上司が部下に「感謝」を伝えることで、業績の向上も期待できる

 

introduction

組織(チーム)としての一体感を高めるために、上司と部下のコミュニケーションの活性化に力を入れる企業が増えている。企業での仕事は一人で完結するものではなく、チームで協力しながら進めるものだ。チーム内のコミュニケーションが活発になれば、状況の変化にチームの誰かがすぐに気づき、チームで解決策を考えたり、助け合ったりできる。その結果、チームとしての業績が向上すると経営層は期待しているのだ。HR総研は、Unipos株式会社(東京都港区、代表取締役社長:斉藤知明)と共同で実施した『上司と部下のコミュニケーション』に関する調査結果をもとに、企業における上司と部下のコミュニケーションの実態についてレポートをまとめた。なお、調査は人事ポータルサイト「HRプロ」と経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」で実施。「HRプロ」会員183名、「経営プロ」会員58名の合計241名から回答を得られた。全員、上場および非上場企業の人事部門の責任者や人事担当者(主に「HRプロ」会員)、経営者や役員(主に「経営プロ」会員)だ。

レポート

2014年5月に厚生労働省が発表した「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」(※1)は、「職場の人間関係がポジティブな職場では会社の業績が増加している傾向がある」と指摘している。また、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2018年7月に発表したレポート「上司と部下のコミュニケーション」(※2)によると、上司と部下が「評価者と被評価者という関係」と言うことから、「その関係が良好であるかどうか」が、両者の働きやすさやメンタルヘルス、組織の業績にも影響すると触れ、コミュニケーションの重要性について説いている。メンバー同士、特に上司と部下が頻繁にコミュニケーションを取れる環境かどうかは、職場の人間関係構築に欠かせない要素だと言えそうだ。今回の調査結果ではどうだったのだろうか。

上司と部下のコミュニケーションが
好影響をもたらすことはほぼ全員が知っている

上司と部下のコミュニケーションが『パフォーマンス(業績)』、『リテンション(定着)』に影響があることを知っているかを尋ねたところ、全体の66%が「知っている」、26%が「一部について知っている」と回答している(図表1)。合計すると92%が何らかの形でこの事実を知っているということになる。


図表1 上司・部下のコミュニケーションが業績・定着に影響すること(択一)

図表1 あなたは、上司・部下のコミュニケーションが「パフォーマンス(業績)」、「リテンション(定着)」に影響があることはご存知ですか。(必須・択一)

そして、「事業部門における上司と部下の相互コミュニケーションを促進する施策(社内SNSの活用、フリーアドレス化、表彰制度、1on1制度ほか)」を何か実施しているかという設問では、全体の59%が「行っている」と回答(図表2)。大多数の回答者が、上司と部下のコミュニケーションが業績などに影響することを知っており、6割ほどの企業がコミュニケーションを促進する施策を実施しているということだ。


図表2 上司・部下の相互コミュニケーション促進施策の実施(択一)

図表2 貴社の人事部門では、事業部門に向けて上司・部下の相互コミュニケーションを促進する施策(社内SNSの活用、フリーアドレス化、表彰制度、1on1制度ほか)を行っていますか。(必須・択一)

部下と信頼関係を作れる上司の姿とは?

では、質の高い上司と部下のコミュニケーションはどのようなものだろうか。「『信頼されている上司』が部下に対して行うコミュニケーションにどのような共通点があるか」を尋ねる設問(複数選択可)では、「コミュニケーションの総量が多い」(58%)という回答が最多で、以降「役割や課題の意味や意義を伝えている」(56%)、「会社・組織のありたい姿を伝えている」(52%)といった回答が続いた(図表3)。チームの司令塔として、最終的なゴールを明確に示し、メンバーそれぞれが果たすべき役割と意義を伝え、何度も確認するようにコミュニケーションを取る上司が部下から信頼されるということだろう。


図表3 「信頼されている上司」のコミュニケーションの共通点(複数選択可)

図表3 貴社で「信頼されている上司」が部下に対して行うコミュニケーションについて、どのような共通点がありますか。該当するもの全てをお選びください。(必須・複数選択可)

反対に、「『信頼の薄い上司』が部下と取るコミュニケーションについて、どのような共通点があるか」ということも尋ねてみた(複数選択可)。すると、信頼される上司とはまったく反対の結果となった(図表4)。最も多かった回答は「コミュニケーションの総量が少ない」で全体の63%、続いて「役割や課題の意味や意義を伝えていない」(54%)、「会社・組織のありたい姿を伝えていない」(47%)という結果になった。信頼されている上司が共通して取り組んでいることに取り組もうとしない上司は信頼を得られないと言えそうだ。


図表4 「信頼の薄い上司」のコミュニケーションの共通点(複数選択可)

図表4 貴社で「信頼の薄い上司」の方が部下に対して行うコミュニケーションについて、どのような共通点がありますか。該当するもの全てをお選びください。(必須・複数選択可)

ここで注目したい点は、信頼される上司と信頼の薄い上司を分ける最大の要素が「コミュニケーションの総量」であるところだ。ゴールを明確に示すことや、メンバーそれぞれが果たすべき役割を伝えることはもちろん重要だが、その前提として頻繁にコミュニケーションを取ることが何よりも大切であることをこの調査結果は示している。

この後、調査レポートでは下記について紹介しています。

  • 信頼されている上司が部下に与えるプラスの影響とは
  • 信頼されている上司が部下に何を伝えているのか
  • 感謝のフィードバックと業績の関係
  • 上司から気軽に感謝を伝えられる手段
続きはダウンロードしてご覧ください

【参考文献】※1:経済産業省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」https://www.mhlw.go.jp/chushoukigyou_kaizen/investigation/report.pdf ※2:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「上司と部下のコミュニケーション」https://www.murc.jp/report/rc/report/consulting_report/cr_180706_3/