アクセンチュアの意識調査 日本の経営者のIIoTに関する意識の低さが露わに

 IoTの拡大が期待される中、日本の経営者は事業環境の変化をどうとらえているのか。米アクセンチュアはこのたび発表した経営者意識調査報告書「グローバルCEO調査 2015」を基に、産業用IoT(IIoT)に関して、グローバル企業と日本企業の意識の違いを明らかにした。

 まず市場における競争環境について、今後12カ月で競合企業がビジネスモデルを大きく変化させると考える経営者の比率は、グローバル企業が68%に対し、日本企業は16%。また、今後12カ月で競合企業が市場を一変させる製品・サービスを打ち出す可能性があると考える経営者の比率は、グローバル企業が62%に対し、日本企業は16%となっている。日本企業の経営者はIIoTによる変化を限定的にとらえており、市場対応が遅れる可能性があるという。

 また、IIoTのビジネスへのプラスの効果を、オペレーションの効率化と見るか、新たな収益源の創出と見るかについては、グローバル企業の経営者の57%が新たな収益源と見るのに対し、日本企業の経営者は68%がオペレーションの効率化と見ている。日本企業の経営者は、売上面でのIIoTの可能性を低く見積もっており、業界の枠組みを変える可能性があるとは見ていないという。

 さらにIIoTの恩恵を受ける業界については、グローバル企業の経営者は、幅広い業界が恩恵を受けると考えているのに対し、日本の経営者の回答はIT、小売り、製造業、金融に集中。日本ではIT産業とBtoCを中心とした限定的なトレンドと受け取られている。

 清水新・アクセンチュア戦略コンサルティング本部統括本部長によると、IoTはBtoCだけでなく、BtoBを巻き込み、これまでの「モノ」を売るビジネスからモノにサービスを加えた「成果」を売るビジネスへの転換が進んでいる。例えば、米GEは航空機のエンジンの開発だけでなく、エンジンのセンサから取得したデータに基づき航空機のメンテナンスや運航計画の最適化を行い、航空会社の収益最大化を図るサービスを提供するビジネスモデルに転換している。

 日本の経営者の認識の甘さが露わになった格好だが、逆にグローバルでは、IIoTの拡大に伴い、こうしたビジネスモデルを転換する企業が増えると見ている。

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