働き方改革法案成立!企業が実施すべき具体的な対策について徹底解説!

2019.07.26 
117

日本は少子高齢化の社会構造から、生産年齢人口の低下が著しい。

そこで政府は、「一億総活躍社会」を掲げ、「どんな人でも現役で活躍できるような社会」を目指し、多様な生き方に対応できる労働環境の整備の実現に向けた後押しをしている。

まだまだ元気な高齢者の活用や育児や介護による人材の流出の防止など、さまざまな理由によって就業機会を失っている人に雇用機会が与えられることを期待し、労働基準法をはじめとするさまざまな関連法を改正した。

関連法の具体的内容は、
・長時間労働の是正
・各世代のライフイベントに応じた柔軟な働き方
・雇用形態に関わらない公正な待遇
などに関連する法の改定で、近年まれにみる大改革であり日本国内だけでなく海外からも注目されている。

働き方改革関連法における「中小企業」「大企業」の定義

働き方改革法における「中小企業」の定義は以下の通りである。

中小企業に該当するか否かは『資本金の額または出資の総額』『常時使用する労働者の数』で判断される。また、事業場単位ではなく「企業単位」で判断される。

中小企業の定義

「大企業」に関しては、上記の表に該当しない場合、『大企業に該当』ということになり、働き方改革法の中小企業の猶予は適用されない。早々の対応の検討が必要である。

出典:厚生労働省京都労働局「働き方改革関連法の主な内容と施行時期」より抜粋

働き方改革法の適用項目(※2019年4月実施分)

働き方改革法の適用項目は、「大企業」「中小企業」の分類で開始時期が異なるものがあるが2019年4月より適用開始となっている全企業対象分は以下の5項目だ。

1. 5日間の「有休休暇取得」の義務化
2.「勤務間インターバル制度」の努力義務
3.「高度プロフェッシャル制度」の創設
4.「3か月のフレックスタイム制」が可能
5.「産業医」の機能を強化(事業主の労働時間把握義務含む)

働き方改革関連法で「優先的に対応すべき」4つの項目

優先的に対応すべき項目は以下4つの項目である。

1)労務管理の徹底
有給休暇の5日取得義務
年10日以上の有給休暇が発生している労働者に対しては、会社は必ず5日の有給休暇を取得させなければならない義務を負うことになる。

2)制度の見直し
勤務間インターバル制度
疲労の蓄積を防ぐため、勤務後から次の勤務までは、少なくとも10時間、あるいは11時間といった、心身を休める時間を設けることが望ましいとされ、努力義務が設けられた。

「高度プロフェッショナル制度」の創設
年収1,075万円以上で、一定の専門知識を持った職種の労働者を対象に、本人の
同意等を条件として労働時間規制や割増賃金支払の対象外とする制度が導入された。

「3ヵ月のフレックス制」が可能に
最大1ヶ月単位でしか適用できなかったフレックスタイム制が、2ヶ月単位や3ヶ月単位でも適用することができるようになる。

3)労使協定の締結
長時間労働の是正に関して、労働基準法による時間外労働の上限が法律に規定されたことで、これまでの36協定を改訂し、特別条項も新たな内容で締結する必要がある。

【改定前】
法律上残業時間の上限なし

【改正後】
・残業時間の原則上限を定め、月45時間年360時間を超える残業はできない
・繁忙期などの臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合においても上限を規定
・原則の月45時間を超えることができるのは年間6か月まで

施行にあたっては、経過措置が設けられており、2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)以後の期間のみを定めた36協定に対しては上限規制が適用される。2019年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、上限規制は適用されない。

参考
厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針」
厚生労働省「時間外労働の上限規制」わかりやすい解説

4)健康相談体制の整備
産業医・産業保健機能の強化
従業員の健康管理に必要な情報の提供が企業に義務付けられ、その一環として事業主には客観的な方法での労働時間把握義務が課されることになった。

これまで産業医については、選任していても形骸化している企業も多くあったが、そこにメスを入れるように、産業医の勧告を受けた事業主は衛生委員会で勧告内容の報告と審議をすることが義務付けられた。

また従業員が健康問題について相談可能なように、相談先である産業医や保健師の相談窓口の周知も必要となり、いっそう効果的な活動ができる環境整備が求められている。

まとめ

働き方改革法の成立により、人事労務担当者はさまざまな社内規程の改訂や運用ルールの整備に追われていることだろう。

今回紹介した中で最も優先すべきことは、罰則付き上限規制が設けられた長時間労働の是正に関して、36協定を改訂し特別条項も新たな内容で締結することである。

次のステップでは各社の状況を見直し、優先順位を決めて取り組むとよい。
この際に、法律で定められた最低限度の見直しをするだけではなく、努力義務や任意の制度も積極的に見直そう。

働き方改革法に沿った取り組みにより「多様な生き方に対応できる労働環境」を整備することで、従業員満足度が向上し、より多くの従業員が活躍できる企業 へと成長できるだろう。

参考リンク

関連記事

close
資料ダウンロード 健康経営に関する意識調査レポート 2018-2019 「働きがい」の源泉とは何か? 無料 資料ダウンロードする