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ドリルを買うお客様が欲しいのは穴であってドリルではない

2014/10/27

企業にとって優秀な営業社員を採用すること、または育てることは極めて重要だ。もちろん、商品の品質や会社の信用が重要なのは言うまでもない。商品が粗悪では一時的に売れたとしても、継続することは難しい。一度でも信用を失ったら、その回復は困難である。当たり前のことである。しかし、優秀な営業社員がいなければ、会社の発展はない。多くの会社では、商品を売ることなしには会社は維持できないからだ。

 そんなとても大切な営業社員の教育だが、その現場を見せていただくと、「これでは契約を取れる営業社員は育たないのではないか」と思うことがある。

 一生懸命に自社の製品の品質、素晴らしさを説明するように教育されているのだ。自社の商品に自信があるとなおさらそのような傾向があるように思う。

 当然のことながら、そのような教育を受けた営業社員は自社の商品をアピールすることになる。しかし、自社の商品の性能をいくらアピールしたとしても売ることは難しい。なかなか結果が出ないのではないかと思う。仕事が苦痛で仕方がなくなり、会社を辞めていくのではないかと心配になる。おそらく私もそのような教育を受けたら結果が出ない一人になると思う。

 なぜ、自社の商品説明をしても売れないのだろうか?
以前、ある方に言われて目が覚めた言葉がある。

「ドリルを買う人間が欲しいのは穴であって、ドリルではない」

 当たり前のことではあるが、売る側の人間はこれを見失いがちである。商品に自信があれば、ドリルという自社の商品の性能をアピールすることに終始することになる。
「1秒間に〇回転します」「〇〇という素材を使っています」「業界初です」「他社には真似ができません」等々どれだけ自社のドリルが素晴らしいかを分厚い資料を使って説明をし始める。しかし、それで終わっていたら売れるわけがない。

 そもそも、穴の話をするためには相手の話を聴かないといけない。なぜなら、どのような穴が欲しいのかは相手の話を聞かなければわからないからだ。ドリルという自社の製品の話をするのではなく、どのような穴をお客様が欲しているかを聴く教育が必要である。相手がどのような穴が欲しいかを聞いて、それにふさわしいドリルを提供すれば良いだけだ。ドリルはお客様が欲しいもの(穴)を獲得するための手段に過ぎないのを忘れてはいけないだろう。

 もし、それがきちんと行えるようになったのであれば、次のステップとして、相手がどのような穴を欲しているかを察してご提案できるようになれば良いだろう。しかし、最初のステップはお客様が欲していることを最後まで聞き切る(又は聞き出す)こと。自社の提案はそのあとにすること。それを教育することが先ではないかと思う。

 このコラムをお読みになった方の中には、「そんなことは当たり前だ」と思われた方もいらっしゃるかもしれない。また、「うちの会社では、その考え方は当てはまらない」という方もいらっしゃるかもしれない。

 しかし、これができれば、採用だろうが教育だろうが職場の人間関係であろうがほとんどのことがうまくいくのではないかと私は思っている。だからこそ、このコラムをお読みの方にとっては当たり前のことかもしれないが、あえてこの話を書かせていただいた。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司

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