働き方改革関連法案とは?その内容や概要について解説します

2019.09.09 
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働き方改革関連法とは

日本は「歯止めのかからない少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面している。

これらの課題解決のため、日本政府は働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、1人ひとりが健康でよりよい将来の展望を持てるようにすることを目指し、2019年4月1日から順次、働き方改革関連法を施行した。

(働き方改革一括法は、日本法における8本の労働法の改正を行うための法律の通称である。
1.労働基準法 2.労働安全衛生法 3.労働時間等の設定の改善に関する特別措置法 4.じん肺法 5.雇用対策法 6.労働契約法 7.短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 8.労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)

「働き方改革」は大きく3本の柱から成り立っている
施行開始時期はそれぞれで異なり、かつ対象も大企業なのか中小企業なのかで変わる部分もあるが、ここでは大枠の項目を紹介する。

1.働き方改革の総合的かつ継続的な推進(雇用対策法の改正)

2.長時間労働の是正・多様で柔軟な働き方の実現等
1)長時間労働の上限規制の導入
2)長時間労働抑制策・年次有給休暇取得の一部義務化
3)フレックスタイム制の見直し
4)企画型裁量労働制の対象業務の追加
5)高度プロフェショナル制度の創設
6)勤務間インターバル制度の普及促進
7)産業医・産業保健機能の強化

3.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
1)不合理な待遇差を解消するための規定
2)派遣労働に関して、均等・均衡待遇方式か労使協定方式かを選択できる権利の確保
3)労働者の待遇に関する説明義務の強化
4)行政による履行確保措置と裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備

2015年の働き方改革関連法案との相違点

今回の働き方改革関連法は、過去遡ると、2015年の安部第三次内閣より検討されてきた。当時は労働基準法等改正案として、限定的な法改正ではあった。内容としては以下になる。

・時間外労働割増賃金の支払い義務
・年次有給休暇の確実な取得
・フレックスタイム制見直し
・企画業務型裁量労働制見直し
・高度プロフェッショナル制度創設など

2019年の働き方改革関連法との違いは、「企画業務型裁量労働制見直し」が含まれている一方で、「割増賃金率」の中小企業猶予措置が廃止され、「残業時間の上限規制」や「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」「労働者に対する説明義務の強化」や「行政ADRの整備」「産業医・産業保健機能の強化」などが明文化され、より具体的に企業に対して強制力を持った内容となっているところだ。

企業に対して厳しい方針や法整備を示すことで、働き方改革を形骸化することなく確実に推進したいとする、日本政府の意気込みが感じ取れる。

参考:労働基準法等改正案 第189回国会提出 厚生労働省資料

改正内容&施行時期まとめ

今回の働き方改革関連法の改正内容のポイントは以下の通りだ。

【ポイント1】
時間外労働の上限規制の導入【施行:2019年(中小企業2020年)4月1日~】
時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、
臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、
複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要がある。

時間外労働の上限規制の導入

【ポイント2】
年次有給休暇の確実な取得【施行:2019年4月1日~】
使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、
毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要がある。

年次有給休暇の確実な取得

【ポイント3】
正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止【施行:2020年(中小企業2021年)4月1日~】
同一企業内において正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止される。

正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止

出典:厚生労働省愛知労働局ホームページ

関係施策の項目と開始時期一覧

関係施策の項目と開始時期一覧

大企業と中小企業の範囲

働き方改革関連法に関して、対象企業は「大企業」と「中小企業」に分かれる。
働き方改革法における「中小企業」の定義は以下の通りである。
「大企業」に関しては、以下の表に該当しない場合、ということになる。

働き方改革法における「中小企業」の定義

出典:厚生労働省京都労働局ホームページ「働き方改革関連法の主な内容と施行時期」より抜粋

働き方改革関連法の施行に合わせて、企業が対応すべきこと

企業側ではどのような準備をすべきであろうか。

1.残業時間の上限規制
全社を挙げて残業削減に対する取り組みを行う。そのためには、勤務に関する規定を改正・整備するほかに、業務内容や工程の抜本的な見直し、社員の配置転換を再検討することも必要だ。これに伴い、勤務に関する規程を改正・整備する必要も出てくることもあるだろう。

2.有給休暇の取得推進
有給休暇の取得促進には、上長の理解がもっとも重要だ。
休みにくい空気は、上長が作りだすことが多い。そのため、上長に対しての教育は重要であり、繁忙期閑散期のバランスを考慮し、部下全員が休みを取りやすい仕組みづくり検討させることが必要である。

3.同一労働同一賃金の制度適用
正社員と非正規社員の待遇差をなくすため、賃金制度や人事面での改革が必要になる。待遇差をなくすために正社員側の賃金を引き下げたり、手当をなくしたりといった対応は決してあってはならない。
合理的な理由があれば待遇差をつけることが可能であるが、その場合は非正規社員に対して説明する義務が生まれる。

まとめ

働き方改革法の施行に伴い、業務や労務の抜本的な改革が必要となる企業も多いだろう。それに伴い、人員配置の見直しや社内規程の整備・改正、運用に伴う対象労働者や上長への教育は必須だ。
自社が大企業か中小企業の分類を確認し、施行開始時期に合わせた必要なものから順次計画的に、社内規程や運用の整備を開始するとよいだろう。

参考リンク

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