する場合は、就業規則などのルール改正や運用改正と合わせて実行することが望ましい。

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