特別レポート

NHKジャーナルにHRプロ代表・寺澤康介が電話出演

2011年1月18日のNHKジャーナル(NHKラジオ第1,22時〜)に、HRプロ代表の寺澤康介が電話インタビュー形式で出演し、今春卒業予定者の内定率や新卒採用を取り巻く課題などをテーマとしてお話いたしました。以下、その主な内容をお伝えします。

大学生の内定率(12月1日現在)は過去最悪、
高校生は持ち直し。その理由は?

――文部科学省と厚生労働省は、今日(1月18日)、(平成22年)12月1日現在の内定率を68.8%と発表しました。これは前年より4.3ポイント低く、平成8年に統計を取り始めて以降ではじめて70%を切り、過去最悪を記録しました。
高校生については、今春高校を卒業予定で就職を希望する16万8000人のうち、内定が決まっているのは11万9000人で内定率は70.6%。これは前年より2.5ポイント上がっています。
大学生の内定率は過去最低水準、高校生は若干の上向き。このふたつの数字から何が読み取れますか?

寺澤 高校生については、企業の採用意欲が下げ止まったのではないかと見ています。下げ止まりがビビッドに反映されて上向いているのだと思います。

――企業の採用意欲が下げ止まったことが反映されて高校生の内定率が上向いている一方で、大学生の内定率が過去最低水準なのはなぜでしょうか?

寺澤 大学生の内定率が最悪になっているのには、ふたつの理由があると思います。ひとつは学生の大手志向、安定志向です。大手企業の採用活動は5月の連休明けでだいたい終わってしまいます。大企業の内定が得られなかった学生は、やむなく中堅・中小企業に応募しますが、心の切り替えができず、就活に身が入らない学生が多いのだと思います。
もうひとつは大学生が増え続け、半数以上が無試験入学だと言われています。

――AO入試、推薦入試で入学した学生が増えているということですね。

寺澤 そうです。試験を受けずに入学しているので学力が低いのです。かなり多くの学生が中学生並みの学力しか持っていないと言われていますし、人事担当者に聞いても学力低下を嘆く声は多いのです。大学生にふさわしい若者もいるが、大学生と呼べない若者も増えているのです。
中堅・中小企業は人が欲しいのですが、なかなか学生が集まらない。やっと来てくれたと思ったら、いくらなんでもこんなレベルの低い学生では雇えない。そういう事情が、内定率が上がらない理由だと思います。
また景気の先行きが不透明なので、数合わせでだれでも採用するというのではなく、厳選して採用するという動きになっていることも内定率が上がらない理由でしょう。

大学生の大手指向がミスマッチを招き、就活を長期化させている

――就職活動が早期化、長期化し、学業の妨げになっている現状を是正しようという動きが経団連などから出てきています。この点についてはどうお考えでしょうか?

寺澤 わたしは、早期化は問題ではないと考えています。問題は長期化です。決まらないままずるずる就活する学生がたくさんいることが問題です。大手ばかりを目指す学生があまりに多く、長期化しているのです。
大手企業の採用がどうなっているのかというと、「優秀な学生が欲しい」という理由から、実際に採用しているのは上位の数十校に限られているのです。
その一方で、就職ナビへのプレエントリーは簡単にできるので、大手企業にプレエントリーする学生の数は20年前と比べると10倍、20倍の数になっています。だから競争率が上がり、1000倍、2000倍に達します。
だから多くの学生は何カ月も就活をし続け、その間は大学に行けず疲弊してしまいます。12月1日段階で内定を得ていない学生は3割以上。これらの学生は、就活を1年以上続けていることになります。この長期化は大きな問題です。

――そういう苦しい学生の状況を踏まえ、私立、国公立を問わず、大学は就職支援に力を注いでいます。この点についてはどうでしょうか?

寺澤 就職支援の中身が問題です。大学の就職支援は、面接対策とかエントリーシートの書き方対策になっているのがほとんどです。こういう就職支援の中身について採用担当者からアンケートを取ると、ほとんどすべての人が苦言を呈しています。ある大学の学生たちのエントリーシートが全員同じだったという話もあります。
大人たちの就職支援がプラスにならず、学生の無個性化、マニュアル化につながって、かえってマイナスに作用しているのです。
もちろん本来のキャリア教育を行っている大学もありますが、多くの大学の就職支援は表面的な対策にとどまっています。

「就職」を契機に、「社会に役立つ人材輩出」という大学の役割が再認識される

――先週末に大学入試センター試験が行われました。受験した人に聞いたところ、「就職に有利な大学に入りたい」という声がありました。こういう意識について、どうお考えですか?

寺澤 わたしはいいことだと思います。これまではブランドなどで漫然と選んで大学に入ることが多かったと思います。そうではなく、入学時から「自分は就職するんだ」「だから就職に強い大学に入る」という意思を持つことはよいことです。
学生がそういう意識を持つようになれば、大学側も本当に社会に役立つ人材を輩出するため努力するようになると思うのです。
アカデミズム中心の研究大学も必要ですが、多くの大学の卒業生は就職するのですから、学生を「社会に役立つ人材」として育てることに注力すべきです。そうなれば大学選択の基準が就職に強いことになり、入学後は役立つ人材として教育されて就職していくようになり、入口と出口が一貫してきます。
増えすぎた大学の淘汰がこれから始まってきますが、大学が果たすべき機能は「社会に役立つ人材輩出」であるべきで、「就職」によって大学選別が進むことはよいことだと考えます。

――この春卒業する学生の中に、いまだに内定せずにあせっている人も多いと思いますが、かれらに対する応援メッセージはありますか?

寺澤 まずは一歩踏み出すことが大事。企業で働いてみることが大切なので、選り好みしないことです。志望企業から内定がもらえなかったからと就職留年することは勧めません。新卒者就職応援プログラムを使えば、半年間のインターンシップ後に正社員に登用されることもありますし、まずは働いてみる。それがスタートです。

(2011.01.31掲載)

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寺澤 康介
ProFuture株式会社 代表取締役

86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(現HRプロ)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。