働き方改革法案成立で変わる有給休暇の義務化と罰則

2019.07.31 
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有給休暇国際比較調査の2018年版を見てみると、日本は19カ国の中で有給休暇の取得率と取得日数の両方で世界最下位となった。
取得率は50%で、同調査において3年連続で最下位。
取得日数は10日で、アメリカやタイと並び最下位だった。

ちなみに、日本人は「有給休暇の取得」に『罪悪感がある』と回答した割合が19か国中、第1位であった。
その理由として、「人手不足」が1位、2位は、「緊急時のために取っておく」、3位は「仕事する気がないと思われたくない」だった。

有給休暇が義務化される背景

日本の悪習慣である有給休暇取得率の低さは次のような課題を生む。

・介護、育児との両立に支障がでる
・自身が病気やケガをした際に、治療を続けながらの両立に支障がでる
・休みにくい会社とみなされ、採用時に人が集まらない
など。

一方で「働き方改革」の目指すものは「働く人の個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにすること」だ。
背景には「一億総活躍社会」において労働人口の確保と同時に、育児や介護、自身の治療などがあっても働き続けたいといった個人のニーズに対応する目的もある。

働き方改革が国を挙げて取り組まれている現在、義務化してまでも改革を推進したいと思う当局の強い意気込みすら感じ取れる。

有給休暇取得義務化とは?

2019年4月働き方改革関連法施行に伴い、年次有給休暇に関する労働基準法が一部改正された。
有給休暇の付与基準日(以下「基準日」と表記)に10日以上の有給休暇が与えられる労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日については、使用者が1年間に5日時季指定をして有給休暇を取得させることが義務化された。

<ポイント>
・年次有給休暇を取得した労働者(雇用開始から6か月継続、全労働日の8割以上を出勤
している)に年5日以上の有給休暇を取得させなければならない
・条件を満たしているパートやアルバイトにも取得させる義務がある
・企業の規模にかかわらず、中小企業にも適用がある

罰則や対象者

「1年間に5日以上の有給休暇を取得させなかった場合」 において、就業規則に記載していない場合、労働者1人につき30万円以下の罰金となる。(この罰則は、労働者1人につき1罪となるので、1年間に有給休暇を5日取得できなかった労働者が10人いる場合、最大で300万円の罰金となる。ただし労基署の監督指導においては、原則是正に向けて丁寧な指導をしていく、とされている)
また労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金とされている。
有給休暇 日数は、その会社での所定労働日数、所定労働時間、勤続年数によって変わる。

「確かめよう労働条件」ウェブサイトQ&A

企業が対応すべき対応や対策

・従業員の有給消化管理
各従業員が5日の有給休暇取得を達成できるように、定期的に取得状況の管理をし、取得できていない従業員や部署があれば、管理部門から取得の義務を伝えていく必要がある。
シフト制勤務で運営している企業などは、計画休暇・時季指定として、年度はじめに上長と従業員が計画を相談し、年間で「いつ・誰が休む」をあらかじめ決定して、そのなかで、シフトを組み込んでいくことを実施されるケースもあるようだ。
また、企業は従業員ごとに『年次有給休暇管理簿』を作成し、3年間保存する義務がある。

・従業員への法改正の説明
使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働
者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載する義務がある。
就業規則への規定後は、全従業員への周知とともに、いつでもアクセスできる場所に、その改訂内容を掲示しておく必要がある。

・有給消化しやすい環境作り
そもそも労働基準法の改正において有給休暇取得の義務付けされたのは、「休みが取れない・取りにくい」といった職場が多いことが背景にあったからであり、それは由々しき事態であった。
有給休暇は毎年労働者に与えられる権利なので、私用や家族の行事への参加、定期受診など、のさまざまな所用に有給休暇を利用することは、決して悪いことではない。
またそういった状況は、従業員誰にでも起こりうることであろう。「お互い様」精神で、助け合う雰囲気や環境がこの有給休暇取得の義務付けをきっかけに生まれ、文化が定着し、職場の活性化にまでつながることを切に願う。

厚生労働省 働き方改革関連法解説
年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(2019年4月施行)

まとめ

有給休暇消化の義務化は働き方改革の一環にすぎない。
法改正を機に人員の割り振り、業務効率化の見直しを行うとともに、休みやすい文化の定着、従業員同士のコミュニケーションの活性化、元気な職場への変革などへ繋がることが期待されている。

単に有給休暇を消化させるのではなく、会社の本当の意味での働き方改革が始まる。

参考リンク

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