健康経営銘柄2019とは?選定企業の取り組みをご紹介

2019.10.30 
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日本企業を取り巻く環境の大きな変化のひとつに、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少がある。企業には人材の確保とともに従業員個々の生産性の向上が求められているのである。
企業の多くは従業員が長期間にわたり高い生産性を維持できるように、健康管理を経営の戦略としてとらえている。
従業員の健康管理の重要性に注目しているのは企業だけではない。経済産業省は、東京証券取引所と共同で、従業員の健康管理に積極的に取り組む企業を「健康経営銘柄」として選定している。

今回は2019年に健康経営銘柄として選ばれた「健康経営銘柄2019」の企業と選定企業の取り組みを紹介しながら、企業の健康経営について考えてみる。

健康経営、健康経営銘柄とは

企業が経営の一環として、健康をテーマとした課題や問題点に施策を考え実行していくことを「健康経営」という。

健康経営は、従業員の健康維持に役立ち、持続的な人材確保や生産性の向上につながっていく。健康経営の継続は企業の業績をアップさせ、バリューを高めることになる。
健康経営に積極的に取り組む企業が良好に業績を上昇させるというモデルは、投資家や株主にとっても魅力的な選考指標になる。

経済産業省は、東京証券取引所と共同で、健康経営に取り組んでいる上場企業の中で、将来的に投資家にとって魅力的な企業を「健康経営銘柄」として選定している。
健康経営銘柄という選定基準は、投資家の指標になるとともに、企業が健康経営に取り組む後押しをすることも目的としている。

未上場企業等を対象とした健康経営優良法人認定制度
健康経営の取り組みを行っているのは上場企業だけではない。
2017年から、日本経済団体連合・日本商工会議所等からなる「日本健康会議」は、積極的に健康経営に取り組む未上場企業を評価する「健康経営優良法人認定制度」を開始している。

「健康経営銘柄2018」から分析する、健康経営の実状と今後の課題については、「健康経営とは?健康経営銘柄から分かる実情と今後の課題」の記事で紹介しているので、こちらも参考にしてほしい。

健康経営銘柄2019とは

経済産業省が、東京証券取引所と共同で選定する健康経営銘柄は、東京証券取引所に上場している全企業を対象にしている。
2019年に選定された企業は「健康経営銘柄2019」と標示される。健康経営銘柄2019では、27種36社が選ばれた。

健康経営銘柄は原則1業種について1社しか選ばれないが、2019年度から、健康経営度が業界のもっとも良好な企業平均を上回る企業がある業種については、1社という原則枠を超えて選定されている。

2019年健康経営優良法人認定制度の認定数
2019年、未上場企業を対象とする「健康経営優良法人認定制度」は、2017年度以降3回目の認定となり、大規模法人部門820法人、中小法人部門2503法人が認定されている。

参考:経済産業省 「「健康経営銘柄2019」に36社を選定しました!」

選定企業の取り組み例

健康経営銘柄2019に選ばれた企業選定企業の取り組みを見て、企業の健康経営について考えてみよう。実践している取り組み例として、2019年にはじめて健康経営銘柄に選ばれたC社と2015年度から5年連続して選考されたT社を取り上げる。

【C社(初選定)】
C社は初代社長が医師であったため、創業当初から行動指針に「健康第一主義」を掲げており、選定前より健康経営の企業風土がしっかりと備わっていた。この健康経営をさらに進行させたのが、企業の環境整備と従業員自身の健康への自覚・維持・改善を目標とした「C社式健康経営」である。

C社の健康経営の特徴は具体性があり数値的に明確な実績を上げている点だ。重点項目として、「メンタルヘルス対策」「生活習慣病対策」「がん対策」「過重労働対策」を中期目標としている。具体策としては次の取組などがある。

・生活習慣病予防対策として、「睡眠」「運動」「食事」に着目した3年サイクルの全社キャンペーン。
・自宅での睡眠状況を測定し分析する「睡眠の見える化」。
・社内売店でのノンカフェイン飲料コーナー設置。

2017年から実施したSAS(睡眠時無呼吸症候群)のハイリスク者を対象とする支援プログラムでは、SASと関連が強いメタボリックシンドロームの改善にも効果が出ており、参加者のうち、メタボ発症者の割合が約30%減少するという数値的に明確な実績を残している点も注目すべき点だ。

【T社(5年連続)】
T社の健康経営は、2016年に「最高健康責任者」を新たに設置し「健康宣言」を制定したことによってスタートした。経済産業省が、東京証券取引所と共同で健康経営銘柄選定を開始した時期と重なり、実績を認められ5年連続で健康経営銘柄となっている。

T社は、健康経営銘柄の常連であり、取り組んできた施策は企業の健康経営について考える上で参考になるものである。ここではいくつかの取組を紹介しよう。

・2018年に定期健康診断結果を点数化した独自の指標「健康スコア」を導入し従業員の健康管理サポートを実施。
・歩きやすい靴で通勤・勤務する「WalkBiz」(ウォークビズ)スタイルを提案し、イベント等を開催。
・喫煙率低減施策として2018年から受動喫煙防止のための事業所内の完全分煙化、本社ビル喫煙室の廃止、2019年から就業時間内の喫煙を禁止した。
・高ストレス者を高精度でリストアップできるよう作成した独自の指標「ストレスチェックリスト」を職場環境の分析・改善に活用。
・ワークライフバランス実現のため、スライド勤務制度や休暇制度の利用促進する「SmartChoice(スマートチョイス)」、サテライトシェアオフィス「NewWork」を活用したテレワーク拡大を実施。

参考:経済産業省 「健康経営銘柄」
選定企業紹介レポート

まとめ

健康経営銘柄2019に選ばれた企業には、2018年度から連続して選考された企業が17社あった。そのうち6社は2015年以降5回連続で選考されている。一方で、16社が2019年はじめて健康経営銘柄に選ばれている。

健康経営銘柄は、企業からの健康経営度調査回答をもとに選考をするが、2019年は、選考開始以来回答数がもっとも多くなった。

健康経営度調査の回答数は年々増加しており、企業において健康経営が浸透してきていることがわかる。

健康経営銘柄に選ばれた企業は、働きやすい職場として認識され、求職者の判断基準のひとつにもなっている。

参考リンク

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