【HRサミット2016】日本最大級の人事フォーラム 5月11日・12日・13日開催!

対談 岩本隆×寺澤康介 世界と日本における HR テクノロジーと ビッグデータ活用の最前線

人にしかできないことの重要性が増していく

あるグローバル企業で人事リーダーを経験された方が「HRテクノロジーで変わっていくことと、変えてはいけないことがある」とおっしゃっていましたが、その点はどうでしょう?

どれだけマシン・インテリジェンスが普及しても、人にしかできないことはたくさんあります。逆に人にしかできないことが明確になってくるのではないでしょうか。

機械にできることは機械に任せればいいし、オペレーションなどは今でも外注している部分も大きい。データの分析はHRアナリティクスの専門家がやってくれる。しかし、それでも人にしかできないことはあるし、その定義・評価が重要になってくるでしょうね。

今寺澤さんが紹介された、グローバル企業の元人事リーダーの方は、今日本の企業で人事リーダーを務めていますが、とにかく色々な部署に行って人に会うようにしているようですね。これが「人にしかできない仕事」の代表であり、これからマシン・インテリジェンスが進化・普及していくにつれて、人に会う時間というのが増えていくのではないでしょうか。アメリカでも優れたリーダーはコミュニケーション・ツールに頼らず、飛行機に乗って人に会いに行きます。

おそらく会って情報をやりとりするというより、人を元気づけ、組織を活性化していくことが重要なんでしょうね。

感情のマネジメントは機械にはできません。人事の仕事でもそこは変わらないというより、むしろ増やしていくべきです。それによって人・組織のクリエイティビティを上げ、付加価値を大きくしていく。

いくら戦略・戦術を立てても、動くのは人ですから、人と組織の育成を育てなければビジネスでは勝てない。皆でモチベーションを高めて行動する、臨機応変に対応する、最後までやり抜くといった組織文化を育てていくには、とにかく人に会い、声をかけるしかない。ある大手メーカーが戦略的人事をめざして業務の棚卸しをしたところ、戦略的な行動に使っている時間がわずか数%しかなかったという話があります。それだけ日本のHRはオペレーションが中心なんですね。だからこそHRテクノロジーの活用が大切なのだと思います。

HRテクノロジー活用に必要なのはまず現状把握、次に将来の予測。

HRテクノロジーを活用して生産性を上げていくためには、どういうことをしていく必要があるでしょうか?

まず必要なのは現状把握です。今の生産性がどのような状態かを把握する。それができたら、次のステップは将来の予測です。経営がこれからこういうことを達成するために人事はこういうサポートが求められる、そのためにこういう人材を採用し、活用できるようにしなければならないといったことを予測する。HRテクノロジーを使うとこれが容易になります。

たしかに今までの人事は予測ができていませんでした。

今、企業では事業構造を変革していくために新規ビジネスを立ち上げるケースが増えています。そこでは今までと異なる人材が必要になりますから、同じような採用・育成ノウハウは通用しない部分が多い。ビジネスの将来を描き、業務内容や能力を明確にして、体系的に実現していかなければなりません。

今は一歩先がわからない混沌の時代ですが、読みにくい状況から将来を予測していくためにテクノロジーを駆使したデータ解析が重要になるわけですね。

HRテクノロジーを使えば、人事は社会のどんな業界のどの企業にどんな能力・実績を持つ人がいるか常に把握することができるようになります。例えばビジネス展開に合わせて、こういう人材が必要ということが決まれば、A社のBさんをピンポイントで特定し、ヘッドハンティングすることも可能になるでしょう。

HRテクノロジー業界を把握することから始める

これからHRテクノロジーとビッグデータを活用する時代になっていくとしたら、企業の人事は今からどんな準備をすればいいでしょうか?

まず適切なデータを集めるために、どんなデータをどういう目的で集め活用するのかを決めることです。私は色々な企業から相談を受けたり、データの解析に協力したりする機会がありますが、無意味なデータが少なくありません。いざデータを解析して活用しようというときに、データが無意味だと解析も無意味になってしまいます。

人事データは整備されていない部分も多いですね。採用時のデータがあいまいだったり、育成のデータが世代や年度、部門などで統一されていなかったりします。これらをタレントマネジメント・システムでつなごうにも、そもそもデータが整理されていない。まずこれらを整理して、きちんとどんなデータを集め、どういう目的で活用するかを決める必要があるわけですね。

最初に申し上げたWHATですね。解析自体は外注でもできますが、このWHATだけは企業の人事がやるしかない。

WHATを定義して、集めるデータがはっきりしたら、次は活用のためにどんなことを準備すればいいでしょうか?

データ分析を行う会社、ツールを開発して提供する会社など、いろいろなHRテクノロジーの会社がありますから、テクノロジーそのものに詳しくならなくても、どういう会社があって何ができるのかは把握しておいた方がいいでしょう。外注するならどこ、内製するならどこ、といったあたりをつけておくわけです。

そこは我々ProFutureの仕事かもしれませんね。ツールベンダーや分析サービスベンダーなどの情報を的確に提供していけば、企業の人事も準備がやりやすいですから。

この記事をスタートとして、情報提供を進めていきましょう。

今日はありがとうございました。

12|3

HRサミット2016スペシャルコンテンツ 関連リンク
スペシャルインタビュー Vol.4 将来、人工知能が人の仕事を奪う?人工知能について、いま、人事が知っておくべきこととは。株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野 正幸 氏
Vol.3 経営の真髄は人事にあり元中華人民共和国駐箚特命全権大使/ 前伊藤忠商事株式会社 取締役会長 丹羽 宇一郎 氏
Vol.2 サブロクで人事・労務の課題をデータ分析優秀な社員の退職を防ぐには
――その答えを導き出す。株式会社SUSQUE
Vol.1 「グローバル化」「ダイバーシティ」の時代を勝ち抜くリーダーをつくる
バークマン・メソッド株式会社キャプラスネット
スペシャル講演レポート 「成長戦略のための人財マネジメント」 〜全社が一丸となって進める人事変革とは〜Workday,Inc. HCMプロダクトマネジメントディレクター 宇田川 博文氏
「サイボウズの人事戦略」〜理想でつながるチームとは、チームワークとは何なのか〜サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長 中根 弓佳氏
「自ら主体的に動く人財を育成する原則とパラダイム」 〜7つの習慣から学ぶインサイド・アウトのアプローチ〜フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社 取締役副社長/筑波大学 客員教授 竹村 富士徳氏
企業変革を支える人事戦略とタレントマネジメント〜グローバル企業/日本オラクル実践例ご紹介〜日本オラクル株式会社 クラウド・アプリケーション事業統括 HCMクラウド統括本部 エンタープライズ営業部 部長 小野りちこ氏
「戦略的」人事を考える中央大学大学院 経営戦略研究科(ビジネススクール) 特任教授 中島豊氏
HRテクノロジー&ビッグデータ 第3回 人にしかできないことの重要性が増していく
第2回 ビッグデータの活用が進んでも、人の判断が重要。
第1回 世界で数年前から急速に広がりだしたビッグデータ活用